国際協力を生業としていますが、仕事以外の部分を書いていきたいと思います。国際協力仕事人はどのような私生活を送っているのか。何を考え、キャリアを選択しているのか。様々な角度からコラムを書くことで、国際協力がより身近になればと考えています。

国際協力機構(JICA)から国際機関(ILO)へ移籍して変わったこと

人の評価はどうでもよく、自分が満足できるかどうか

簡単に自己紹介をすると、国際協力機構(JICA)へ新卒で入社して6年、国際労働機関(ILO)へ移籍することになった。最近感じるのは、「こいつはJICA職員という素晴らしい身分を捨てて、一体何を考えているのだろう?バカだなぁ。」と考える人が世間には一定程度いるということ。実際に私自身も、JICAを去るかどうか、最後まで悩んだのも事実。職員一人当たりの予算規模が圧倒的に大きく(おそらく世界の開発業界トップクラス)、仕事の自由度も高い。やろうと思ったことは、たいてい実現できる。これが国際機関の場合、予算の制約が厳しく、出張に行くことすらままならないことも多々ある。 さらに読む

「教養のための読書」と「書くために読むこと」の違い

読書の必要性を説く人がたくさんいる中、いつも「あぁ読まないとなぁ」と思って自分を戒める。しかし、よくよく考えてみると、何をもって「読書」というのだろうと感じることがある。

本を買って、一ページ目から最後まで読むのが読書。本を買って、気になる章だけ飛ばし読みするのも読書。本を買って、索引だけ使って困ったときに参照するための辞書・百科事典も読書なのか。私の場合、本を買って一ページ目から最後まで読んだ直近の記憶は、漫画ばかりだ(漫画ばかりなことを批判する人もいるが、漫画から学ぶことはとても多いと感じるので、これを「お恥ずかしながら・・・」とは言わない)。

そもそも、読むという行為を何のためにするのか。「教養を身に着けるため」と多くの人が答えるだろう。読んで自分の中にとどめておくことで、人としての成長が感じられる。そういう体験を私もしたことがある。それゆえに、読書は大事だと感じる日々だ。

一方、「書くために読む」ということが、最近の私の生活の中では大部分を占めている。誰かに伝えるために読むということは、自分の教養のために読むという行為と180度くらい違う筋肉を使うと感じる。

例えば、教養として読むのであれば、よくわからない部分はあやふやに読み飛ばしてもよい。しかし、プレゼンやウェブサイトへ投稿するための情報収集として読むのであれば、わからない部分は他のソースで納得できるまで調べる必要が出てくる。100%の正確性を担保する必要はないが、ある程度納得のいく説明を自分でできるようになる必要がある。

まとめると、教養のために読むことは、広く浅く知識をつけるための行為。書くために読むことは、狭く深い知識をつける行為。

私の周りには優秀な人が五万といて、みんな本を読むスピードがウサイン・ボルトよりも早い。同じ仕事をしていても絶対にかなわない人ばかりだ。

ただ、多くの人が教養のために読むことに注力していて、書くことを前提としていない気がする。アウトプット重視の読書へ転換していくと、面白いのにな、と思う日々である。そして、アウトプットの場として、The Povertistを使ってほしい。

それは同時に、教養のために読むことをしばらくしていない自分への負い目でもある。

西洋のYesと日本のYesの違い

開発途上国の援助を生業としていると、否が応でも世界中のプロフェッショナルと仕事をともにすることとなる。その中で日々感じることは、西洋のYesと日本のYesはずいぶん異なるということだ。もちろん一概に西洋とひとくくりにするのは乱暴ではあるが、あくまで私が経験してきた中で感じた「平均」の話である。 さらに読む

アメリカの郵便はなぜ届かないのだろう?

アメリカで生活していて、一番困るのがこれ。とにかく郵便が届かない。

激しく同意してくれる人もいれば、まったく問題ないという人もいるから、運の良しあしなのかもしれないが。 さらに読む

緒方貞子を評価していなかったが、気付けば彼女の敷いたJICA人生を歩いていた

こんなことを言うと怒られるかもしれないが、緒方貞子という人物をそれ程評価していなかった。

私がJICAで働き始めた当時、緒方さんはキャリアの末期。 さらに読む

2015年のテーマは「チェンジ」でした、年末のご挨拶

本年も多くの方にお世話になりました。少し早いですが、年末のご挨拶にかえて、書かせていただきます。 さらに読む

アメリカではサービスが悪くても儲かるが、日本ではきっと儲からない

築120年のアパートの自宅には、当然のことながら洗濯機がついていない。

つければよいといわれるかもしれないが、配管がないのでつけられない。 さらに読む

開発途上国や援助業界で活躍する方から「記事のネタが無い」と言われます

オンラインマガジン-The Povertist-を通じて開発途上国のネタや開発援助業界の話を紹介しています。

日本の開発業界を盛り上げるには、実務に携わっている人が自分の言葉でもっともっと発信していかないといけない。 さらに読む

ミスター・マーケットに溺れる人たち

ミスター・マーケットとは株式市場のことで、投資家ベンジャミン・グレアムが使った言葉だ。日本、イギリス、カンボジア、ケニア、ニュージーランド。いろいろなところに住んできたが、ここまで資本主義を意識させられる国はなかった。 さらに読む