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  • #6919
    大川葵央
    ゲスト

    初めまして、今現在アメリカの大学院修士課程にて持続可能な開発(Sustainable Development)を専攻し来年の春卒業を目指しています。卒業後IDSのPhDプログラム進学を検討しているのですが、まず第一に難関であるのはもちろん財政面の援助が気にかかっています。財政的に奨学金(プロジェクト資金)+生活費(RAやTA)が取得できないと進学は難しいと感じています。IDSの場合、日本人のPhD含む多くはvisiting researcher の様に見受けられます。イギリスの他大学院のスタッフの方が、全てスーパーバイザーによるとおっしゃっていたのですが、IDSではアメリカ同様にPhDの学生(特に留学生)は十分な資金を得る、またRAやTAをするチャンスはあるのでしょうか?

    また、私の研究分野は、「国際開発におけるドナーとNGO間のパートナーシップ変革、慈善事業の変革的在り方について」で、国際開発というより、公共政策、社会政策でもアプローチ出来る様な気がして公共政策系のプログラムも探しています。IDSは国際開発分野で世界トップクラスの大学院なのであらゆる研究分野に開けているとは思うのですが、そのような研究を特に専門とした教授がいましたら教えて下さい。

    最後に、今現在NGOにてインターンをしており、非常に狭き門戸を叩いて、修士課程卒業後この分野での就職も視野に、自分の将来を模索しています。自分にとってどのようなキャリアパスがベストなのか、国際機関の第一線でご活躍される敦賀様のご意見を頂戴したい次第です。宜しくお願いいたします。

    #6920
    Ippei Tsuruga
    キーマスター

    ご投稿ありがとうございます。私はPhDをサセックス大学開発学研究所(IDS)で取得していないので、印象論になってしまいますが参考になれば幸いです。私は2008-09年に修士課程でした。IDSの財政支援に関して言えば、ホームページに書かれている以上の支援は無いという理解でよろしいかと思います。指導教官にもよるというのもおそらくその通りで、偶然指導教官が研究・調査資金を持っていて学生に一部委託するかどうかが焦点となると思います。つまり、アメリカでは奨学金やRA/TAがほぼ確約される契約のような形でPhD候補生が位置付けられていますが、イギリスではそのような例は稀だと思います。ましてや、IDSは他の大学と異なり、「チャリティ団体」として登録されていることもあり、政府からの教育にかかる資金提供を受けていません。DFIDからODAの一環で研究費・調査費を提供されてはいます。したがって、奨学金の少ないイギリスの中においても、IDSは学生へ資金援助できる余裕が少ない部類に入ると考えてよいでしょう。

    私の知人でPhDをIDSで取得された方は、ロータリー財団から奨学金を得ていました。日本人が応募できる奨学金の中では、ロータリー財団のほかに、「2018年 日本/世界銀行 共同大学院奨学金制度日本人向け特別枠」が良いオプションだと思います。私の場合は「日本の公務員、政府関係機関職員ではないこと」という条件で除外されてしまってJICA在籍時には応募できなかったのですが、大川さんの場合は応募要件を満たしているように見受けられます。

    http://www.worldbank.org/ja/country/japan/brief/scholarships

    ご専門分野に適した教授がいるかは、正直なところ私はあまり存じ上げません。ホームページから問い合わせてみると、親切につないでくれるかもしれません。今後のキャリアパスについては、決まった答えは無いと思います。学問と並行して実務経験を積んでいけるチャンスを常に模索することをお勧めしたいと思います。PhDをやりながらコンサル受託をして国際機関の仕事を副業しているツワモノもいると聞きました。いろいろなキャリアがあると思いますが、実務とアカデミアの両輪で柔軟に検討されてはいかがでしょうか。

    私自信PhDを持っていないので、無責任なコメントになりますが、参考になれば幸いです。

    #6926
    大川葵央
    ゲスト

    ご丁寧にご回答頂きありがとうございます。大変参考になりました。ご紹介頂いたロータリー財団や世界銀行の日本人枠を中心にPhD進学に向けて奨学金の活用を検討してみます。NGOでのインターンを通して、国際協力分野での就職は特に難しいと痛感しております(どの分野でも就職は厳しいのですが…)。「学問と並行して実務経験を積んでいけるチャンスを常に模索することをお勧めしたいと思います。」まさにその通りだと思います。両輪という道があることに気が付きませんでした。自分の道を無理に一本に絞る必要はないですね、柔軟に、焦らず、一歩一歩模索して行きたいと思います。また何かありましたら質問させて下さい。改めましてありがとうございました。

    #6927
    Ippei Tsuruga
    キーマスター

    お返事ありがとうございます。日本国内の援助関係機関は個別プロジェクトの実務を重視していますが、政策系を扱う国際機関では、40代でも50代でもキャリアのためにPhD取得を試みる職員が多いと聞きます。私も必ずしも実践できていませんが、「両輪」で実務とアカデミアのキャリアを積んでいくことは大切な気がしています。

    最後に、もう一つ奨学金プログラムを加えてお伝えします。日本学生支援機構の「海外留学支援制度(大学院学位取得型)」も倍率が低く、好待遇の奨学金プログラムだと思います。給付型のプログラムなので、返済は不要だと理解しています。私の知人もこのプログラムでIDSへ留学していました。

    リンクを貼っておきますので、応募・採用状況一覧をご覧になってみてください。過去5年間の採用率は2~3倍程度のようです。待遇に対して、競争倍率は比較的低い印象です。少なくとも、英国政府および英国大学院から奨学金を受給するよりもはるかにハードルは低いと思われます。

    1.概要
    http://www.jasso.go.jp/ryugaku/tantosha/study_a/long_term_h/

    2.応募・採用状況一覧
    http://www.jasso.go.jp/ryugaku/tantosha/study_a/long_term_h/__icsFiles/afieldfile/2017/02/27/h29_gakui_h_joukyou.pdf

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