インドネシアが貧困削減へ条件付現金給付、社会保障拡充

インドネシアが貧困撲滅へ向けて社会扶助(Social Assistance)プログラム[1]の拡充に取り組む。世界銀行から200百万ドルを借り入れ、同国の貧困層向け社会保障給付プログラム(PKH)の拡充へ追加資金を投入する[2]

同スキームは条件付現金給付(Conditional Cash Transfers: CCT)[3]であり、貧困層に受給者を絞り、教育・保健サービスへのアクセスを条件に給付を行うもの。

2016年9月時点でのインドネシアにおける貧困率は10.7%(2,776万人)。貧困線は一人当たりRp361,990(約27ドル)。2015年の実績は350万世帯。2017年に600万世帯へ、2020年までに1,000万世帯(全人口の15%)をカバレッジを拡大する計画。

インドネシア政府は今後5年間で、5,500百万ドル(約6,000億円)を同プログラムへ予算措置する見込みで、PKHはブラジルに次ぐ世界第二位の規模のCCTプログラムとなる見込み[4]


[1] 敦賀一平. 2016. 社会扶助(Social Assistance).
[2] World Bank. 2017. World bank approves financing to expand Indonesia’s social assistance program.
[3] 敦賀一平. 2016. 条件付き現金給付(Conditional Cash Transfers: CCT).
[4] Jakarta Globe. 2017. World bank lends $200m to expand Indonesia’s social assistance programs.

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ミャンマーが老齢年金を開始、90歳以上へ社会保障拡充

ミャンマー政府が老齢年金の運用を4月から開始した。2014年12月、ミャンマー政府は国家社会保障戦略[1]を策定した。これは社会福祉・救済再復興省が中心となって作成したもので、8つの社会保障プログラム[2]が含まれる。公的年金はそのうちの一つで、2024年までにカバレッジを380万人(事業規模は対GDP比1.16%)[3]へ増加させる計画だ。

今回実施される老齢年金(National Universal Social Pension Scheme)は、90歳以上の全ての老人を対象に毎月10,000ミャンマーチャット(約800円)の給付を行うもの[4]。ミャンマー第二の都市マンダレーでは4月下旬の時点で4,600人が申請し、行政側で受給資格の確認作業が行われている[5]。老齢年金の申請にあたっては、国民登録証の提出と世帯構成の証明が必要。年金の支払いは3か月に1度実施されることから、最初の支払いは6月となる。

今回のスキームの最大の特徴は、所得水準による受給者選定を行わないことと、税財源を原資とする点である。政治への信頼が薄く、かつ、年金の概念を持たない開発途上国の人々にとって、長期的に保険料を納めることは極めて難しい。したがって、今回のケースのように税財源を原資とする老齢年金スキームから導入を開始することは一般的である。

また、現時点では90歳以上を対象とすることで、受給者を絞っている。今後、スキームの運用と国の発展に伴い、受給開始年齢を引き下げていくことが期待される。なお、ミャンマー政府は老齢年金のパイロット事業を繰り返し実施してきたが、今回は初めてのフルスケールでの実施となる。


[1] 敦賀一平. 2017. 国家社会保障戦略計画(NSPSP)の策定.
[2] 敦賀一平. 2017. 8つの社会保障フラッグシッププログラム.
[3] 敦賀一平. 2017. 公的年金(Social Pensions).
[4] HelpAge. 2017. Myanmar’s national forum on universal social pension held in Pyidaungsu Hluttaw.
[5] Myanmar Times. 2017. Social pensions for the elderly in Mandalay.

英国サセックス大学IDSの入学案内に登場

ご縁があって、母校サセックス大学開発学研究所の入学案内(ホームページ)などに登場しました。

オンラインで発信などをしていると、こういう声がけが来ますね。

身が引き締まる気がします。

文章を書く際に心がけていること

短く。簡単な言葉で。

来る日も来る日も文章を書き続けている。 さらに読む

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国際労働機関(ILO)本部の業務時間は、9時30分~16時30分。昼休みは11時30分~14時の間で1時間半休んでよいことになっている。ただし、1週間の労働時間は40時間となっている。つまり、「9時30分~16時30分はオフィスにいてくださいね」となっていて、早朝に出勤しようが、遅く退社しようが、個人の裁量に任されているわけである。もちろん、タイムカードなんてものはなく、上司が部下の勤務時間を把握すらしていない。そういう文化なのである。 さらに読む

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