外部メディアに掲載された記事の一覧です。

JICA研究所の有識者インタビューがおもしろい

開発援助業界で活躍する有識者のインタビューが89本
「休日は何をしていますか?」と聞かれ、「You Tubeを見ています」と答えると冷ややかな目で見られるこの頃。今日は、「動画鑑賞も悪くない」と思ってもらえるように、最近はまっている動画をご紹介したい。

開発援助業界で活躍している方、これから開発途上国の発展に尽力したいと思っている方に必見なのが、JICA研究所のインタビュー特集だ。現時点で89本のインタビュー動画が投稿されている。JICA研究所でイベントを行う際などに撮影され、比較的高頻度でアップされている。

世界中の研究者や実務家から国際機関のトップまで
有名どころで言えば、前ASEAN事務局長、国連大学総長、日本・イギリス・アメリカの世界屈指の研究機関、世界銀行・アジア開発銀行などの実施機関も網羅しており、バラエティーに富んだ話が聞ける。

私の個人的な好みで言えば、The Povertistへ寄稿して頂いているローレンス・ハダッド(IFPRI)のインタビュー。栄養分野の世界的権威であるだけでなく、オピニオンリーダーとして援助潮流にも影響を与え続けている。トピックから選ぶとすれば、条件付き現金給付(CCT)のインパクトについて語ったマリト・ガルシア(世界銀行)がおすすめだ。

偉い人に人生を語らせる他では見れないインタビュー
冒頭、「はまっている」と書いたのには別の理由がある。しばらく見ているとあることに気づくだろう。インタビューの質問が一風変わっていて面白い。JICA研究所のインタビューでは、一番最初にほぼ必ず聞く質問がある。

「あなたのバックグラウンドを教えてください」

開発業界のトップを極めた人たちが生い立ちを語る姿を見たことがあるだろうか。聞かれた方も意外なトピックを振られて一瞬キョトンとする人もいれば、大学生時代からの昔話を喜んで話し続ける人もいる。

例えば、直近のインタビューでは、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのマネジメント学部のトップが、かなりの時間を割いてバックグラウンドを語っている。

偉い人がどうやってそこまでたどり着いたのか、ニコニコしながら話す姿は実に面白い。開発援助業界でキャリアを歩むプロフェッショナルにとっては、とても興味深いインタビュー集ではないだろうか。

英国マンチェスター大学世界開発研究所との連携について

ポバティストは、英国マンチェスター大学世界開発研究所(Global Development Institute: GDI)の情報発信に協力していくこととしましたのでお知らせします。

GDIは、マンチェスター大学にある国際開発に関する2つの研究機関(※)を統合して2016年初頭に発足する新しい研究機関です。統合後は、開発分野の研究・教育機関としてヨーロッパ最大規模となり、貧困、不平等、ガバナンス、政治経済、環境問題、都市問題等を扱う総合的な研究機関となる見込みです。

当面は、同研究所の情報サイト「Development@Manchester」で配信される貧困と開発に関するトピックを「オピニオン」ページへ掲載していきます。

 

※マンチェスター大学所属の国際開発研究機関

開発政策マネジメント研究所(Institute for Development Policy and Management: IDPM)
ブルックス世界貧困研究所(Brooks World Poverty Institute: BWPI)

開発援助プロフェッショナルの条件とは?-言葉のわからない親友

現地の生活へ足を踏み入れること

6年ぶりに降り立った東洋のパリ、プノンペン。開発援助業界へ足を踏み入れた場所へ帰ってきた。

王宮の裏に目立たない小道がある。月300ドルの下宿先が変わらずそこにはあった。大家さんを訪ねると、あの時と何も変わらない笑顔と人々と会うことができた。突然の訪問に躊躇することなくセットされた突然の歓迎会は、いつもお決まりの自宅前の路上。行き交う住民が、私の顔を覚えていて、声を掛けては帰って行く。言葉はわからないが、暖かい時間の流れが心地よい。

