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  • #4719
    松木翔太
    Guest

    初めまして。今回初めて投稿をさせていただきます。現在社会人ですが今後のキャリア構築に関して考えておりまして、是非ご相談をさせて頂ければと思います。

    【現状】
    元々学生時代から将来は国際協力に携わりたいと思っておりましたが、まずは社会人としての汎用的な実務能力を身に付けることと留学費用を貯めることを目的として、大学卒業後は商社に就職しました。現在の職場で今後残り3年ほど勤務をした後に国際協力の道に進むために留学をしようと思っております。以上のことを踏まえまして以下の3点を質問させて頂ければと思います。

    ① 専門性について
    自分は教育や障害者支援分野に興味を持っているのですが、教職などの資格は持っておらず、いわゆる「その道のプロ」として国際協力に携わること(JICA専門家(スペシャリスト)や開発コンサルタント)は難しいと考えています。従って計画・立案・調整などのマネジメント系の専門性・経験を積み、ジェネラリストとしてキャリアを積み上げていきたいと思っています。それも見据えて現在の仕事(英語を使って関係者の調整)を選びました。以上のことを考えたときにはやはり国際機関の職員やJICAの企画調査員などのキャリアが妥当なのでしょうか?
    またもし教育で専門性を磨きたいというのであれば、まずはジェネラリストとしてキャリアをスタートさせ、その中で教育関連の職歴を積み、徐々に教育分野の専門性を持つジェネラリストとしてのキャリアを構築するという考え方が妥当でしょうか?

    ② 分野の伸びしろについて
    自分自身障害者支援という分野に一番関心がありますが、JICAの案件などを見ても障害者福祉分野での案件は他の社会開発分野に比べて非常に少なく、その分野を専門にしても将来仕事があるかどうかという部分で不安があります。従って障害者支援という部分で絞るのではなく、教育や社会保障制度というより裾野の広く、汎用性がある分野で修士を取得した方がいいのではないかと考えておりますがいかがでしょうか?

    ③ 在職中に行うこと
    上述したように今後3年間ほどは現職でジェネラリストとしての実務経験を積みたいと考えていますが、それ以外に以下のことをプライベートの時間で励みたいと考えています。
    不必要なものや新たなに必要なも等のございましたらご意見を頂けますと幸いでございます。

    (1) フランス語
    今後を見据えるとアフリカでの案件やポストが増えるのではないかという考えからフランス語の勉強を始めたいと考えています。

    (2) 統計の勉強
    ジェネラリストとして携わるうえでは統計が必要ではないかと考え、統計検定の資格取得を目指して勉強を始めたいと考えています。

    (3) 休日のボランティア
    コネクションを作るという意味でも、休日に国際協力NGOでボランティアを行おうと考えています。

    以上質問が多くなってしまい大変恐縮ではございますがご回答のほど頂けますと幸いでございます。
    何卒宜しくお願い申し上げます。

    #4720
    Ippei Tsuruga
    Keymaster

    ご相談いただきありがとうございます。答えやすいものから一つずつ回答させていただきたいと思います。少しお時間ください。

    ② 分野の伸びしろについて

    現在、ILO社会保障局というところに在籍しています。仕事の一つとして、障害と社会保障というテーマがあります。私自信、障害給付然り、障害者支援の分野では経験がありませんが、障害分野の専門家に意見を聞きながら仕事しているところです。したがって、残念ながら障害分野の将来性がどうなのか、という質問に関してはあまり知見がありません。

    たしかに、JICAは障害分野の支援をいろいろな国で行っています。案件数自体は少ないですが、力を入れている分野だと理解しています。ただ、その分野に特化したところで、将来的に仕事が確保できるか。それは何とも言えませんね。ビジネスの世界もそうだと思いますが、国際開発の世界は政治や社会の雰囲気に左右されることが多々あります。これは障害に限ったことではなく、どの分野にも流行り廃りはあります。

    それを踏まえて、どういった分野の専門性を高めるべきか。この質問に対する答えは十人いれば十通りあると思います。あくまで私個人の見解として捉えてください。個人的には自分への戒めも込めて、統計・計量経済・経済学を修士で学び、短期契約でも良いので計量分析の知識・スキルを磨くのが良いと思います。障害・教育・社会保障の分野の専門性というのは、仕事を通じて得られるものですが、分析手法やスキルというのは大学院でしか学ぶことが難しいと感じます。誤解を恐れずに言えば、定性的な分析(Qualitative)というのは誰でもできますが、定量的な分析(Quantitative)は誰もができるわけではありません。技術を持つという意味で後者をしっかり身に着けることが、キャリアを長い目で見たときにプラスに働くのではないでしょうか。

