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  • #8419
    石森みき
    ゲスト

    Twitter、フォーラムをいつも興味深く拝見しております。
    当方は、フランスでの法学修士を取得後、7年弱法務・コンプライアンス分野で勤務し、家族の転居等で2年のブランクを経て、日本国内の博士課程(法学)に在籍しております。研究テーマは災害対応に関する国際法の規律、となります。なお、開発途上国での勤務経験はありませんが、過去OECD法務部でサマーインターンを経験したことがあります。
    国際法の専門知識を国際機関で活かす、となると、国際人道支援分野(赤十字や緊急人道支援のprotection officer)、国際司法機関、人権専門機関のほかに、各機関の法務部(legal officer)が代表的ではありますが、一方で、本部系の部署はかなりシニアレベルで人の動きが少ない印象を持っています。その反面(というより予算の制約上でしょうが)短期コンサルタント等で法律の専門家を雇う傾向は、益々強化されている印象です。
    博士号取得後は、国際法関連分野で働きたいので、日本国内の人権NGOもあたってみたいと思っているのですが、実務に強い研究者を目指したい気持ちもあります。ただし、日本の学界も非常勤ポストばかり増加しているので、どの職であっても、いくつかの短期契約・外部コンサル契約などをつないでいくより他ないのかと思っています。
    日本は法律策定支援・法整備支援の分野では、欧米のようなコンサルがとても少ないと思うのですが(ただILOのレポートを日本のICNET社が分担したのを見たことがあります)、コンサル契約につながるようなネットワーキングは、やはり国際機関と立地の近い欧米に行かなければ、難しいものでしょうか?
    また、JICAの短期契約形態を目指す場合の参考にしたいのですが、国際法の博士取得者に対する評価はどのようなものか、ご存知の範囲で教えていただけますと大変助かります。(大体、日本の弁護士や、教授職を起用することが多いため。)
    非常に曖昧且つ広範な質問で申し訳ございませんが、教えていただけますでしょうか。

    #8425
    Ippei Tsuruga
    キーマスター

    ご投稿ありがとうございます。私が経験のない分野の話になるため、ILOでの経験や他機関の知人からの見聞をもとに回答します。

    期限付き職員やコンサルタントとしてのキャリアはどのようなものか。この点については、国際機関では既に終身雇用はほぼ存在しないと考えて頂いて語弊ないかと思います。たとえば、かつては国際機関の「正職員」というカテゴリをしばしば耳にしましたが、現在では何が正職員で何が非正規なのか、かなり曖昧な気がします。たとえばILOの場合、期限のない契約(WTL)、期限付き契約(FT)、一年未満の期限付き契約(TA)を総称して正職員(Staff)としています。一方、コンサルタントは職員ではないため、原則としてオフィスに通勤してはならず、成果品の提出を以て報酬が支払われることとなります。

    契約の安定性についてご心配なのかと察します。日本の学術界も相当厳しいと聞いていおりますが、国際機関もそれに負けず劣らず不安定なのではないかと感じます。それは職員であれコンサルタントであれ、日本の感覚からは到底考えられないほど不安定に感じるかもしれません。予算の有無で契約が延長されるかが数か月単位で決められる状況はザラにあり、口頭では契約延長を約束されていたにもかかわらず、契約満了の一か月・一週間前になって延長されないことを知らされる最悪のケースも頻繁に耳にします。

    コンサルタントのポストをどのように獲得するか。私はコンサルタントとして雇われた経験がないため、回答が難しいです。一方、コンサルタントを雇う立場で仕事をしている身としては、まったく当てがない状況で個人コンサルタントを公示した事例は、極めて少ないのではないかと感じます。TORを数名に送り、関心表明があった場合にプレゼンをしてもらい選定するのが一般的で、研究分野や専門性の高い分野については特命随意契約も相当多い(競争入札にあわない)と思います。結論としては、どのような形であれば、内部関係者にならなければコンサルタントとしての一歩を踏み出すことは難しいのではないでしょうか。OECDでインターンの経験があるのであれば、当時の関係者にCVを送り、コンサルタントの機会があればお誘いを待つというのもありかと思います。

    JICAの短期契約で国際法の博士号取得者はどう評価されるか。この点については正直わかりません。ただ、日本の組織全般に言えることですが、極めて緻密な計画と規範に基づいた日常業務を回すことで会社が動いています。そのため、阿吽の呼吸で実務を回すことができない人材は敬遠される傾向にあると考えています。博士号への偏見というよりは、日本の組織文化での実務経験の有無のほうが採用に響いてくるのではないでしょうか。

    #8427
    石森みき
    ゲスト

    お忙しい中ご丁寧な回答、誠にありがとうございます。わかりづらい質問で申し訳ございませんでした。外部コンサル募集に関しては、自分の関連分野について、Devex、Refworld、UNJobs等の人材募集サイトでもConsultant募集を見かけたことがある一方で、あまり実態を聞く機会がなかったため、発注側である国際機関にお勤めの敦賀さまにお伺いさせていただいた次第です。(JPO等の話は聞きますが、それ以外の形態はよく聞いたことがございませんでしたので。)

    正規・非正規というより、短期(1年以内)・長期、有期・無期(無期はそもそも世界中のアカデミアで厳密には存在しなくなっていますが)という区分で考えると、国際機関はこれからも短期・有期契約で回っていくであろう、その中ではTORに直接関連する実務経験(とそれに裏打ちされる専門知識)とネットワークが重要、というご趣旨であると理解いたしました。

    インターンシップ、開発業界フェア、大学院同窓会のツテ等を使い、研究・就職活動と並行して、機会を探していきたいと思います。

    どうもありがとうございました。

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