批判的な視点を持って新人研修を受けることの大切さ

国際労働機関(ILO)の職員は初年度に新人研修へ参加します。これはILOに限ったことではなく、他の国際機関も同じだと思います。

ILOの場合、新人研修といっても、職務経験数年でジュニアポストでスタートする職員から、シニアポストでILOのキャリアをスタートする人までさまざま。

ILOの歴史、組織体制、戦略、ガバナンス、予算など、ILOの事業全体を包括的に学ぶ機会となっています。

こういう研修に参加するとき、学ぶという姿勢よりも「ここが変だよな」という批判的な視点で講義を聞くようにしています。

25歳のとき、JICAの新人研修に参加したとき、緒方貞子理事長にこんなことを聞いたのを覚えています。

「理事長は英語が大切だと言っているけれども、なぜ、JICA内の公用語を英語にしないのですか」

ユニクロや楽天が社内公用語を英語にしつつあった時期です。日本国内のどの企業よりも海外志向の人材が集まるJICA。一番先に英語を公用語化すべきだと思っていました。質問に対する答えは、「就任以来何とか英語の組織文化を作ろうとしているけれど難しい」というものでした。

また、事業管理システムに関する講義を聞いたとき、「このシステムはとても複雑で、新規着任者にとってはハードルが高い」と苦言を呈したこともあります。

その時は、先輩後輩という関係から、「文句を言う前に使えるようになってから言え」と言われました。これも結局、誰も改革しないまま同じものを使っています。人材の流動性を高めなければならないご時世において、社内システムが複雑なのは致命的です。いずれ、改革しなければならないことでしょう。

JICAでは6年働きましたが、新人の時に持ったこれらの疑問は間違っていなかったと思います。そして、状況は一向に変わっていない。

新しい組織に参加した時に持った「気づき」は、ほとんどの場合正しいと思います。組織に長くいると盲目になり、批判的に物事を見ることができなくなります。

まとめると、懐疑的な視点で新人研修を聞き、そのとき持った疑問を忘れずに仕事を続けることは大切だと思います。