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誰かの感想文に、「外国人に日本の文化を表現した映画を知りたいと言われたら、私はこの作品を勧めたい」と書いてあった。作品を見終わった後、実に納得のいく感想だった。これほど脚本の設定が非現実的で、会話の少ない映画を私は知らない。日本人独特の間や気持ちの読み合いが物語を作り上げていて、直球でしか勝負できない外国人の人間関係からすれば到底理解のできない内容だと思われる。
月子は37歳でひとり暮らし。ひとり美味しいツマミと日本酒を楽しむマイペースな女性。ある日、行きつけの居酒屋で声をかけてきた初老の男性、それは高校時代の国語の担任だった。歳の差30以上、でも酒の肴の好み、人との距離の取り方、頑固な性格、よく似た2人はしばしば共に時を過ごすようになる。そしていつしか月子の中には、「センセイ」へのおさえがたい愛情が芽生えていた。
久世光彦
小泉今日子, 柄本明, 豊原功補