#9941
Ippei Tsuruga
Keymaster

ご投稿ありがとうございます。雑談の殴り書きのような散文をお読みいただいて光栄です。なかなか経験豊富な方へ助言することは難しく、そのような立場にありませんが、少しだけお返事させていただければと思います。契約を途切れることなく続けるためにはどうすべきか。正直なところ、私にもわかりません。日々必死に生きています。JICAの終身雇用契約を捨ててILO職員となって感じるのは、実力以上に運やタイミングに左右されることが多いということです。他の国際機関はわかりませんが(かなりILOは事情が異なるようです)、ILOの私の分野の場合、新規予算や新規案件が形成されることは極めて稀です。実際、自分が応募できる職位のポストが公募されることは年に1回あればよい方です(ちなみにILOは内部公募はありません)。人道支援や開発銀行を含む金回りの良い国際機関であれば、新規案件や新規ポスト(短期契約含む)が形成されることがあるようです。しかし、ILOの場合はイレギュラーに新規予算が獲得できることが稀なので、「新しいポストができるかもしれない」という漠然とした期待感より、パイプラインを見れば「新しいポストは自分の契約が終わるまでにはできないだろう」という明確な予測が成立します。話を戻しますが、こうした環境の中で仕事をしていると、数年、数か月先の予測をすることはおろか、出張予定を含め、来週、来月の予測も立てにくい生活サイクルとなっています。私はFixed termという契約形態ですが、今年は2、3回契約書を交わしました。契約は途切れなく仕事をしていますが、こうした境遇で仕事を続けるのは家庭があると厳しいと感じる昨今です。

私自身の話が長くなりましたが、専門性が狭まれば狭まるほど、こうした事情が出てくると思います。ILOしか知りませんが、国際機関は往々にして類似の事情があるのかもしれません。もし国際機関でのキャリアをお考えである程度キャリアがおありなのであれば、日本政府の後押しを受けられるプログラムを活用することをお勧めしたいです。国際機関は政治の場なので、力のある国の影響力が人事にも強く響きます。これを毛嫌いする人もいますが、私はむしろ当たり前のことだと思っていて、本国と強いパイプを持つ人が活躍できる場だと感じます。JICAでの経験は、日本政府の印象も良いでしょうから、大いに活用されるとよいと思います。

https://www.mofa-irc.go.jp/dl-data/2019midcareer_UNDP_announcement.pdf

https://www.mofa-irc.go.jp/apply/mission.html

JICAのコンサルタント契約に関しては、直近の制度を把握できておりません。ただ、日本のODA事業の場合、開発コンサルタント会社に所属する方が組織のバックアップなどを含め有利なように見えます。今後の開発援助潮流に関しては、技術協力や無償資金協力は先細りとなり、借款や民間連携の比重が大きくなると考えています。そのような流れとなった場合、個人事業主として契約を獲得していくのはかなり大変となってくるような気がしますが、どうでしょうか。コンサル業界に関しては門外漢なので、見当違いかもしれません。

JICAの企画調査員もアフリカなどの不人気な地域であれば、競争倍率も低いという事情があるかもしれません。JICAのご経験が長いようでしたら、JICAのキャリアがあっているような気がしますが、いかがでしょうか。JICAの専門家は、国際機関よりも待遇や競争倍率含め、有利な契約条件であることが多いと思います。