携わっている仕事について書きます。

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一進一退 - 事業報告(2016年7-9月期)

一進一退

2016年7-9月期の事業報告です。一進一退。前期に新しい試みを始めた成果が数字になって表れてきています。ページ閲覧数(PV)は5.9万件で前期比-25%となっております。一方、記事一本あたりのアクセス数は、604件から889件へ回復し、前期比+47%となっております。これは、前期から新たに追加した『開発途上国に関するニュース』というコンテンツの影響です。

これは、開発途上国の地元紙に掲載された注目度の高い記事を日本語に要約して発信するコンテンツで、速報性の高い記事となります。それ故、大量生産、大量消費の記事です。SNSを通じてタイトルだけ見てサイトを訪問しない読者の方も多いコンテンツです。ニュースコンテンツを集中的に追加投入したことによって、前期は129本の記事を公開し、PVは7.8万件まで急増しました。一方、記事数が増えればPVが増える一方、記事一本当たりのアクセス数は減少するという影響が出ています。

今期は、ニュースコンテンツと従来型のオピニオンコンテンツのバランスを保つことに注力しています。事業報告の詳細については、媒体資料 (2016年7-9月期)をご参照ください。

 

提携パートナーの拡大

多方面からお声がけいただけるようになり、提携パートナーが増えています。現在、記事を配信しているのは以下のサイトやアプリです。配信先からの流入は然程見込むことができないため、PVへの影響は軽微です。一方、The Povertistに掲載された記事が他のサービス・メディア媒体に掲載される可能性が広がりつつあることから、開発途上国で活躍する専門家の方がThe Povertistで執筆した記事がより多くの人々の目に触れることになる大きなメリットがあります。配信先・パートナーからのアプローチは、引き続き前向きに検討していきたいと考えています。

 

今後の方針

ニュース記事とオピニオン記事をバランスよく配信していく方針です。ニュースコンテンツについては、貧困、社会保障、開発援助機関の動向といったキーワードのみのカバレッジとなっています。将来的には、ニュース記事をピックアップし、解説を付して発信する専門家・ライターの方が増えれば面白いと思っています(NewsPicksに近いイメージかもしれません)。

開発途上国のニュース記事は、日本であまり報じられないコンテンツです。必然的に、多くの記事がグーグルなどの検索システムの上位に定着しています。ニュース記事を通じた検索からの流入と、より内容の濃いオピニオン記事をバランスよく配信していければと考えています。

 

モルディブで港湾整備・拡張、アジア開発銀行が無償資金協力

アジア開発銀行(ADB)が、モルディブのクルドゥフシ(Kulhudhuffushi)で港湾整備・拡張を支援する。事業規模は約9.6億円(9.6百万ドル)で2019年12月の完工を目指す。

港湾整備案件としては小規模だが、8,000人の島民とその周辺の島に暮らす30,000人の住民にとっては大きな転機となる。

ADBのプレスリリースによれば、港湾のキャパシティは150隻/日から250隻/日へ改善するほか、事業実施による雇用創出効果も見込まれている。

接続性(Connectivity)の改善を通じて、経済成長だけでなく、雇用拡大や教育・保健サービスへのアクセス向上も期待されるところだ。

ミャンマーで大規模灌漑事業、アジア開発銀行が農業セクター支援

アジア開発銀行(ADB)がミャンマーで大規模な灌漑設備の改修事業を計画している。地元紙の取材に対してADBミャンマー事務所長は、「事業は2017年第一四半期を目処に開始される」と話した。

対象地域は、マグウェ(Magwe)、マンダレー(Mandalay)、サガイン(Sagaing)の3地域。農地9万ヘクタールの灌漑事業で、2.8万世帯が直接的な恩恵を受けることとなる。

事業予算は、ADBが75百万ドル(約75億円)、フランス開発庁(AFB)が25百万ユーロ(約28億円)を協調融資する。また、これに加えてヨーロッパ連合(EU)が20百万ユーロ(約22億円)を無償資金協力で拠出する見込み。


