なぜコピペは駄目なのか?自動要約マシーンの出現でコピペがOKになる日

イギリスの大学教育ではコピペは退学モノ

たまには、編集長のワガママで、編集長コラムを書いても怒られないだろう。なぜコピペはだめなのか。最近疑問に思う「そもそも」論を考えてみたい。

仕事を通じて日常的に論文や報告書を書いていると、文献の引用方法について神経をとがらせなければならない。日本の大学教育でも厳しく指導されることだが、イギリスの高等教育においてはさらに厳しい。コピペは「犯罪」並みの扱いを受ける。実際に、クラスメートが「コピペ容疑」で「一発退学」を受けたという話は、よく聞いた話である。何百万円も支払った授業料は全てパー。人生の一番輝ける時間も棒に振ることになる。

しかし、よく考えてみると、本当にコピペは悪なのだろうか。そもそもなぜ、コピペは駄目なのか。引用元を示していれば、コピペでもいいじゃない。と最近思うことが多い。イギリスの大学教育では、カギ括弧で囲むだけでは不十分で、必ず全文を要約して言い換えなければならない。「引用符付ければコピペはOK」という考えは一切認められず、要約することが求められる。

学術と実務の違いがあってもよいのでは?

実務に携わっているものの感覚からすれば、要約に時間を費やすことほど意味のない作業はないだろう。限られた時間の中で報告書、企画書、政策提言を書き上げることが大切なのであって、過去に世の中に出回っていない文章を作文(要約)し、言い回しを変えることにどれ程の意味があるのだろうか。最近はとても疑問に感じることだ。

もちろん著作権法の関係など、いろいろなシガラミはあるのだろう。ただ、結局のところ、「学術的な作法としてそれが伝統」というだけの理由で要約が求められている気がする。

しかし、本当に全ての場面でコピペを禁止すべきなのだろうか。コピペであれ何であれ、アウトプットを短時間で出す方がよい場面だってあるのも事実。コピペを全て「悪」とすることに、最近は疑問を持っている。

現状ではコピペがほぼ犯罪並みの扱いを受けるので、私自身も甘んじて要約をしている。しかし、限られた予算と時間の中で、社会にインパクトのある政策や事業を生み出していくためのプロセスとして、「コピペ回避のための要約作業」に何日もかけるのはいかがなものか。

きっと「自動要約マシーン」が発明されてコピペで作業できるようになる

幸か不幸か、何も新しいものを生まずに時間がかかる作業は、次々と機械が代替する時代となっている。

実際に、「コピペを判別するための機械」はすでに存在し、多くの大学や研究機関で導入が進んでいる。大学の出版物を出版する前に一度機械に通してコピペがないかどうかを判別するわけだ。

矛盾の話を思い出してほしい。守りがあれば、攻めの技術も生まれてくるのが世の常である。技術革新が進むにつれ、要約を作成する作業やスキル自体が必要なくなっていくと思っている。原文をコピペすれば、世の中に出回っていない言い回しの要約文が一瞬で表示される。そんなツールの登場を、私は夢見ている。

たとえば、Google翻訳の発達が目覚しい。

コピペで文章を入力すれば、割とまともな訳文を返してくれる。日本語変換はイマイチだが、英仏西語に関してはグーグル翻訳でほぼ意味を理解できるレベルまで来ている。これを応用して、自動的に要約してくれるプログラムを誰か発明してくれないだろうか。要約のパターンは、語彙をランダムに変えるように設定してくれれば、何千通りも自動要約で文章が生まれそうだ。

コピペで要約できれば、国際機関で働く日本人が増えるかも?