    その後、障害・教育・社会保障分野で職務経験を積んで、分野の専門性を高めたければ博士課程へ進むのも良いと思います。

    #4722
    Ippei Tsuruga
    Keymaster

    ③ 在職中に行うこと(今後3年間)

    (1)フランス語
    たしかに、フランス語は是非勉強されると良いかもしれませんね。フランス語ができれば・・と、ジュネーブに赴任してから何度も思いました。特に、本部がニューヨークでなく、ジュネーブにある国際機関の場合、フランス語が英語とほぼ同等のレベルで求められている気がします。私は着任後に語学コースを受講してフランス語の学習に勤めました。しかし、新しい仕事を覚えながら新しい語学を学ぶというのは難しく、仕事に集中するためにフランス語の学習を辞めた経緯があります。したがって、慣れ親しんだ現職の仕事をする傍ら、語学の勉強を進めるのはとても良いことだと思います。

    (2)統計の勉強

    統計の知識と実務的なスキルは、とても重要だと思います。大学院で計量分析を学ぶことができなかったこともあり、私は仕事をしながら法政大学の夜間大学院のコースで統計と計量経済学を受講した経験があります。まだまだ勉強中ですが、統計の勉強は早いうちに始めておいた方が良いと思います。学びに対するモチベーションが年齢とともに衰退してきますからね。

    (3)休日のボランティア

    ボランティアは良いかもしれませんね。国際協力団体はたくさんありますので自分の関心分野に近い団体が見つかれば、支援対象国への理解や分野の知識を得られ、大学院での学びにもプラスになると思います。

    (4)国際開発学会やJICA主催セミナー

    国際開発学会やJICAが主催するセミナーへ参加するというのも一案かもしれません。私は参加したことはありませんが、JICA職員や国内の開発援助関係者の議論を聞いたり知り合ったりするきっかけになると思います。

    (5)夜間大学院の活用

    大学院留学の科目選択にも関連しますが、日本国内の夜間大学院へ通うことも視野に入れてみてはいかがでしょうか。たとえば、統計・計量経済学といった分析の素地はどこの大学へ行っても大きな差はないと聞きます。これらは知識というよりスキルの世界ですので、仕事の傍ら、夜間大学院へ2年通って修士号を取ってしまうのも一案かもしれません。その上で、大学院留学は障害・教育・社会保障といった開発課題に特化したコースを選択すると、大学院留学がより充実したものとなる気がします。なにより、日本国内の大学院は授業料が安いですから、オプションとしては良いかもしれません。

    #4880
    Ippei Tsuruga
    Keymaster

    ① 専門性について

    まず、JICAも国際機関もキャリアパスは十人十色なので、一つの道でうまくいかなかったとしても、別の道を模索してゴールを目指せばよいのだと考えています。そのうえで具体的にどうするかが問題で、今回のご質問になったのだと察します。

    教育・障害分野でどのように国際協力に携わりたいのか、ということですが、私の経験をお伝えしたいと思います。現在、障害と社会保障というトピックで一部仕事にかかわっています。私は障害分野の知見はほとんどありませんが、社会保障の観点から障害を持った人たちがアクセスしやすい社会保障制度を作っていく仕事です。このように、障害分野どのように仕事をしていくかを考えると、様々なアプローチがあるような気がします。

    既に考察されているように、計画・立案・調整などのマネジメントの経験を積むのも一案ですよね。JICA専門家にも業務調整という職種があります。技術協力プロジェクトにおいては、一般的に2人程度の日本人専門家チームが派遣されることが多いです。この場合、チーフアドバイザーと業務調整という肩書がつく専門家の構成になります。チーフアドバイザーはご指摘の通り、分野の専門家。業務調整はJICAのプロジェクトマネジメントに精通した専門家です。教育・障害分野の業務調整を目指して、現在の経歴を生かしつつ、専門分野の知見を身に着けていく道もあるような気がします。この点は開発コンサルタントも同じで、業務調整の専門家はいらっしゃると思います。なお、JICAの企画調査員は、実質的にはJICA職員と変わらぬ役割で仕事に携わることができます。分野にあった職種が見つかれば良い経験になるかもしれませんね。

    最後に、JICAにも国際機関にも共通して言えることですが狭き門である一方、中に入ってしまえばその後の仕事に繋がりやすいと一般的には言われています。私もその通りだと感じます。これは何も不公平な人選をしているわけではなく、内部の業務に精通している人とそうでない人を比較したときに、どちらを採用するかは明らかですよね。JICAにいたときにミッドキャリアの方の採用に多く携わった経験から言えば、応募してくる方は似たり寄ったりの経歴です。有名大学院を出て、輝かしい職歴を持っているか方ほとんどです。その中で、JICAや国際機関での経験があれば目立ちますよね。まずは中に入ってみて、それから模索するというのも一案かと思いました。