赤い手すり越しに、毎朝、私の出勤を待っていたバイクタクシーの溜まり場へ向かう。顔なじみのドライバーが目を丸くして大声で飛んでくる。

クメール語。何を言っているかわからない。再会。感動と込み上げてくる涙だけが共通の言葉だった。

思わぬ再開に気が動転する親友たち。ポケットからしわくちゃの紙切れを出した。いつかの飲み会の写真のカラープリント。嬉しかった。

英語を全く解さない親友たちに連れられ、タックマウ地区の自宅へ連れて行かれたことがあった。地方からの出稼ぎの若者たちが居住するエリア。真っ暗な夜道をどこへ連れて行かれるかもわからないまま、親友を信じてついて行ったのが懐かしい。

もてなされた料理もそれまで見たことがないものばかりだった。魚を発酵させて作るプラホック(独特の風味のタレ)に生野菜をつけて食べる。見たこともない赤貝は塩辛く、アンコールビールと絶妙のハーモニーを醸し出す。蚊取り線香も蚊帳も無い高床式の野外ステージで飲み会を見守っていたのはたくさんのヤモリたち。電灯に集まる虫をたらふく食べる姿が懐かしい。

言葉のわからない親友をたくさん持つこと
2009年9月からの半年間、私は国際労働機関(ILO)のカンボジア事務所で勤務した。初めて手にした給料は300ドルの小切手。プノンペン市民と同等の生活水準だった。だからこそ、カンボジアの人々と同じ空気を吸い、言葉のわからない親友と出会えたのかもしれない。

開発援助業界には、おかしな二項対立がある。ローカル v.s. インターナショナル。現地スタッフと国際機関の職員との間には超えられない壁があり、現地住民と外国人駐在員の間の垣根も高い。

現地の食事を口にせず、地元の青空市場へも行かない。外国人コミュニティで生活する西洋人や日本人コミュニティだけで生活する日本人。英語を話さない地元住民を怒鳴り散らす外国人。「郷に入っては郷に従え」とは真逆の、名ばかり「プロフェッショナル」がたくさんいる。

データやプレゼンが上手で、気弱な途上国の役人を説き伏せることがプロの仕事ではない。

言葉のわからない親友がどれだけいるか。通訳を連れて調査へ行っても出会えない、外国人には到底入り込めない場所に、地元の生活がある。

言葉のわからない親友を持つことができるか。それが、真のプロフェッショナルの条件。開発途上国で本当に良い仕事ができるかどうかは、言葉ではなく身をもって現地の生活や実情を伝えてくれる親友を持つことにかかっているのではないだろうか。

アフガニスタン地震被災地で支援を行う日本のNGO

アフガニスタン北部で26日、マグニチュード7.5の大きな地震が発生した。この記事を書いている時点での死者数はアフガニスタン・パキスタンで300人を超え、その何倍もの人々が被災している。紛争下の地域で大規模な被害が出ており、今後の人道支援がスムーズに進まないことが懸念される。

一般的に、紛争や災害が起きているときに最も不利(脆弱)な立場に置かれるのが、女性や子供とされる。今回は、紛争と災害が同時に起きたケースであり、女性と子供に対する手厚い支援が必要となるかもしれない。

 

アフガニスタンで活動するNGOの募金先
災害発生からまだ日が浅いことから、日本のどのNGOも、対処方針を発表していない。一方で、アフガニスタンに駐在事務所を構え、日ごろからプロジェクトを展開しているNGOがある。今後、募金窓口が開設されていくと思うので、募金先の検討の参考となれば嬉しい。

ジェン(Japan Emergency NGO: JEN)

2001年8月から活動。緊急支援、帰還民再定住支援、学校環境整備支援、衛生教育支援などで実績あり。10月27日、緊急支援出動を表明。

ジャパン・プラットフォーム(Japan Platform)