こうした技術が生まれれば、国際機関で活躍する日本人が増えると思う。「日本生まれ、日本育ち、周りに外国行ったことがある人はいませんでした」という「純ジャパ」が国際機関で活躍するのは正直しんどい。

特にしんどいのが、読み書きのスピードと語彙の豊富さに圧倒的な差があるということ。国際機関で働く人の多くは、フランス語、スペイン語、ドイツ語などヨーロッパ諸国の言語を母語としている。基本的な文法構造が似ていたり多くの単語や言い回しが似ているため、報告書などをスラスラと書き上げてくるし、読むのも早い。要約に関しても、同じ意味を持つ単語をいくつも知っている。全く不公平だ。

上記の「自動要約マシーン」が発達すれば、文章の言い換えや、表現の変換など、様々な場面で私たちのような「純ジャパ」も彼らに太刀打ちできるようになるはずだ。言語のハードルを下げる意味でも、コピペ、自動要約マシーンの登場を待ちたい。

そんな妄想をしながら、報告書のイントロを書くために要約をする毎日である。

アフリカ開発銀行がアフリカの農業へ2.4兆円の投資を約束

アフリカ開発銀行(AfDB)が、アフリカの農業へ約2.4兆円(240億ドル)の投資を予定しているようだ。

これは、The Feed Africaと名づけられたイニシアティブの一環で、3,150-4,000億ドル規模の投資を今後10年間で行い、年間850億ドルの収益を見込んでいる。

同イニシアティブは、アフリカの食糧安全保障にとって実に理にかなっているようだ。アフリカ全体では、354億ドル相当の食糧を輸入に頼っている一方で、全世界に点在する未開発地域の65%がアフリカに集中している。

AfDBの推計によれば、アフリカの全人口の70%、貧困層の80%が農村部に居住しており、農業分野の投資拡大が及ぼす影響は計り知れないものがありそうだ。

 

タイ経済は回復基調も、少子高齢化が喫緊の課題に

世界銀行がタイの経済分析を公開

世界銀行がタイの経済・社会分析を公開した。ここでは、ざっと要点をまとめてみたい。若干ぶっきらぼうな箇条書きとなっている部分はご容赦いただきたい。

まず、経済。経済成長率は2014年から15年にかけて、0.9%から2.8%へ回復。2016年は2.5%の見込み。観光業と財政出動が経済成長を牽引。

貧困率も改善傾向が続く。ただし、貧困削減スピードは遅くなっており、特に農村部の貧困層は農産物価格の下落に苦しんでいる。

マクロ経済は良好だが、貧困層の集中する農村部では課題があるようだ。

タイは、アジアで最も高齢化の進んだ国へ

ASEAN地域では少子高齢化が急速に進んでおり、タイがその筆頭となっている。

2016年には、全人口の11%(約750万人)が65歳以上となる。1995年は5%だった。高齢化は続くと見られており、2040年までには人口の4分の1にあたる1,700万人が高齢者となる見込み。

高齢者の比率が上昇している最大の原因は、少子化にある。出生率は1965年の6.1人から2015には1.5人まで減少した。この背景には、1970年に始まった国家家族計画プログラムの成功があると見られる。

労働者人口も減少の一途をたどり、2040年までに11%減り、4,900万人から4,050万人となる見込み。

タイ政府にとって、労働市場と経済構造転換が喫緊の課題

労働者人口が減少する中、少ないマンパワーで高い生産性を達成する経済構造を実現する必要がある。

高齢化社会が必要とする年金、保健・医療など、長期間にわたって財政支出が拡大していくことが予想される。

アフリカの気候変動対策には300兆円足りない?

