ベトナム南部ホーチミン市の貧困層へ健康保険の掛け金を全額補助

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ホーチミン市の貧困層は健康保険の加入料の全額を補助されることになりそうだ。ベトナム共産党の機関紙によると、ホーチミン市社会保険庁の管理する保険基金で余剰が約51億円(2015年)発生し、ホーチミン市は規定によってこの内20%(約10億円)を使うことができる。

ホーチミン市では、8万人の貧困層が健康保険証を有していない。健康保険の加入料は年間約3,000円。貧困層は3割負担で、政府が残りの7割を補填している。

今回の政策はこの3割負担分を保険基金の余剰で賄うもの。2017年の一時的な措置ではあるが、貧困層の社会保障カバレッジ拡大への貢献が見込まれる。

参照元:City supports 100 percent of health insurance cost for close poverty people

「発展は幸せのためでなくてはならない(ホセ・ムヒカ・ウルグアイ元大統領)

ウルグアイの元大統領ホセ・ムヒカは、世界中から集まった国家元首に対してこう語りかけます。

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開発援助資金の途上国離れが深刻、エチオピアよりドイツで多くのODA予算が使われた?

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ヨーロッパで消費されるODA予算

開発途上国に対する援助予算の『全体像』が大きく変わろうとしている。ONE Campaignの話としてロイター通信が伝えたところによると、2015年だけで14兆円(139億ドル)の政府開発援助(ODA)がドナー諸国で支出された。

中東諸国から流入する国外避難民への対応に関する支出で、主にヨーロッパ諸国で実施された支援と見られる。ONEによれば、エチオピアに対するODAよりも、ドイツ国内向けの支援が2015年は多かったようだ。

 

先進国はお金が無い、開発援助資金は限られている

「難民支援に多くの予算が使われている」と聞くと、好意的に捉える人もいるかもしれない。ただ、記事中でも指摘されているように、開発援助資金は無限ではないことに留意する必要がある。

そもそも、「先進国はお金が無い」のが、昨今の開発援助業界の常識だ。国際機関もNGOもシンクタンクも、伝統的なドナー諸国(先進国)は見限って、新興国や民間資金にターゲットを絞ってファンドレイジングを行っているのが最近のトレンドと言える。

このような『ODA予算のジリ貧状態』を踏まえれば、限りあるODA予算のパイが今後大きくなることは考えにくく、今ある資金規模の中で「パイの奪い合い」を行っているのが現状だ。先進国に逃れた国外避難民に対する支援の拡大は、途上国に対する中長期的な支援の削減に繋がる。

こうした状況を踏まえてONEは、「ヨーロッパの先進諸国はODA予算で難民対策を行うのではなく、別予算を計上すべき」といった趣旨のコメントを出しているようだ。

ただ、「先進国はお金が無い」という事情もあるため、中東情勢が落ち着かない限り、現実的には「開発援助資金の途上国離れ」はしばらく続くと思われる。


参照記事:Aid budgets under pressure as funds stretched to cope with refugees, say campaigners

都市の貧困と社会保障に課題、バングラデシュ

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バングラデシュの貧困問題は、都市部で深刻さを増している。世界銀行のシニアエコノミストによれば、南アジアの社会保障カバレッジは、農村部の貧困層の31%が受益している一方、都市部ではたったの2%しかカバーされていない。

バングラデシュでは、雇用や豊かな生活を求めて農村部から都市部への移住が進んでいる。2012年の統計によれば、バングラデシュで暮らす人々の60%が首都ダッカなど主要4都市に集中している。

都市の貧困問題は持続可能な開発目標(SDGs)の中でも重要視される課題。都市の貧困にどう対処するかもさることながら、農村部から都市部へ移動する貧困層を社会保障制度でいかに捕捉するかが、極めて難しい課題となっている。

動くターゲットをいかにターゲティングしていくか。貧困削減政策は新しい時代へ入ったのかもしれない。

参考記事
Urban poverty on the rise

ジェンダー平等がつまらない理由

国際協力に携わっていると、ジェンダー平等(Gender Equality)に関する講義やセミナーを腐るほど聞くことになる。国際会議、社内研修など、あらゆるセミナーでジェンダー平等はトピックとして扱われることとなる。 さらに読む

ジンバブエ、人間開発指数が大幅改善!貧困率は改善の兆しも、絶対的貧困は未だ深刻な水準!

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外国人と日本人の対人距離

日常的に世界中の人たちと仕事をしていると、出身地によって対人距離が異なることにいつも驚く。ここでいう対人距離というのは要するに、話すときに顔がやたらと近かったり、ということだ。 さらに読む

批判的な視点を持って新人研修を受けることの大切さ

国際労働機関(ILO)の職員は初年度に新人研修へ参加します。これはILOに限ったことではなく、他の国際機関も同じだと思います。 さらに読む

国際協力の玄人向けブログマガジンを続ける理由

お陰様で、「The Povertist-開発途上国の貧困と開発を深掘りするオンラインマガジン」を運営し、多くの人に読んでいただいています。 さらに読む

JICAがサウジ開発基金と中東支援で協力、サウジアラビアがJICAとJETROへライセンス発給

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9月4日、サウジアラビアの地元紙が伝えたところによると、サウジアラビア政府は国際協力機構(JICA)と日本貿易振興機構(JETRO)に対して国内での活動を認めるライセンスを発給した。

同紙によれば、同ライセンスに基づきJICAとJETROは経済協力や投資に関するリエゾンオフィスを設置することができる。

サウジアラビアには国際金融機関、イスラム開発銀行(Islamic Development Bank: IsDB)があり、世界銀行やJBICは協力を深めているが、今回はサウジ開発基金(Saudi Fund for Development: SFD)との協力案件のようだ。JICAが後日発表したプレスリリースによれば、SFDとの間で協力覚書(MOC: Memorandum of Cooperation)を締結したとのこと。

SFDは、開発途上国における開発プロジェクトへの協調融資や、財政問題対応に必要な技術援助等のほか、サウジアラビア国内の非石油製品輸出業者の新市場開拓や市場シェア拡大のための資金支援や保証を目的として1974年に設立された基金。現在、中東・北アフリカ地域やイスラム諸国を中心に88ヶ国で事業を展開している。

JICAによれば、SFDとの協力はサウジアラビアに対する協力を目的とするものではなく、周辺の中東湾岸諸国に対するインフラ整備や技術協力で協力していくことを目的としたもの。

参照記事
Japanese International Cooperation Agency to work in Saudi Arabia
サウジ開発基金と協力覚書に署名:中東・北アフリカ地域やイスラム諸国の経済安定化への協力促進