国連・ドナー・コンサルタントの怪しい関係

仕事の一部でよくあるのは、外部機関からのコメント依頼への対応。

たとえば、イギリスのODAを担うDFIDから案件を受注したコンサルタントが、DFIDへ提出する前にILOへコメントを求める。

そんなことが日常的にある。

 

日本のODAに置き換えて考えてみる。

JICAが調査案件を発注したコンサルタントが、JICAへ成果品を提出する前にILOへコメント依頼をする。

日本のODA業界で仕事をしたことがある人であれば、違和感を感じるのではないだろうか。

発注者以外へコメント依頼することなど、普通は無いだろう。

 

そして何よりすごいのは、依頼された側(私)は無料でコメントをする。

これは国際機関や西側ドナー諸国(西洋の援助コミュニティ)では当たり前の慣習となっているようだ。

コメントする側のメリットとしては、持ちつ持たれつの良好な関係を維持できること。

最終報告書のAcknowledgementに名前を掲載してもらえるというメリットもあるらしいが、私はこれにメリットを感じていない。

所詮、報告書に名前が載ったところで何の意味もない。

開発の現場にインパクトがなければ、有名ジャーナルに論文が掲載されても私のブログと同レベルである。

 

話を戻そう。

とにかく、日本のODA業界ではありえない構図がここにある。

繰り返す。JICAが外注した調査報告書のドラフトをコンサルタントが第三者にコメント依頼を行い、意見を求める。

 

ただ一ついえることは、こうした緩やかな関係こそが、西側ドナー諸国と国際機関との連携の根幹にあるということ。

日本で「援助協調」と言うと、ついついMOUを締結して組織間同士の連携を強化しようとする。

そうじゃない。

コメント依頼のやり取りなど、インフォーマルな貸し借りが人と人を繋ぎ、仕事は契約書外で無料で展開されていく。

これが西洋式なのだろう。