アフガニスタン・パキスタンで人道支援を行う日本のNGOへ出資している。2010年7月から2016年1月までに、11団体を通じて包括的な支援を行っている。案件一覧はこちらから。なお、これらの案件は、今回の被災を踏まえた対応ではない。今後、被災者支援に特化した募金窓口が開設されると思われる。10月26日情報収集開始。

難民を助ける会(Association for Aid and Relief: AAR)

1999年から活動。2002年1月に首都カブールに事務所設立。地雷回避教育、地雷除去、地雷・不発弾被害者支援を包括的に展開している。10月27日情報収集開始。

ピースウインズ・ジャパン(Peace Winds Japan: PWJ)

2001年7月から活動。緊急支援、学校建設、道路修復、井戸掘削、女性の収入向上など、幅広く活動を実施。

日本国際ボランティアセンター(Japan International Volunteer Center: JVC)

女性や子どもに対する支援に重きを置き、地域保健医療活動、教育支援、政策提言などの活動を実施。10月27日既往案件関係者の安否確認。

ジョイセフ(Japanese Organization for International Cooperation in Family Planning)

母子保健分野での支援に定評があり、アフガニスタンでも案件実施の実績あり。

シャンティ国際ボランティア会(Shanti Volunteer Association: SVA)

2003年から活動。緊急支援、学校建設、図書室支援事業、教員研修、読書推進事業などを展開中。

カレーズの会(KAREZ)

2002年から活動。南部カンダハール市で診療所を運営。

ペシャワール会(Peshawar)

1986年から活動。医療事業、灌漑事業、農業事業など、幅広い分野で地域に根差した活動を実施。

 

※緊急支援を実施している団体情報を随時掲載させていただきます。情報ソースとともに、こちらからご連絡お待ちしています。

 

日本政府の対応
現時点で日本政府の対処方針は発表されていない。今後の公式発表を待ちたい。安保法案が可決されてから初めての大規模災害となった。日本政府が実施する人道支援と自衛隊の連携がどのようなものになるのか、注目が集まる。特に、今回の被災地は治安上、支援団体が入りにくい地域が含まれるため、今後の紛争・災害時の人道支援の在り方を占う重要なオペレーションとなるだろう。また、各国政府もまだ対処方針を発表しておらず、早期の支援実施が望まれる状況にある。10月27日のプレスリリースで、「支援用意がある」と表明。

 

(2015年10月28日7時30分更新)

※被災地支援に際しては、それぞれの団体の活動内容、具体性をじっくり読み、募金先を考えてみませんか?「開発途上国の支援活動へ募金・寄付する際の心構え」も、支援先を決める際の参考として頂ければと思います。

IMF・世界銀行年次総会2015 – セミナー・ハイライト

今年もこの季節がやってきた。10月9日から11日の日程で、IMFと世界銀行は年次総会を開催した。今回の開催地はペルーのリマ。全世界の財務大臣・中央銀行総裁が一堂に会す一大イベントだ。年次総会では、プログラム・オブ・セミナー(POS)と呼ばれる各種イベントが開催されることが恒例となっており、近年ではインターネットを通じた生中継で全世界から視聴することができる。ここでは昨年度に続き、注目すべきPOSをピックアップしてご紹介したい。

オープニングイベント - 今日から2030年までに何をすべきか

今年の年次総会で注目すべきイベントを一つあげろと言われれば、間違いなくこのセミナーだろう。ジム・ヨン・キム世界銀行総裁、パン・ギムン国連事務総長、クリスティーナ・ラガルドIMF専務理事、ジャスティン・グリーニング英国国際開発相など、開発援助業界のリーダーが1時間自由討論を行った。20年後、私の世代が主役となるとき、日本の有識者もあの場に座りたいと思わせるイベントだ。

経済政策 - 不平等、機会、繁栄

このセッションは、社会的・経済的インクルージョン、不平等と貧困の関係、機会の平等の実務的な計測・モニタリング方法などを議論している。貧困撲滅と繁栄を組織命題に掲げるジム・ヨン・キム世界銀行総裁も登壇した。

