アパルトヘイト政策下の南アフリカでネルソン・マンデラが廃止運動のリーダーだと思っていた。1960年代後半から1970年代の反アパルトヘイト運動初期に最前線で活躍したスティーブ・ビコの物語。黒人意識の父(Father of Black Consciousness)と呼ばれ、黒人に黒人であることの誇りを説き、わずか30歳で拘置所で殺害された。政府に追われながらイギリスへ亡命したデイリー・ディスパッチ紙編集長のドナルド・ウッズによる原作。ドナルド・ウッズが隣国レソトへ脱出したとき、不在だった英国高等弁務官に代わり、副弁務官が亡命の手助けをするシーンが印象的だった。今では本省とのやり取りを経て亡命などには時間が掛かりそうだが、現場で即決。特命全権大使たる所以が文字通り垣間見ることができる場面と時代だった。