カンボジアの農村で貧困の負の連鎖が始まっている

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高度経済成長の真っ只中にあるカンボジア。都市部で進む急成長と貧困削減の影に、農村部のコメ農家は完全に隠れてしまっている。経済成長の影が日に日に伸び、農村部の貧困層に光が当たらなくなっているのではないか。そんな気がしてならない。

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なぜカンボジアのコメ価格は暴落したのか?

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相場暴落の原因

国際的なコメ価格の下落に対し、カンボジアでは何が起き、政府はどのような政策を実施したのだろうか。

カンボジアでも隣国と同様、コメ価格の暴落によって生産農家は大打撃を受けている。カンボジア特有の課題としては、精米業者(Miller)の資金力が乏しく、農家からコメを買い取ることができない事情がある。コメの生産性は高まっているが、中間業者である精米業者がコメを買い取ることができない。これでは価格下落に歯止めがかかるはずもない。

また、隣国からの輸入米の増加も国内相場の値崩れの要因と考えられる。特に、コメの輸出大国であるベトナムからの安価なコメの流入が大きな要因と考えられている。ミャンマーやタイとの市場競争も激化しており、これらの国から輸入される低価格米の供給量が国内市場で増加している。それによって、カンボジアの国際競争力が相対的に弱化する負の連鎖が起きているようだ。

カンボジアのコメの輸出に対する影響はどうだろうか。ここ数年のトレンドを見ると、カンボジア米の輸出高は2015年に急増した。2016年は例年とほぼ同程度に落ち込んだが、後半に盛り返している。

カンボジアは付加価値の高い「香り米」をブランド化し、コメの輸出を強化しようとしている。そのため、どの価格帯で相場が値崩れしているかを慎重に分析する必要があるが、現状ではこれ以上の統計データがないため詳細な分析が難しい。

いずれにせよ、隣国のコメ市場でも価格下落が続くようであれば、今後も見通しは厳しいと言えそうだ。

カンボジア政府の対抗策

こうした状況を受け、政府はどのような対抗策を実施したのだろうか。

2016年3月、カンボジアコメ協会(Cambodia Rice Federation: CRF)はカンボジア政府に対して、2つの陳情を提出していた。1つ目は、精米業者の資本(Capital)へのアクセスを確保すること。つまり、資金調達を容易にする政策をとること。2つ目は、違法なコメの輸入を取り締まること。精米業者が農家からコメを買い取りやすくすると同時に、外国からの供給量を減らすことが狙いだ。

これに対してカンボジア政府は、3月30日、国境でのコメの密輸取り締まり強化について合意した。一方、商務省高官は、「アセアン経済共同体(AEC)との関係で輸入割当量を定めることはできないが、輸入米に対する増税は可能」と発言している。

また、カンボジア政府は4月6日、農業製品に関する付加価値税(VAT)の免除を実施。農民が種を購入する際の負担を軽減するほか、精米業者がコメを買い取る際の負担を軽減し、稲作農業の国際的な競争力を高めることが狙いだ。第三四半期には、精米業者に対する低利ローンも実施したが、借りる業者が少なく、打開策とはなっていないのが現状だ。

現時点で言えることは、カンボジア政府だけでなく、各国政府が対応策を講じているにもかかわらず状況は改善していないということ。具体的なデータに基づく議論ができない現状ではこれ以上深掘りすることが難しいが、今後、精緻な調査と分析結果が公表されてくると思われる。

マクロ経済への影響だけでなく、コメの生産農家、とりわけ貧困農民に対する影響が懸念されるところだ。

 

東南アジアのコメ市場に何が起きているのか?

