携わっている仕事について書きます。

タグ アーカイブ: 業務日誌

ジンバブエの人間開発指数が大幅改善、経済制裁にも負けず

ジンバブエがアフリカの優等生に?

過去6年間で、ジンバブエの人間開発指数が著しく向上した。国連開発計画(UNDP)によれば、ジンバブエは、保健、教育、所得、ジェンダー平等といった人間開発における重要な要素について、サブサハラアフリカ諸国を凌駕している。

ジンバブエは過去十数年にわたる経済制裁によって、420億ドルの歳入を失ったとされる。それにもかかわらず、今回の達成状況は注目に値する。

2010年から2014年にかけて、平均寿命は49.6歳から57.5歳。2000年から2015年にかけて、HIV感染率は28.4%から13.8%。

その他の指標も一様に改善を見せており、驚きとともに現地メディアが伝えている。

 

参照:Zimbabwe: Zim Scores High in Human Development

途上国ブログマガジンがイマイチな理由

国際協力・開発途上国ブログマガジンはまだまだこれから

 

ここ2、3年くらい、The Povertistの企画・編集・執筆にプライベートの時間のほとんどを費やしてきました。その中で感じることが今回のタイトル。「ぶっちゃけ、開発途上国のブログマガジン、いま一つパッとしないんだけど」ということです。

特定の媒体を指して言っているわけではなく、むしろ、日本語で閲覧可能な開発途上国を扱うメディア全体の話です。

開発途上国をネタとしたメディアが、個人、法人問わず、随分増えてきたのは事実。私が個人ブログを書き始めた2006年頃に遡れば、「カンボジア」と検索すれば私のブログがトップに表示されたのは今は昔。それくらい、開発途上国に携わっている人がインターネット上で発信することが珍しい時代でした。

今はどうでしょうか。時代は変わり、多くのメディアが開発途上国を専門に展開する群雄割拠の時代。何度も紹介していますが、トジョウエンジンアセナビganasAfri-Quest。私がいつも楽しく読ませていただいている開発途上国ネタのオンラインマガジンでどれも素晴らしい。青年海外協力隊ブログも前回の記事で取り上げたように素晴らしい発信力です。

しかし、メディア全体を見渡すと何か物足りない。何かが足りないと感じます。

エンターテイメント要素の強い「おもしろさ」「意外性」「死ぬまでに絶対訪れたい秘境」「旅行のポイント」など、開発途上国の「未知」を日本語で日本人に伝えるメディアは確かに増えていて、私も楽しんでいます。しかし足りないのは、開発途上国が抱える経済・社会的な課題について議論するメディアです。

「開発途上国を知る」ためのメディアが相当充実してきた中、開発課題を正面から議論し、解決策についてアイデアぶつけ合う。そんなメディアが、今の日本の開発メディアには欠けていると思います。

中の人が書いていないのが、イマイチ

 

では、どうすべきか。「イマイチ」の最たる原因は、「中の人」が書いていないということだと思います。JICA、国連、NGO、ビジネス。いろいろな立場の人がいます。

「中の人」とは、途上国の開発課題を分析し、政策を議論し、事業を実施する人。そのプロセスに携わるプロフェッショナルが、インターネット上で沈黙を続けていることです。これはとても勿体ない。

世界の開発援助業界全体を見渡してみると、「中の人」がガンガン発信していることに気づかされます。一番有名なのは、世界銀行関係者によるブログマガジン「World Bank Blogs」。毎月200件くらいの記事が、総裁から若手職員まで高頻度で執筆されています。研究者や実務家が個人のブランド(名前)で発信することは一般的になってきています。

そして、互いの記事を引用しあい、開発途上国の経済・開発・社会政策についてガチンコで議論を交わすことが盛んにおこなわれています。公式なシンポジウムでも、「昨日のブログでこんなことを書いていたけど、これについてはどう思いますか?」なんていう展開もよく目にします。

大本営発表は読まれないが、個人名の面白い記事は読まれる

 

公式ウェブサイトの広報に力を入れる動きもあります。基本的に、素晴らしいと思います。広報を強化することの重要性は疑う由もありません。

しかし、公式プレスリリースほど準備に時間がかかり、面白くなく、読まれない記事はないのも事実。決裁過程で多くの人の「こだわり」や「ワガママ」のお陰で、公開される頃には当たり障りのないつまらない文章と古いネタが掲載されます。一般的にアクセス数は公開されていませんが、おそらく内部関係者からのアクセスが大半なのではないかと察します。

こんなとき、個人の名前で、ブログで発信すると早く、面白く、読まれる記事が出せると思います。実際、欧米のシンクタンクや援助機関では、会議やイベントの様子をリアルタイムで有識者がツイッターで発信したり、議事録を自分のブログで2時間後にはアップしていることが多いです。

「ガチ勢」増加計画-開発政策の議論をネット上で展開する

 