産業政策 - ポスト2015開発アジェンダの実施へ向けて

こちらのイベントも興味深い。2030年までに誰が何をすべきか。経済構造は、産業政策はどうあるべきか。誰がどのような責任を負い、何をすべきなのか。ノーベル経済学賞受賞者であるジョセフ・スティグリッツ教授(コロンビア大学)含む有識者によるパネルディスカッション。

教育政策 - 公平な経済成長へ向けた質の高い教育

教育分野に関心のある方にとっては興味深いパネルディスカッションかもしれない。これまでの教育セクターのトレンドは、教育へのアクセスだった。つまり、就学率を改善し、退学率を下げ、より多くの子供たちが学校へ行けるようにする。それが教育セクターがこれまで注目してきたことだった。しかし、トレンドは徐々に変わりつつある。学校教育の質の向上をいかに達成するか。関心が移ってきている。このセミナーではバングラデシュ、ペルー、セルビアから大臣も討論に加わり、活発な議論が行われた。

農業政策 - 気候変動対応型食糧システムへ向けて

旱魃、洪水、天候不順。気候変動の影響は年を追うごとに実感に変わり、確実に開発途上国を脅かしている。2050年までに、私たちはどのようにして90億人を養う食糧システムを構築できるのだろうか。気候変動対応型食糧システム(Climate-Smart Food System)について有識者が議論を行った。ジム・ヨン・キム世界銀行総裁とルワンダの財務経済計画大臣も討論に参加している。

データと指標を制する者はSDGsを支配する

持続可能な開発目標(SDGs)が採択され、お祭り騒ぎが一巡した。賽は投げられ、いよいよこれから具体的な行動を起こしていくべきなのだが、開発援助業界には残念な慣習がある。採択されるまでは騒がれ、採択された後は大した注目を集めないという、援助業界の「あるある」ネタだ。

今回のSDGsも放っておくとそうなるだろう。議論を風化させず、前に進めるために、この場で少しずつ問題提起していくことは意味があると思いたい。

面倒な交渉は国連にやらせておけ、実施段階で支配する

SDGsが採択される前のことだった。世界銀行職員とSDGsについて議論していた時に示された見解だ。鮮明に記憶に残っている。

「SDGs採択までの面倒な政治的交渉は国連にやらせておけば良い。そこでどのようなゴールとターゲットが設定されようが構わない。目標が決まった段階で主導権を握る。設定されたターゲットをどのような指標で、どのような計測方法を使ってモニタリングすべきか。実務レベルの議論をリードできるのは世銀だけだ。そこで議論を支配すれば全てをコントロールできる。」

「私たちが世界で一番指標(計量・統計)に強い。どのようなゴール・ターゲットであっても、最後は世銀のスタンダードが世界のスタンダードになる。だから、交渉事に無駄な労力を割く必要は無い。指標を作る段階で、自分たちの思うように料理すればいい。」

事実、SDGsのゴールやターゲットは設定されたが、指標や計測方法は設定されていない。例えば、ゴール1は貧困撲滅だが、貧困の定義は決められていない。誰がどうやってモニタリングしていくのかも合意されていない。

その矢先、世銀が国際貧困線を1.90ドルへ改定したことは記憶に新しい。おそらく、ゴール1の貧困撲滅は、「1.90ドル以下で暮らす人々の数をゼロにすること」で定義されていくことになるのだろう。まさに先手必勝。

かなり強烈な意見だった。多くの開発パートナーが「SDGsに何の要素を入れるか」に注力する中、実施段階で議論をコントロールしようしている点は、「さすが」の一言に尽きる。