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コメの生産地、東南アジアで何が起きているのだろうか。日本国内では話題になっていないが、コメの国際価格が歴史的な下落に見舞われている。コメの生産と輸出が経済成長を担う東南アジア諸国では、これが大きな問題となっている。

価格下落の要因は国ごとに異なり、かつ、現在進行形の事象であることから分析に使える統計データも乏しい。東南アジアのコメ市場に何が起こっているのか。今年一年のメディア報道を元に考えてみたい。

コメの過剰供給が価格下落の要因

結論から言えば、国際市場でのコメ価格の値崩れは、コメの過剰供給が原因と言えそうだ。つまり、需要に対して供給過多に陥っているため、市場価格が暴落しているということだ。

2016年第一四半期、東南アジアで発生した旱魃の影響が終わり、コメの国際価格が高騰。その後、コメの輸出国であるタイなどの生産が上向き、タイ政府が古米の政府在庫を大量に放出したことも影響し、タイ米の輸出価格が大幅に下落した。10年ぶりの安値水準

ベトナムでも供給過剰が問題となっている。昔ながらの三毛作を続けるベトナムでは、天候不順に伴う品質の低下と国際競争の激化、世界的なコメ需要の低下が原因で、120万トンの余剰米がつみあがっている。2016年1月-10月のコメ輸出量は、前年同期比18.2%減の400万トンと大幅に後退した。

国際的な備蓄量の増加、旱魃の影響による一時的な需給の変動が東南アジアのコメ市場に影響を与えていると言えそうだ。

中国の密輸取り締まりの影響

アジアの大国、中国の政策もコメ相場に影響を与えているとする見方もある。ミャンマーでもコメ価格の下落が深刻化しているが、ミャンマー政府はその原因として中国に対する輸出減を主張している。

最近、中国政府は違法なコメ輸入の取り締まり強化を行っている。これによって、ミャンマーから中国へ供給されていたコメの輸出量が減少。ミャンマー国内で行き場を失ったコメの備蓄量が増えているという。中国に対する供給量が減ったことが、コメ価格下落の原因とする見方だ。

中国政府の公式統計は公表されていないため、実際の違法なコメの輸出入量を調査することは難しい。ただ、ミャンマー政府は中国に対する輸出量を密輸であるかどうかにかかわらず、公式統計に含めている。中国側は密輸としてミャンマーからのコメ輸入の取り締まりを強化しているが、ミャンマー側の統計データからは中国に対する輸出量が減少しているとわかるということだ。

ミャンマー政府の公式統計で中国に対する供給量が減っているという状況を踏まえれば、他の東南アジア諸国から中国へ流入するコメの輸出量(密輸量)も減少していると考えられるかもしれない。

 

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ガーナで円借款事業再開へ、JICA

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国際協力機構(JICA)がガーナに対して円借款事業を再開すると現地メディアが報じた。

最初の案件は、ガーナ東部回廊の整備の一環で、ボルタ川の橋梁の改修事業と見られ、100億円規模とされている。

日本はガーナが2001年に重債務貧困国(Highly Indebted Poor Countries: HIPC)入りしたことを受け、円借款事業を停止している。2004年には1,050億円の債務救済措置(債務免除方式)を実施し、それ以降は新規貸付を行っていない。

ガバナンスの脆弱なサブサハラアフリカ諸国にあって、ガーナは政治・経済的に安定している。最近では石油資源が見つかり、資源国の仲間入りも果たした。

日本にとって、無償資金協力が先細りの中、政府開発援助(ODA)の総額を維持するためには円借款事業が生命線。

JICAがガーナへ円借款事業をコンスタントに展開していくことができれば、ガーナの経済成長だけでなく、日本のODAにとっても良いニュースと言えるだろう。


参照元:Japan To Resume Loans To Ghana From Next Year

JICAがインドの地下鉄整備へ円借款か、デリーメトロ第4フェーズ

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国際協力機構(JICA)がインドの地下鉄整備事業へ追加融資することに関心を持っている。これは、11月1日に地元紙THE HINDUが報じたもの。

デリーの地下鉄開発事業は4つのフェーズに分けて計画されており、第3フェーズでは、JICAが事業総額の48.57%を優遇条件で融資している。

今後、デリーメトロ(DMRC)からの打診を待って、具体的な議論が行われる見込み。


参照元:JICA keen on funding Delhi Metro phase IV