#8426
Ippei Tsuruga
Keymaster

一つ目のご質問については、正直なところよくわかりません。Social Welfareが日本語で言うところの社会福祉と理解していますが、定義は国によって、研究者によって曖昧です。これは社会保障分野でもしばしばあることで、Social Security, Social Protection, Social Assistance, Social Insurance, Social Welfare, Social Policyのどれをとっても、定義が常に議論になります。

青年海外協力隊の公募にアンテナを張ってみてはどうでしょうか。私もすべてを把握しているわけではないので何とも言えません。ただ、福祉分野のJICA事業は、障害分野に偏っている印象を持ちます。

ガバナンス分野の開発コンサルというのはあまり存在しないのは、JICAのガバナンス分野の事業が相対的に少ないことが背景にあると思います。JICAが企画しなければ、開発コンサルタントには仕事は生まれません。JICAのような二国間援助機関はガバナンス分野の支援に一定の制約があるのが背景にある気がします。つまり、内政干渉にならない範囲でガバナンス支援をしなければならないという制約です。また、ガバナンスに不安のある国は職員の安全確保が厳しい傾向もあり、邦人職員が死傷するリスクを抑えなければならないJICAのような機関は事業展開に制約があります。国際機関も職員の安全確保は優先事項としていますが、ご存知のようにJICAがいないような紛争地帯等でも国際機関は活動しています。

国際公務員としてのアイデンティティを持つべきか、日本人としてのアイデンティティをもって国際機関で働くべきか。私は後者を支持します。これは生まれや育ちに左右されると思います。残念ながら日本社会に適応できず、日本で働くのが嫌だから国際機関を選ぶ日本人も相当数会ってきました。しかし、どれほど綺麗ごとを言っても、国際機関は国籍を持っている者同士が働く場です。幼少期から外交官の両親とともに様々な国を転々としてきた職員の中には、自国のアイデンティティがない状況で働いている人もいますが、例外ではないでしょうか。そもそも、国際連合は世界大戦の戦勝国によって成立し現在に至っていますし、国連公用語も国籍別採用人数も私たち日本人にとっては不公平なものとなっています。予算を自国から持ってくることも日常的に求められるでしょうし、基本的には自国とのつながりで仕事をしている職員のほうが大多数かと思われます。