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この世に生を受けたものとして、40代を目前にして感じることは、死を意識し始めたということ。それは、自分の身の回りの人のことだったり、自分のことだったり。死を感じるとき、僕らは無意識に、80歳や90歳や100歳を考えていやしないか。死はいつやってくるかわからない。それなのに、僕らは無意識に死はまだ先のことだと考えている。死を意識し始めたと言っても、それが明日のことだとは、末期癌の患者だって考えないかもしれない。人はいつだって先のことだと死を捉え、覚悟ができないまま、最期を迎える。「甘えていたんだ。残り僅かな余命を、彼女が全うできるものだと、思い込んでいたんだ。馬鹿だった。明日どうなるかなんて、誰にもわからない。だから今この一日を、この瞬間を大事にしなきゃいけないって、彼女に教わったのに。」この作品で強烈に脳裏に焼き付けられる一文。今日を、明日を、後悔の無いように、僕は生きているか。
高校時代のクラスメイト・山内桜良の言葉をきっかけに母校の教師となった【僕】。彼は、教え子と話すうちに、彼女と過ごした数ヶ月を思い出していく――。膵臓の病を患う彼女が書いていた「共病文庫」（＝闘病日記）を偶然見つけたことから、【僕】と桜良は次第に一緒に過ごすことに。だが、眩いまでに懸命に生きる彼女の日々はやがて、終わりを告げる。桜良の死から12年。結婚を目前に控えた彼女の親友・恭子もまた、【僕】と同様に、桜良と過ごした日々を思い出していた。そして、ある事をきっかけに、桜良が12年の時を超えて伝えたかった本当の想いを、2人は知る――。
月川翔
浜辺美波, 北村匠海, 大友花恋
杉原千畝 スギハラチウネ
