東南アジアの社会保障の未来を考える

この記事はThe Povertistに投稿されたものです。

私が所属する国際労働機関(ILO)は、創設100周年の節目の年を迎えています。現在の国際連合(United Nations)が成立したのは第二次世界大戦後の1945年。ILOの歴史は古く、第一次世界大戦後の1919年です。

この100年を振り返ると、数えきれないほどの戦争と経済危機が世界で起きました。東南アジアに目を向けてみても、独立戦争、インドシナ戦争、多くの内戦、アジア経済危機など、数えきれないほどの歴史的事象が思い浮かびます。

では、次の100年はどのような世紀になるのでしょうか。ILOは「仕事の未来イニシアチブ(Future of Work)」を立ち上げ、政府、労働者、使用者の各国代表と議論を進めてきました。先月開催された第108回ILO総会では、「仕事の未来を人間中心の視点で見る」宣言が採択されています。

仕事の未来は、悲観的なものでしょうか。技術革新や働き方の多様化によって失われる仕事はあるでしょう。しかし、同時に新たな仕事も生み出されることとなります。これまでがそうだったように、これからの労働市場も変化に富む100年を迎えることとなります。

私が携わる社会保障分野については、「全ての人に開かれた包括的で持続可能な社会保障の機会」が必要な政策措置として宣言文に盛り込まれています。

労働市場の変化への対応が個人に求められる一方、個人で対応しきれないリスクを社会全体で分散する仕組みを政策に携わる者は考えていかねばなりません。

7月4日、東南アジアの政府、労働者、使用者の代表がバンコクに集います。仕事の未来を更に掘り下げ、「社会保障の未来」を議論する機会を設けました。ILOとASEANの共催会合となります。この会合は、日本政府(厚生労働省)からの任意拠出金によって運営されています。

東南アジアの社会保障が直面する課題は何か。どのような対応が必要となるか。政府の役割は何か。ぜひ、セミナーハッシュタグ(#SPASEAN)を付けてSNSで意見を発信してみてください。