政策支援で期待される成果と資金繰りへの影響
資金繰りの問題で言うと、人道支援のように黙っていても人道危機が起き、資金提供者から声がかかることは、私の分野ではありえない。社会保障や政策支援は、納税者や消費者には成果の見えにくい分野であり、人道援助に比べると資金調達が難しい。ILOの中でも、ほとんど資金がつかないところだ。そういう状況でどのように事業経営をしていくかといえば、まず目立たなければならない。目立った上でしっかり実績を出す。目立つというのは日々の発信が大切であるということだ。
国際労働機関(ILO)インドネシア事務所社会保障プログラムマネージャー。大学院卒業後の2010年4月、国際協力機構(JICA)新卒採用。アフリカ部アフリカ一課(ケニア・ソマリア・エリトリア・ナイジェリア担当)、ケニア事務所OJT、研究所企画課(TICAD V報告書、Africa 2050、米コロンビア大学共同研究、AFD・英サセックス大学共同研究、ワーキングペーパー等)、アメリカ合衆国事務所(総務・調達・経理、国際機関・研究機関連携、緊急援助)。2016年4月、ILO本部社会保障局(政策担当、ブリーフ・報告書制作等)、アジア大洋州総局(広域技術協力プロジェクトマネージャー、ASEAN共同研究、ベトナム年金制度改革、インドネシア雇用保険等)、インドネシア事務所(インドネシア・ミャンマー技術協力プログラムマネージャー、雇用保険新設・年金制度改革・出産手当金制度新設等)。
資金繰りの問題で言うと、人道支援のように黙っていても人道危機が起き、資金提供者から声がかかることは、私の分野ではありえない。社会保障や政策支援は、納税者や消費者には成果の見えにくい分野であり、人道援助に比べると資金調達が難しい。ILOの中でも、ほとんど資金がつかないところだ。そういう状況でどのように事業経営をしていくかといえば、まず目立たなければならない。目立った上でしっかり実績を出す。目立つというのは日々の発信が大切であるということだ。
個人名で仕事することが、ILOでは特に重要な価値観である。2024年11月にアジア15カ国の代表をジャカルタに招待し、専門家会合を主催した。雇用保険や失業給付を実施している国は改善点を見つける機会とし、これから制度設計を […]
ILOは零細企業や個人事業主の集団であると、私は常々思っている。実際、組織対応ではなく、何でもかんでもすべて個人がやらねばならない場面があり、組織的にもそうするように言われている。 スタッフの採用やや業務委託先の調達に関 […]
私個人の状況について述べると、幸いなことに、アメリカの影響が薄い、現場のプロジェクトマネージャー兼責任者という立場にある。社会保障分野でインドネシアを担当する場合、私が全責任を負う形になる。もちろん上司である所長などが存 […]
TBSラジオの「週刊ワシントン」エピソード73「USAIDの解体」で、国際協力機構(JICA)田中所長がゲスト出演した内容に刺激を受け、国際機関の現場から見たアメリカ政府の対外援助政策変更の影響について考察したい。
5月7日の会議運営が終わり、落ち着いたので、直前に起きた出来事を振り返ってみる。
インドネシアの社会保障制度において、生活保護制度は極めて大きな割合を占めている。この生活保護制度は2000年代から始まり、現在では年間約1000万世帯が受益している。平均的な家族構成を5人と仮定すると、約5000万人が生活保護を受けていることになる。これは世界最大規模の生活保護制度といえ、社会保障財源の税財源の約20〜25%が当てられている規模の大きな国家プロジェクトである。
インドネシアは2023年に65歳以上の人口が全人口の7%を超え、国際連合人口基金(United Nations Population Fund: UNFPA)の定義による「高齢化社会」に突入した。多くのインドネシア人やメディアは依然として「人口ボーナス」を語り続けているが、財務省や人口動態を研究する専門家の間では危機感が広がっている。推計によれば、インドネシアは2045年頃に高齢者人口が14%を超える「高齢社会」へと移行する見込みである。
インドネシアにおける政策形成過程では、国際基準や他国の事例よりも国内情勢が優先される傾向が強い。数百回に及ぶ政策対話の経験から見えてきたのは、人口大国としてのインドネシアが国際情勢の論理をよりも、自国の国内事情を最優先させる姿勢である。
インドネシアのジャカルタ南部にある労働市場センターを訪問した。この施設は日本のハローワークをモデルに構築されたもので、失業給付の支給、職業紹介、技能訓練が必要な求職者を適切な訓練機会へ繋ぐという、いわゆるワンストップサービスの役割を担っている。