キーワードは「データ」-SDGsへ向けた日本の開発援助の課題

恥ずかしながら、「日本の援助はこんなに素晴らしいんです」と胸を張って言えたためしはない。それはなぜか。ほぼ例外なく、統計的に正しい手法で案件のインパクトの評価を行ってこなかったからだ。統計がすべてではないことは理解する。しかし、主観的に主張するだけでは誰も聞いてくれない。当然のことだろう。

日本語で「SDGs」と検索してみて欲しい。検索結果はどれも「SDGsが採択された」という事実のみ。日本国内の開発パートナー(政府機関、NGO、民間企業、市民団体、宗教団体等)が、どのようにSDGsへアプローチしていくつもりなのか、議論されている例は極めて少ない。

オールジャパンでSDGsへ取り組むためには、MDGs時代のままではいけない。変革のためのキーワードは「データ」だ。

世界銀行の全てがよいとは思わない。しかし、事実として、家計調査データをしっかり収集し、実施した案件のインパクトを分析できる体制を作っている。この点を日本も見習わなければならない。

日本の援助の決定的な弱点は、個人力。組織全体を見れば、高度な調整能力と事務能力は世界一。しかし、統計学の手続きに則ったデータ収集・定量分析に関しては、実施体制が全く整っていない。

2030年まで、まだ15年ある。自分たちが実施する案件を定量的に評価できる体制を整えたい。今からでも遅くはない。

ローマは一日にしてならず

こういう新しい試みを提案すると、すぐにでも成果を出したいと考え、外注しようとする動きになるかもしれない。しかし、内部人材を育て、外注せずに実施できる体制を作り上げることこそが重要なのだ。

いったん外注してしまえば、美しい評価結果は手に入るだろう。しかし、データ収集や分析の過程で、どのような処理がされているか把握することは難しい。

データや指標というのは、一見すると客観性を持っているように見えるが、分析者が望ましいと考える結果に恣意的に操作されていることが多々ある。

15年後に、「こんなに頑張りました」と後付けで、エビデンスもなしに作文しなければならない状況は、とても寂しい。

今から実施体制を抜本的に見直し、案件のインパクトを正しく評価できる人材の育成と実施体制を整えておくべきだと考える。

IMFx

国際通貨基金(IMF)が無料でオンラインコースを提供している。IMFxは、無料のオンラインコースを提供する大手edXとの連携で実現したもの。

 

たとえば、マクロ経済予測のコースが10月21日から8週間の日程で開講される。インターネット環境さえあれば、誰でも受講できるのが特徴だ。

また、録画なのでいつでも受講できるのも嬉しい。週日仕事で忙しい実務家も、週末の少しの時間で取り組める。

学問の秋。全世界のクラスメートと一緒に一流の知識を学ぶのも悪くないだろう。

カメルーンの街角でアフリカの芸術を着る

みなさん、こんにちは。

ポバティスト編集長の敦賀一平です。先週お送りした中央アジアのシリーズはいかがでしたでしょうか。

今週からはアフリカ中西部の国カメルーンを舞台にお届けします。

かつてヨーロッパの人々から「暗黒の大陸」と呼ばれたアフリカ大陸。文化も歴史もない。そう思われていました。しかし、街を歩いていると、そこで生まれた文化や芸術が日常に溶け込んでいる瞬間を、ふと垣間見ることがあります。

アフリカンプリント。

独自の模様と色使いに込められた作り手の思いとセンスに魅了されます。マーケットへオシャレをして出歩くアフリカの女性たち。アフリカで生まれた芸術が女性の日常を彩っています。

「色彩」は衣類の色だけではなく、多様性を表します。カメルーンの日常から開発課題まで。カメルーンで出会った「色彩」をテーマにカメルーン駐在員が日常をレポートします。

それでは、お楽しみに。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが、サービス最低で有名なコムキャストに買収される