ガチ勢。最近気に入ったコトバです。たぶん「ガチンコ勢力」といえば、オジサン世代にはわかるのではないでしょうか。開発途上国を扱うメディアはすべてガチ勢です。

その中で、開発政策をガチンコで議論するメディアとして、ガチ勢としてThe Povertistが場を提供していけたらと思います。

中の人が書かないと面白くないし、盛り上がらない。

大本営発表の時代は終わり、個人ブランドの時代が来ています。

開発途上国で開発・経済・社会政策に本気で取り組んでいる方からのご連絡お待ちしています。

また、開発途上国のエンターテイメント要素の強いメディアの皆さんからのご連絡もお待ちしています。

面白いコラボ企画で盛り上げていきたいと思います。

JICAがブータンで橋梁建設・維持管理能力強化へ技術協力

JICAがブータンで技術協力で合意、橋梁300本の修繕

国際協力機構(JICA)は5月20日、ブータン政府との間で技術協力プロジェクトの実施へ向けた合意文書(Record of Discussions)へ署名した。案件計画額は、2.5百万ドル(約2.5億円)。

現地報道によれば、JICAはブータンの行政およびエンジニアに対して、橋梁の建設・維持管理能力の強化に協力する。技術協力プロジェクトの実施期間は、2016年7月から3年の予定。その間、国内に点在する橋梁約300本の修繕を目指す。

これまでもJICAは、ブータンでインフラ整備・維持管理に協力してきた実績がある。直近では、2011年から2014年にかけて農道架橋の設計や実施監理能力の強化で、技術協力を行ってきた。また、過去数十年にわたって無償資金協力でインフラ整備に注力している。

また、今年3月には、無償資金協力「第三次農村道路建設機材整備計画」で約10億円の供与で合意している。

山間の国ブータンで、山がちな地形の中で日本が培ってきた技術が生きている。過去数十年にわたるブータンでの協力を土台に、今後もインフラ整備を通じてJICAは協力していくようだ。

ハコモノに加え、日本の技術と顔の見える支援がJICAの真骨頂。今後のブータンでの協力に期待したい。

 

過去の関連事業

  • 第三次農村道路建設機材整備計画(2016)
  • 第二次農道建設機材整備計画(2009)
  • 第二次橋梁架け替え計画(2005-2007)
  • 道路建設機材整備計画(2005-2007)
  • 農村道路建設機材整備計画(2004)
  • 橋梁架け替え計画(2001-2003)
  • 第2次道路建設機材整備計画(1995)
  • 道路建設機材整備計画(1987)

 

参照

イスラム開発銀行と世界銀行がイスラム金融について報告書を作成

イスラム開発銀行(Islamic Development Bank)と世界銀行が共同で報告書を作成する。

報告書のタイトルは、「イスラム金融-繁栄の共有のための役割(Islamic Finance: A Catalyst for Shared Prosperity?)」。

同報告書は、今年秋に開催されるIMF/世界銀行年次総会で発表される見込み。

イスラム社会の特殊な金融セクターを開発援助へ向ける動きは今後ますます加速しそうだ。

 

参考:Islamic Development Bank, World Bank jointly produce global report on Islamic finance

ガーナ、貧困層が国民健康保険へ登録、UHCへ前進

社会保障拡充で貧困層の保健アクセス向上を狙う

ガーナ政府は、6県に居住する貧困層83,300人を新たに国民健康保険(National Health Insurance Scheme: NHIS)へ登録したことを発表した。

2015年11月から、『African Health Markets for Equity (AHME)』と呼ばれるプログラムの下、ガーナ政府は貧困世帯のNHISへの加入登録を支援してきた。NHIS加入を通じて保健アクセスの向上を促すためだ。

今後、プログラムは10万人の貧困層の加入を今年8月までに達成することを目指している。

こうした動きからは、ガーナにおけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジへの取り組みの進捗が伺える。今後の進捗に注目が集まる。

 

参照:Indigents from six districts registered with NHIS

旱魃がカンボジアの漁業セクターに打撃、政府は楽観的

カンボジア政府は漁業生産量の成長を1.3%見込んでいるが、漁業関係者は目標達成について懐疑的な見方を示している。旱魃の影響が原因だ。

カンボジアの水産業をモニタリングする漁業行動連合チーム(Fisheries Action Coalition Team=FACT)によれば、旱魃の影響で水位低下が著しく漁業に影響を与えているとのこと。カンボジア全土の漁業エリアのうち70%で季節はずれの水位低下に見舞われているようだ。

カンボジア政府はこうした状況に理解を示しつつも、1%以上の成長は確保できると見ている。

ただ、政府発表と外部ソースが示す数値の間に大きな乖離が見られる点も指摘されている。先週、政府が発表した昨年の漁業生産量は3%の減少だったが、WFPのデータは17%の減少を示していた。

歴史的な旱魃がカンボジアの漁業セクターに打撃を与えているが、影響の正確な把握が求められそうだ。

参照:Drought weighs on fishery production target

世界銀行が「開発途上国」カテゴリをデータベースから削除

「開発途上国」が消える日

世界銀行が発表した2016年の世界開発指標(World Development Indicator)から大きく変わった点が話題を呼んでいる。開発途上国(Developing Countries)と先進国(Developed Countries)のカテゴリが消えたのが一番の驚きだ。この背景には、以下の2つの理由があるようだ。

