外部メディアに掲載された記事の一覧です。

インドネシアが社会保障給付でイーウォレットを導入

インドネシア政府は既存の社会保障・補助金の給付方法を改善しようとしている。今回発表されたのは、E-Warungと呼ばれるイーウォレット(E-Wallet)で、ATMカードのようなもの。社会扶助(Social Assistance)プログラムの受給者はこのカード1枚で、9つある各種給付を自動的に受け取ることができるようになるという。

インドネシア政府が提供する条件付現金給付プログラム「希望ある家族プログラム(Program Keluarga Harapan: PKH)」をはじめ、燃料、食糧などの引換券(バウチャー)が、E-Warungへ自動的に登録されるようになることから、受給者の利便性は向上すると思われる。

現時点ではパイロット事業を通じて、制度の試行が行われており、全国展開にはまだ時間がかかりそうだ。


参考資料:Indonesia: From cash to vouchers-Piloting a new delivery mechanism for social assistance (E Warung) (ILO)

タンザニアの社会保障は障がい者のニーズに合っていない!?〜ロンドン大学の研究成果より〜

ザンビアの社会保障、現金給付プログラムを全国展開

ザンビア政府は現金給付プログラム(Social Cash Transfer: SCT)を新たに27県で展開する。これによって、2017年末までにSCTは全国展開され、50万世帯に現金給付が実施されることとなる。

SCTはザンビアにおける最大の社会保障プログラム。最も貧しい人々にターゲットを絞って現金を給付することで、貧困削減と世代を超えた貧困の連鎖を断ち切ることを目的としている。

2003年にドイツの支援で始まったカロモ地区でのパイロット事業を皮切りに、イギリスなどが継続的に支援を続けてきた。SCTは保険料を徴収する社会保険ではなく、税財源を貧困層に給付するプログラム(社会扶助:Social Assistanceの一種)。国家予算から中長期的に予算措置を行う必要がある。全国展開にあたって当面の財源はドナー諸国からの支援などで確保されていると考えられるが、国家予算へ引き継いでいくことが求められる。

また、現金の給付方法(Delivery)に課題が認められるため、今後は電子送金を検討するようだ。これまでは、現金を手渡しで給付していたが、給付にかかる給付側・受益者側の双方の手間と、事務的なミスが大きな課題だった。今後は、VISAカードを受益者へ発行し、給付日には銀行口座へ定額が送金されるようになり、受益者はいつでも好きな時に引き出すことができるようになる。

ザンビア政府はこの給付方法をまずは27県で試行する予定だ。

 


参考資料

ベトナムの社会保険の課題、社会保障財源の安定確保

ベトナムの社会保険(Social Insurance)財源に警鐘が鳴らされている。その理由は民間企業の社会保険料の支払いが未払いとなっているためだ。

2015年末の雇用者負担分の合計額は、440百万ドル(約500億円)の不足[1]。その内の12%は外国企業が負担すべき金額だった。

社会保険基金は、労働者の老齢年金、疾病手当、産休手当、育休手当などの財源となっているが、このままいけば2021年には赤字となり、2034年には財源が枯渇するとされる。

社会保険料の適切な徴収は、開発途上国の社会保障システム構築を支える重要な課題。今後、巨大なインフォーマル経済をフォーマル経済へと移行する過程で、これは避けて通ることのできない問題となる。


[1] Vietnamese businesses owe $440 mln to social insurance fund (VN EXPRESS)

ミャンマー議会がJICA円借款を承認、水力発電所改修計画

ミャンマー議会が国際協力機構(JICA)による円借款107.87億円の借り入れを承認した。これはミャンマーの地元紙ELEVENが伝えたもので、水力発電所改修計画に活用される[1]

この事業は、セダウジ水力発電所とバルーチャン第一水力発電所の発電機器の改修等を行うもので、昨年11月2日の首脳会談で日本政府がミャンマー政府へ事前通報を行っていたもの[2]

供与条件は以下のとおり。

(1)  金利:年0.01%

(2)  償還期間:40年(10年の据置期間を含む。)

(3)  調達条件:一般アンタイド


[1] Parliament approves to take out JICA’s loan (Eleven)
[2] ミャンマーに対する円借款の供与(事前通報)(外務省)

インド政府がベーシックインカム導入に関心、財源に課題

インド政府が貧困削減対策として、ユニバーサルベーシックインカム(UBI)に関するプロポーザルに関心を示している。このプロポーザルは、インド政府の主席経済顧問が実施した経済調査によって提言されたもの。

同報告書は、年間一人当たり7,620ルピー(約113ドル)のベーシックインカムを給付を実施することで、ほぼ全ての貧困層を貧困ライン(893ルピー)より上の所得水準へ引き上げることができるとしている。コストに関しては、人口の75%をカバーすることを想定した場合、GDPの4.9%程度の支出で運用できるとしている。

