インドネシアの床屋とアニメとAV

インドネシアの床屋はよく喋る。モダンな高級デパートの裏に佇む古いショッピングモールのシャッター街ある床屋。地元の人がいく価格で切ってもらうのが落ち着く。

英語も日本語もインドネシア語も意思疎通ができないけれど、若者は一生懸命グーグル翻訳を使って話しかけてくる。出身を聞かれ、日本人と答えると、たいてい話題は限定される。こういう状況で東南アジア共通の話題としてふられるのは決まって2つだ。

アニメとAV。イスラム教徒の多いインドネシアの男性諸君も多分に漏れず、「ナルトとAVが好きだ」と聞いてもないのにご丁寧に教えてくれる。日本の老人や古い日本の価値観を守りたい人たちは認めないだろうが、東南アジアで日本のソフトパワーが最も強く、潜在的な金銭的価値があるのは、(残念ながら?)アニメとAVと実感する。言葉が通じない相手から最初の話題で振られることが最も多いトピックである。

ちなみに、こういった話を振られて嬉しいかと言えば、どちらかというとどう返してよいかわからないことが多い。男同士の下世話な話で盛り上がってるのだろう、と思われるかもしれないがそうでもない。

最近は息をするように世間では女性に対するハラスメントや性的なことに対する社会的な制裁が強くなっている。自分の日常を振り返ってみると、男性も割と嫌な思いをすることは多いような気がする。少なくとも私は。

東南アジアに住み、色々な国へ出入りしていると、よく買春を持ちかけられる。路上での客引きであったり、タクシー運転手だったり、ホテルの受付けやセキュリティーだったり、色々な場所で声を掛けられる。

最近あったのは、床屋で散髪してもらっている最中や髪を洗ってもらっているときに耳元で「全身マッサージのオプションあるけどどう?」と聞かれたこと。「新手のパターンだな」と、思いつつ断っていたが、二回目の来店時にも同じことを聞かれたので、居心地が悪くなって別の床屋へ行くようになった。

こんな感じで、東南アジアに外国人として住んでいるからなのか、男でも比較的多く嫌な思いをしていることに気づいた。