過去数回

ラストマイル、開発途上国の貧困撲滅までの道のり。過去数回にわたって紹介してきた書籍「The Last Mile」だが、プロモーションビデオが公開された。とてもわかりやすくポイントがまとまっているので、通勤電車の中の3分間をこれに割く価値はある。

20世紀半ばから、世界の貧困率は毎年約1%ずつ減ってきた。これがこのまま続けば、貧困率がゼロとなる日も近いのだろうか。

そうは問屋が卸さない。これから開発途上国が経験する貧困撲滅への旅路は、世界がこれまで歩んできた道のりとは全く異なるものとなるだろう。

The Last Mileは3つの課題を浮き彫りにし、それらへの包括的な取り組みが2030年までに世界がとるべきアプローチと主張している。

1. 脆弱国の貧困削減

これまでの貧困削減は主に安定した国や地域で達成されてきた。紛争の影響を受けている脆弱国(Fragile States)に関しては、貧困率がほぼ変化していない事実がある。

2. 生産性の高い職が少ない

貧しい家庭が最も頼りにしている収入源は、労働だ。労働力を提供することで生計を立てている家庭が多い。しかし、低所得国には生産性の高い雇用機会を創出することができないでいる。必然的に低収入の単純労働しか、貧困家庭は受けることができない。

3. 貧困リスク

貧困ラインを越えることが、貧困の卒業ではない。貧困ラインの2倍の所得を得るまでは、再び貧困ラインを越えて貧困状態へ戻ってしまうリスクが極めて高い。

余談となるが、フラッグシップレポートの類はプロモーションビデオを作ることがトレンドとなっている。開発業界のレポートや書籍は分厚いことが多く、政策決定者や実務家は読む時間がないことが多い。読まれずにインターネットのどこかへ埋もれてしまうレポートの数々を効果的に宣伝する素晴らしい手法だ。日本の開発援助業界ではまだ導入されていないが、研究成果のの広報で大きな可能性を秘めているかもしれない。

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