インドでは中間層や低所得者層を対象とした社会保障プログラムが複数存在しているが、事業の実施過程に課題があるとされる。ターゲットとなるべき対象世帯へ正しく給付できていないことや、汚職の蔓延などがあげられる。

また、インドではベーシックインカムに関するパイロット事業のインパクト評価が過去に行われており、貧困削減に一定の効果があったとされる。

インドでベーシックインカムを議論する場合、財源が大きな課題となる。「13億人へベーシックインカムを給付することが難しいのであれば、上記のように75%へ給付すればよい」という意見も聞こえてきそうだ。しかし、それでは現行の貧困層を対象とした給付プログラムと同様に、ターゲティングの制度設計や実施体制を整備しなければならず、ベーシックインカム最大のメリット(行政コストの削減)を実現できない。

現状で3億人が貧困世帯とされている中、全ての人々へ同額を給付することがどれほど効果的なのか。検討は始まったばかりだ。

政府関係者はベーシックインカムの制度化に関する具体的な議論は無いことを強調し、あくまで可能性の一つとして議題になっていることを示唆した。

パキスタンのポリオ撲滅へドナー会合、JICAも出席

2月9日にパキスタンの首都イスラマバードで開催されたドナー会合に、国際機関や二国間援助機関の関係者が出席。「ポリオ撲滅へ向けた支援継続で一致」と、地元紙『The News International』が報じた。

具体的な支援金額やファイナンス方法については報道されていないことから、全体方針の確認に留まったものとみられる。

一般的にポリオ対策は、一定期間に集中的にリソースを投入し、一気に撲滅することが有効とされている。

日本の支援状況については、国際協力機構(JICA)が「ポリオ撲滅事業」に関する円借款供与を2011年(49億9,300万円)と2016年(62億9,000万円)に実施している。これはゲイツ財団との連携案件で、前者については一定の事業成果があったことからゲイツ財団から返済が決定済み。後者については今後成果の確認を経て、同様に返済手続きが進むとみられる。

会合では今後の日本政府の支援方針については触れられていないが、日本からも政府およびJICAの代表がそれぞれ出席したと報じられている。


参考資料

フィリピン産休制度改革、100日間へ改善

産休制度改革が議論されていたフィリピンで、産前産後休暇を100日間へ延長する法案が上院議会で可決され、下院での審議が始まった。

現行法では、政府機関は60日間、民間企業は60~78日間の産休を認めなければならない。一方、この水準は国際労働機関(ILO)が求める98日間(14週間)には満たないこともあり、同法案が提出されていた(ILO母性保護条約第183号)。

フィリピンは同条約を批准していないため国内法の改正義務は無いが、国内で活躍する女性が多いことも後押しし、制度改革に着手していた。


参考資料

アフリカ・アジア・中東の食糧・栄養分野でWFPへ97億円拠出、日本政府

日本政府は世界食糧計画(WFP)の人道支援活動へ85.2百万ドル(約97億円)を拠出し、アフリカ・アジア・中東の33ヶ国で食糧・栄養分野の支援を実施する。

緊急性が必要とされる人道支援と、中長期の開発援助の連携が重要とされる昨今、WFPはJICAなどの開発援助機関との継ぎ目のない支援の実施を約束している。

拠出金の内訳は以下の通り。

  • イエメン(1,300万ドル)
  • イラク(710万ドル)
  • ヨルダン(600万ドル)
  • ニジェール(510万ドル)
  • 南スーダン(410万ドル)
  • トルコ(400万ドル)
  • アフガニスタン(320万ドル)
  • モーリタニア(290万ドル)
  • ソマリア(290万ドル)
  • ウガンダ(290万ドル)
  • マラウイ(260万ドル)
  • 中央アフリカ共和国(220万ドル)
  • コンゴ民主共和国(220万ドル)
  • ギニア(220万ドル)
  • エチオピア(220万ドル)
  • ケニア(220万ドル)
  • レバノン(200万ドル)
  • ブルンジ(150万ドル)
  • カメルーン(150万ドル)
  • チャド(150万ドル)
  • シエラレオネ(150万ドル)
  • ジンバブエ(150万ドル)
  • ルワンダ(150万ドル)
  • レソト(120万ドル)
  • ジブチ(110万ドル)
  • ブルキナファソ(100万ドル)
  • スーダン(100万ドル)
  • シリア(100万ドル)
  • ナイジェリア(100万ドル)
  • スワジランド(100万ドル)
  • コンゴ共和国(90万ドル)
  • リビア(70万ドル)
  • エジプト(50万ドル)

参照:Japan’s US$85 Million Donation Helps Feed Millions Of Hungry People In 33 Countries