参照元:ADB-backed mass irrigation project on track to begin work during Q1 next year

タンザニア、社会保障をインフォーマル・セクターへ拡大、貧困撲滅へ政府が約束

タンザニア政府が社会保障カバレッジ拡大へ本気モードだ。サイモン・ムワンジャリ首相府シニアエコノミストが、インフォーマル・セクターへ社会保障カバレッジを拡大させることの重要性を語った。

「タンザニア政府は社会一丸となって社会保障の拡充へ向けた努力を続けていく」

国際社会は持続可能な開発目標(SDGs)を踏まえ、貧困撲滅だけでなく、日常に潜むダウンサイドリスク(病気・失業・災害など)への対応に重きを置き始めている。

個人や世帯レベルでのリスク対策に関しては、貧困削減に直接寄与することから、多くの開発途上国が社会保障制度整備の重要性を認識しつつある。

開発途上国の社会保障制度は、フォーマル経済に属する企業勤めの正規労働者を対象にしていることが多く、インフォーマル・セクターへのカバレッジ拡大が至上命題となっている。

こうした状況を踏まえ、タンザニア政府高官が明示的に「インフォーマル・セクターの取り込み」を挙げたことの意義は大きい。

今後、タンザニア政府がいかにカバレッジを拡大していくか、目が話せない。

マーシャル諸島の貧困が悪化、小島嶼開発途上国は取り残されるのか?

SDGsは小島嶼開発途上国を取り残すのか?

持続可能な開発計画(SDGs)が採択され、国際社会の関心が環境の持続性と貧困削減に向いている。持続性と貧困削減。このキーワードで思い浮かぶ地域はどこだろうか。

アフリカ、アジア。多くの方がそうであるように、開発途上国の実務に携わっている私たちにとってもアフリカやアジアに主眼が置かれることは自然である。

しかし、本当に危機的な状況にあるのは、太平洋の小さな島国かもしれない。

マーシャル諸島の貧困が悪化?

アジア開発銀行(ADB)の報告によると、マーシャル諸島の貧困率は37%。2011年の国勢調査をベースに算出されている数値だ。

「数値をアップデートすべきだ。貧困層の生活環境は全く改善していない。」

そう語るのは、マーシャル諸島の首都マジュロ支局のジョンソン特派員(ラジオニュージーランド)。彼が現地で感じた「感覚」によれば、過去5年間で目立った開発は行われておらず、雇用の創出状況にも変化が見られないそうだ。

経済成長著しいASEANやアフリカ諸国は、「最後のフロンティア」と呼ばれ、ビジネスや投資が集まりやすい環境ができている。一方、資源が乏しく、市場規模も小さい太平洋の島国には羨望の眼差しは集まっていない。

SDGsの最大の目標は、「誰も取り残さない」こと。取り残された小島嶼開発途上国から目を背けていては、目標は達成されない。

 

オランダ政府がケニアへの開発援助を停止、2020年から通商パートナーへ

オランダ政府がケニアへの開発援助を2020年で停止する。昨今の目覚しい経済成長を踏まえて、「通商関係(Trade Partner)」とすることが表明された。

ケニヤッタ大統領は兼ねてより、「援助依存からの脱却」を唱えており、オランダの撤退もこうした流れに呼応したと見ることができるかもしれない。

オランダはケニアの独立以来援助を続けてきたパートナーであり、2011年の援助額は150億円だった。

 

JICAがナイジェリアの電力事業完工、太陽光発電システムを無償供与

地元紙によれば、太陽光発電(ソーラーパワー)システムの引渡しが国際協力機構(JICA)とナイジェリア政府の間で完了した。

日本政府のこれまでのプレスリリースと照合すれば、2012年5月15日に署名された、環境・気候変動対策無償資金協力「太陽光を活用したクリーンエネルギー導入計画」の成果引渡しだと思われる。

同事業は、太陽光発電システムの整備に必要な資金(9.8億円)を供与し,ナイジェリア政府が推進する再生可能エネルギーの導入を支援するもの。

同事業による効果は、発電量1,496MWH、年31.5百万ナイラの節減が見込まれる。

 