アフリカ諸国は気候変動対策に約300兆円必要としている。INDCsの試算によると、気候変動の影響を緩和するための政策に約270兆円(2.7兆ドル)、適応策に約49兆円(4,880億ドル)が2030年までに必要とされるようだ。

さらに、世界銀行と国連環境計画(UNEP)の分析によれば、気候変動対策にかかるコストは2050年までに年間2~5兆円(200~500億ドル)達する見込み。平均気温が4度上昇すると、年間10兆円(1,000億ドル)となる計算だ。

 

自信

5日間の夏期講習を終えて残ったのは、自信を失った自分と、これからどうすべきか迷い始めた自分だけだった。 さらに読む

ベトナム経済、イギリスEU離脱の影響で損失の見込み

イギリスのEU離脱が、ベトナムの繊維産業へ悪影響を与えそうだ。ベトナムの繊維産業の輸出額は、対EUが約20%。そのうちの4%が対イギリスだった(2015年)。

ポンドやユーロの下落によって、ベトナムドン建ての歳入が目減りすることが見込まれている。また、政情不安によって、ヨーロッパ諸国の消費者の購買力が低下することも懸念されている。

現地メディアでは、繊維産業関係者のコメントが伝えられており、今年の第4四半期に通貨安の影響があらわれると予想されている。

世界の工場と呼ばれる東南アジア。繊維産業の損失が拡大すれば雇用も失われかねず、マクロ経済だけでなく中間層・貧困層への影響も避けられない。

また、ベトナムだけでなく、他のアジア諸国への影響も懸念されるだろう。

 

千里の行も足下より始まる - 事業報告(2016年4-6月期)

千里の行も足下より始まる

2016年4-6月期の事業報告です。千里の行も足下より始まる 。人気を追わず、重要な情報やトレンドを届けることに力点を置いていきます。

今期は、引き続き多くの方に記事を投稿いただくことができました。青年海外協力隊が生の情報を任地から発信する理想的なモデルを開始することができました。開発途上国のリアリティと、地域や世界レベルの援助潮流をバランスよく発信していく記事を掲載することができたと思います。記事の本数を見ても、前期52本から129本となりました。今期は開発途上国のメディアに掲載された注目度の高いニュース記事を日本語で要約して配信することも試みました。こうしたことから、質と量ともに高いレベルを維持できたと思います。

 

事業報告

別の記事でご説明の通り、The Povertistでは閲覧数(PV)よりも、必要としている方へ届けることに重点を置いています。PVは一つの指標にすぎませんが、今回もご報告したいと思います。

PVは7.8万件で前期比+48%となっております。前期は、一般向けの解説記事でアクセスが伸びる傾向がありました。今期に関しては、青年海外協力隊の現地レポートなど、より開発課題の核心に迫った記事のアクセスが伸びる傾向にありました。The Povertistの目指す方向性です。

このほか、年齢、ジェンダー、SNSフォロワー数などのデータをまとめています。事業報告の詳細については、媒体資料 (2016年4-6月期)をご参照ください。

 

やりたいことと向いていること

やりたいことと向いていることのどちらかを選ぶべき時はいつかやってくる。 さらに読む

イギリスEU離脱の開発途上国へのインパクト、英国シンクタンクがイベント開催

世界屈指のシンクタンクである英国海外開発研究所(ODI)が、イギリスEU離脱(BREXIT)に関するパネルディスカッションを開催する(開催情報は記事下部)。

世界の株価は2兆ドルの損失を記録し、BREXITに伴うリスク回避の動きが鮮明となっている。さらに、流動性の低い開発途上国のマーケットでも、ボラティリティの高い動きが続いており、すでに目に見える影響が出ている。

イギリス政府の開発援助政策に影響力をもつシンクタンクが開催するイベントなので、注目したいところだ。日本からもオンラインで視聴が可能なので、是非登録してみてはいかがだろうか。

 

日時

7月7日18:00-19:30(現地時間:GMT+1 )

 

登壇者

David Luke – Coordinator of the African Trade Policy Centre, UN Economic Commission for Africa (UNECA)

Vicky Pryce – Economist and former Joint Head, UK Government Economics Service

Mohammad Razzaque – Adviser and Head of the International Trade and Regional Cooperation Section, Commonwealth Secretariat

Phyllis Papadavid – Team Leader in International Macroeconomics, ODI

 

登録方法

ODIホームページから登録可能