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岐阜県徳山村がダムに沈んだ話。1971年着工、2008年竣工。沈みゆく村には1,500人が住んでいて、縄文時代から人が住み、歴史のあった村が一時の経済活動のために幕を閉じる。バブル期の一時の盛り上がりを振り返れば、やらなければよかったと感じる公共工事は、私の田舎にも多い。映画としてはボケ老人を演じる役者が完璧なまでにボケ老人を思わせるため、ボケ老人と話すことが辛い人にとっては集中力が続かない映画となっている。私の場合は3日に分けて最後まで見ることができた。アマゴ釣りに出かける山道や川が、釣り付きの私には美しく、印象的な作品だった。
ダム建設のために水中に没していく小さな村。その村で最後の夏を過ごした少年の記憶。大きな自然を身近に感じられる素晴らしい映像と、その中で対話する少年と老人の素朴な人間関係が、失われていくものへのせつない思いを呼び覚ます。あの少年の日とともに、僕の村は消えていった。
神山征二郎
加藤嘉, 長門裕之