  • 時代とともに開発途上国というカテゴリが意味をなさなくなってきたこと。
  • 持続可能な開発目標(SDGs)が開発途上国だけでなく、全ての国を対象としている以上、「開発途上国」というカテゴリをあえて維持する意味がなくなったこと。

そもそも、開発途上国の定義が曖昧だったことが今回の変更の大きな理由にあると思われる。事実、「高所得国」から「低所得国」といったカテゴリが今後使われることとなり、経済規模の大小に関する分け方は維持される。また、このほかにも、SDGsの採択と同時に昨年公開された1.90ドル貧困ラインについても、データベースに新たに加えられている。

WDIをこれまで使ってきた多くの研究者や実務家泣かせのこの変更。SDGs時代に即した変更に私たちも適応していかなければならない。


参考:The 2016 edition of World Development Indicators is out: three features you won’t want to miss

フィリピン貧困率、国レベルで改善、貧困地域はより貧しく

フィリピン政府が世帯調査、貧困率を発表

フィリピン統計機構(Philippine Statistics Authority: PSA)は2012年から2015年の世帯調査の結果を発表した(PSAはフィリピン政府の統計専門機関)。

貧困率の全国平均は、27.9%から26.3%へ改善したものの、貧しい地域はより貧しくなったというショッキングな結果が報告されている。もっとも貧しい北サマル州(Northern Samar)では、53.1%から61.6%まで貧困率が悪化した。

一方、対照的に貧困率が改善した地域もある。ビリラン州(Biliran)では、28.1%から18.3%。東サマル州(Eastern Samar)では、67.1%から50%。南レイテ州(Southern Leyte)では、42.8%から36.6%。

 

貧困悪化は自然災害が原因

政府関係者によれば、「貧困率が上昇した地域は、2013年の巨大台風「ヨランダ」など、自然災害の影響を大きく受けた」ことが原因のようだ。

これらの地域の住民は農耕や漁業に依拠した生活を営んでおり、自然災害リスクに対して脆弱な状況にある。

気候変動が貧しい世帯に大きな影響を与えている中、こうしたリスクに対処する方策の検討と、一刻も早い実施が望まれている。

 

参照:Region 8 poverty incidence worsens from 2012 to 2015

カンボジアのビジネス情報を配信するオンラインマガジンと提携

カンボジアへ進出する日本企業のためのオンラインマガジン

The Povertist編集長の敦賀です。カンボジアのビジネス情報を発信するオンラインマガジン『Cambodia Business Partners』と今後連携していきますのでお知らせします。

Cambodia Business Partnersは、カンボジアの日々のビジネスニュースを日本語で伝える新鋭メディアです。一日あたり3本程度の記事をコンスタントに公開しており、日本語で利用可能なカンボジアのメディアとしてはトップクラスの発信力と思います。また、日本語のフリーペーパーを年2回8,000部発行しているようです。

カンボジアへ進出している外国企業のトップやスタッフへのインタビュー

ニュースの量と質もさることながら、インタビュー記事の充実ぶりも目を見張るものがあります。日本企業に限らず、外国企業全般にインタビューを試みている点で、他の日本語メディアとは一線を画していると思います。

起業家だけでなく、そこで働くカンボジア人スタッフへのインタビューや、カンボジアの商習慣で気を付けるべきポイントをまとめた記事なども、実務的でとても参考になるものです。

また、ニュース記事以外にも、進出を考えている日本企業向けにセクターごとに情報がまとまっているのもビジネス情報誌ならではのポイントです。

カンボジアのビジネス情報を扱う、総合的なウェブサイトとして今後ますます拡大していくと予想させるオンラインメディアといえるでしょう。

The Povertist と Cambodia Business Partners

さて、The Povertistとどう連携していくかです。これについては、緩やかな提携という表現がぴったりくると思います。

The Povertistは途上国の貧困と開発を扱うオンラインマガジンを目指しており、全世界をカバーしています。

その中から、カンボジアのビジネスに携わる方にとって有益な記事については、随時転載いただくこととなりました。

このような細く長いパートナーシップを今後も模索していきたいと思います。

ジンバブエ旱魃で食糧輸入、南部アフリカを気候変動が襲う

気候変動でジンバブエが食糧不足

ジンバブエが1月から4月までの短期間で、35万トンのメイズを輸入していたことが世界食糧機関(WFP)の発表でわかった。旱魃による国内の穀物不足の影響を緩和することが目的だ。

WFPによれば、ジンバブエは180万トンのニーズを満たすために、さらに130万トンを輸入する必要があるようだ。

南部アフリカではエルニーニョの影響によって経済成長の鈍化と食糧価格の高騰が顕著に見られている。

来年4月までには、同地域に居住する3,200万人が旱魃の影響を受ける見込みで、677百万ドルが不足すると見られる。

 

参照:Zimbabwe imported 350,000 tonnes of maize to end of April