連休前の金曜日。

軽い足取りで帰宅した私を待っていたのは、衝撃のニュースだった。

愛すべき関西の遊園地「USJ」が買収されたのである。高校の修学旅行で行った思い出の遊園地だ。

そこまでは百歩譲ったとしてもだ。

買収先がなんと、コムキャスト。これは許しがたい。

コムキャストと言えば、サービスが最低にも拘らず生き延びていることで有名だ。

ウソだと思うのなら、検索してみてほしい。アメリカ在住者のブログがヒットするわするわ。

これまで、日本、カンボジア、アメリカでインターネット・ケーブル契約をしてきたが、ダントツでサービスが悪い。

悪くしようと思わなければできないレベルの対応をされる。

私の経験を話そう。

  1. 契約時、郵送でモデムを送らず、客にタクシーで40ドルの辺鄙な場所へ取りにいかせる。
  2. ワクワクして帰ってきたら、モデムが壊れていて使えず(ちなみに見た目からボロボロの中古)。
  3. クレームの電話をしたが、自動音声が対応。何度も英語で自動音声に応えるが、発音が悪いらしく、たらいまわしにされる。その挙句、電話を切られる。
  4. 担当者派遣を約束させたが、1か月先まで予約がいっぱい(どれだけクレームが多いのだろう・・・)。
  5. ようやく派遣されてきて原因が判明。モデムを取り換えただけ(初めから新品を送ってほしい)。
  6. やっと直ったので怒りを堪えて「ありがとう」と言うと、「どういたしまして」。1ミリも申し訳なく思っていない(なぜならその担当者が壊れたモデムを渡したわけではなく、会社のほかの担当のせいだからだろう)。
  7. 1年後無断で20%程度値上げされている。
  8. 解約したいがタクシーで40ドルかかる事業所まで行くのは嫌なので泣き寝入り。

ともかく、日本法人がコムキャストに買収されるのはとても残念だ。

買収されることを決めた方々が、あとで後悔しないことを祈るしかない。

それにしても不思議なのは、このようなサービスをしている会社がアメリカにはいくつもある。サービスが最低なのに、大企業を維持している。

資本主義が行き届いた社会では、サービスの良いビジネスが生き残り、悪い会社は淘汰されるものだと思っていた。

コムキャストの例は、必ずしもそれが正しくないことを意味する。

お客様は神様である日本法人がコムキャストのような企業に買収されるというのは何とも不思議。

コムキャストがUSJから客商売を学んで、より良いサービスを提供することを狙っているのであれば、コムキャストの経営陣を最大限評価したい。

 

※追伸

コムキャストが一点だけまともな対応をしたので、追記する。それがフェアだ。

1か月間モデムの故障によりサービスを受けられなかったが、最初の請求書はなんと満額、勝手にクレジットカードから引き落とされていた。

さすがに我慢できずに抗議の問い合わせをした。

するとあっさり全額返金。

クレームがあまりにも多すぎるため、担当者レベルの判断で金を返せる仕組みになっているのだろう。

私が本当のことを言っているかどうか、裏を取って調べるそぶりも見せず、即決だった。

クレームに対する返金のポリシーは日本にはない素早い対応だ。

いちいちクレームしなければならない社会は生きにくいことは間違いないが。

日本による中央アジア地域支援の展望

みなさん、こんにちは。

ポバティスト編集長の敦賀一平です。

2013年にウェブサイトを拡充して以来、開発途上国の貧困問題と開発援助について幅広く扱ってきました。世界各地で第一線で活躍する12名のエキスパートによる記事を掲載し、多くの国と地域をカバーしてきています。

ところが、ある特定地域のみ、まだ登場したことがありません。

中央アジアです。

多くの読者の方々にとって中央アジアは、シルクロードの時代で記憶が止まっているのではないでしょうか。

謎に包まれた中央アジア。

どのような開発課題があり、日本はどのような関わり方をしているのか。

明日以降、シリーズ「日本による中央アジア地域支援の展望」を連続でお届けします。

中央アジアで活躍するエキスパートが、少しずつシルクのベールをはがしていきます。

それでは、お楽しみに。

 

特集: 日本による中央アジア地域支援の展望