国際労働機関(ILO)本部の業務時間

国際労働機関(ILO)本部の業務時間は、9時30分~16時30分。昼休みは11時30分~14時の間で1時間半休んでよいことになっている。ただし、1週間の労働時間は40時間となっている。つまり、「9時30分~16時30分はオフィスにいてくださいね」となっていて、早朝に出勤しようが、遅く退社しようが、個人の裁量に任されているわけである。もちろん、タイムカードなんてものはなく、上司が部下の勤務時間を把握すらしていない。そういう文化なのである。

純ジャパのサラリーマンだった私にとっては、慣れないシステムだった。ただ、実態としては誰も自分が何時間働いているかを数えていない。仕事があれば、長時間労働するし、なければ早く帰る。それだけのことのようだ。

日本の官公庁では情報セキュリティの観点から、仕事を持ち帰ることは「ほぼほぼ不可能」だと思う。仕事が残っていれば終電までオフィスに残り、一旦帰宅して早朝の電車で一番に出社する。それが普通だった。

ILOでは仕事の持ち帰りが極めて容易である。業務用パソコンはもちろん持ち帰ることができるし、Emailへのアクセスは自宅のパソコンからできる。また、日本の多くの官公庁ではネットのフリーサービス(フリーメールやドロップボックスなど)を使うことができないと思うが、ILOでは普通に使える(決められたアプリケーションのみ)。

「私用のスマホのドロップボックスアプリでファイルを受信して、私用メールから業務用メールへ転送する」なんて、苦労はここではない。また、もちろんスカイプもワンクリックで使える。ワンクリックするためにハンコは不要なのだ。

私の出勤時間に話を戻す。実は出勤時間や業務時間を決めていない。早く目が覚めれば7時にオフィスへ行くこともあるし、その日の気分次第では、そのまま21時までオフィスにいることもある。

「21時なんて早すぎ!お気楽で良いですね。」という、純ジャパサラリーマン仲間たちの声が聞こえそうだ。おっしゃるとおり、業務時間に関してはこちらはかなり気楽にやっている。

ただ、辛いこともある。東京勤務時に良かったことは、夜遅くまで仕事をする場合、18時頃に外食をしてエンジンをかけなおすことができた。それがここではできない。昼飯を12時に食べて、飲まず食わずで21時を超えていくと、結構しんどい。外食できる場所が回りにない他、社食ももちろん空いていないわけだ。なぜなら、誰もそんな時間までオフィスにいないからだろう。

しかし、自宅に仕事を持ち帰る人は多いと感じる。特に管理職はその傾向が強い。日本では若手が一番忙しいが、こちらでは逆。偉くなればなるほど残業が増える。自宅へ持ち帰りやすい職場環境もあって、公私の分け目がなくなっているのは、あまり良い傾向ではないかもしれない。

話が飛び飛びになったが、そんな感じの日々である。徒歩圏内に住居を構えたので、仕事に集中できる環境ではある。