    これで3つのご質問にお答えしました。追加でお応えできることがありましたら、ご遠慮なく投稿いただければ幸いです。

    #4912
    松木翔太
    Guest

    多くの質問にも関わらずご回答を頂き誠に有難うございます。
    ご助言を頂いた通り企画・調整・立案の部分で専門性を磨きつつ、業務を通じて教育・社会保障の分野での経験を積み、今後のキャリアに結び付けていきたいと考えております。

    重ねて一点、大学院進学の際の必要な経験についてお尋ねしたいことがございます。
    もし教育分野に進むとすれば現在の自分の考えでは今後

    (1)現職での実務経験(調整などのジェネラリストとしての経験)
    (2)教育開発分野での大学院修士(教育開発分野での専門性)

    の2つを得て、国際協力のスタートラインに立とうと考えているのですが
    ただ上述の通り教職のない自分は教育に関しての実務経験を有していません。
    教育に関連した経験としては

    ① 学生時代の途上国での1カ月の教育ボランティア(実際の指導)
    ② 学生時代の日本の教育系国際協力NGOでの現地インターン(プロジェクト運営)
    ③ 学部での教育社会学の学位(教育学ではないため、教授法などの実践的な内容ではありません)
    くらいしかありません。

    もし教育開発分野での大学院進学の際に途上国での教育に関しての国際協力に関わった経験が必要であれば、今後は週末のボランティアで日本の子供の学習支援に関わり、指導経験を積んだうえで協力隊の青少年活動で教育開発分野での現場経験を積んでから、大学院に進学することも一つの道ではないかとも考えています。

    疑問点をまとめますと、

    「教育開発分野での大学院留学の際には実際に途上国での教育開発の実務経験が必要となるのでしょうか?」という点になります。

    度重なる質問を申し上げて大変恐縮ではございますがご回答を頂けますと幸いでございます。

    #4913
    Ippei Tsuruga
    Keymaster

    ご質問ありがとうございます。「教育開発分野での大学院留学の際には実際に途上国での教育開発の実務経験が必要か?」との問いには、必ずしも必要でないが、あったほうが良いとは思います。

    私は教育開発の専門ではないため、一般的な回答しかできないのですが、教育開発分野にも色々な携わり方があると思います。たとえば、UNICEFでご活躍中の畠山さん(https://twitter.com/shotahatakeyama)などは経済学のバックグラウンドのようです。

    ただ、お話を伺う限り、カリキュラムを作ったり、直接指導したりしたいという印象を持ちます。そのようなキャリアを考えられるのであれば、開発業界へのエントリーレベルの競争相手は、教育現場での経験がある方が多いのかもしれません。

    また、既に職務経験がある中で、ボランティアやインターンをすることは少し遠回りのような気もします(もちろん経験としては有益だと思いますが)。もう一つの方法としては、JICAの教育案件を受注しているコンサルタント会社で経験を積むのもありかと思いました。商社の第一線でご活躍されている人材であれば、教育案件の業務調整で活躍できる部分もあるのではないかと察します。

    いずれにしても、私の専門外の話になりますので自信を持ってお答えすることができないところ、ご了承ください。

    #5248
    松木翔太
    Guest

    返信が遅れてしまい申し訳ございません。
    多くの質問にも関わらずご丁寧にご回答を頂きまして誠にありがとうございました。
    敦賀様から頂いたアドバイスを基にして留学までの今後の2-3年は以下の目標と行動を見据えて励んでいきたいと思います。
    目標:計画立案・企画調整のマネジメント分野でのキャリアを目指し、その中で教育や社会保障の専門性を積み上げていく。
    目標を達成するための行動:
    ① 現職に精一杯取り組み、グローバルな環境での関係者間の調整・コーディネート業務の実務経験を積む。
    ② フランス語を習得する。
    ③ 統計分野(計量経済)の知識を習得する。
    ④ 国際協力NGOのボランティアを行う。
    ⑤ 国際協力関係のセミナーに参加する。
    ⑥ 自分の興味がある国際協力の分野の情報収集を心掛ける。

    国際機関・JICA・開発コンサル・NGOなど国際協力のファーストキャリアがどの分野になるかは分かりませんし、そもそも国際協力のキャリアに進むことができるかも分かりませんが、頂いたアドバイスを基に目の前のことに全力で励み、将来は敦賀様のような国際協力のスペシャリストになることができるように精進したいと思います。

    また何かございましたら質問をさせていただくことがあるかもしれませんが、その際は何卒宜しくお願い申し上げます。

    重ねてになりますが多くの質問にも関わらずご回答を頂き、誠に有難うございました。

    #5249
    Ippei Tsuruga
    Keymaster

    いえいえ、大丈夫です。それぞれご都合があると思いますので、返信の有無は特に気にしておりません。また何かありましたら、トピックを立てていただければと思います。陰ながら応援しています。

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