スリランカ貧困層へも電気を、電化率100%へアジア開発銀行が支援

アジア開発銀行(ADB)がスリランカの電力セクターを後押しする。ADBは115億円を貸付け、スリランカの電化率100%へ向けた最後の一押しを支援することとなる。

過去25年間で、スリランカの電化率は29%から98%まで改善した。しかし、紛争地帯や小さな孤島に暮らす住民は、未だに安定した電力の供給を受けることができていない。そのため、非効率な自家発電機に頼るのが日常となっている。

こうした現状を踏まえ、ADBは最後の2%の未電化地域へ安定した電力供給を目指す。受益者数は493,000人を見込む。

実施期間は5年で、2021年9月の完工を目指す。

2016年国連総会で生まれた世界のリーダー10人の名言

国連総会で生まれた世界のリーダー10人の名言

先週から開催されている国連総会。ニューヨークでは毎年恒例の風物詩となっています。国連総会は、世界が抱える問題や地域情勢を国際社会に訴える場として、世界のリーダーが一般討論演説を行うことは良く知られています。世界のリーダーが各国を代表し何を訴えるのか。与えられた短い時間に各国の最重要課題だけが凝縮されています。今回は、「世界のリーダーたちの名言集」と題し、一般討論演説で語られた世界の課題を纏めてみたいと思います。

 

テロや紛争が激化する世界情勢

 

不安定な世界情勢が求めているものは何か。貧困や人道危機へ一丸となって取り組むことである。

エレン・ジョンソン・サリフ(リベリア共和国大統領)

 

複雑化する世界情勢を踏まえれば、国連の役割がかつてないほど重要となっている。

アガピト・ンバ・モクイ(赤道ギニア共和国外務大臣)

 

世界経済の停滞

 

世界経済の停滞と崩壊が進む今、国際社会の団結が不可欠である。

エルラン・イドリソブ(カザフスタン共和国外務大臣)

 

日本は国連強化のため努力を惜しみません。日本国民への信頼にかけて、お約束したいと思います。

安倍晋三(日本首相)

 

今こそ行動に移す時だ。SDGsやパリ合意はスローガンではない。世界が待ち望んだコンセンサスなのだ。ある国の取り組みが、他の国の達成状況を左右する。私たち一人一人が役割を課せられている。

ポール・カガメ(ルワンダ共和国大統領)

 

世界は交差点に差し掛かっている。世界情勢をたった一言で表すと何か。不安定(Instability)である。

ギョルギェ・イヴァノフ(マケドニア旧ユーゴスラビア共和国大統領)

 

国際社会が直面する課題全般

 

汚職は一切容認しない。

ジミー・モラレス(グアテマラ共和国大統領)

 

アメリカの制裁は続いている。進展はあったが、国交正常化への道は長い。

ブルーノ・ロドリゲス(キューバ共和国外務大臣)

 

私の国と人々の未来は、危機に瀕している(気候変動対策を訴えて)。

ターネス・マーマウ(キリバス共和国大統領)

 

私が昨年ここで話してから、百万人以上の移民がギリシャへ入国した(難民受入国への支援を訴えて)。

アレクシス・チプラス(ギリシャ共和国)

アフリカに子供の貧困が蔓延する日、2030年に世界は貧困を撲滅できるのか?

アフリカの子供の貧困が世界の4割の貧困を占める

14年後の2030年、国際社会は絶対的貧困の撲滅を目指しているが、アフリカの子供が世界の4割の貧困を占める世界が訪れるのかもしれない。

英国のシンクタンク海外開発研究所(ODI)の報告書によれば、「2030人までにサブサハラアフリカの子供たちの22%が1.9ドル以下の暮らしを強いられる」可能性がある。

これは、世界の貧困層の43%(約1.5億人)がアフリカに暮らす子供たちということを示している。実に、2012年の数値の2倍に当たる水準だ。

同報告書については、別の記事で詳しくレビューしてみたい。