人工衛星を使った天候保険、東南アジアで導入

東南アジアのコメ農家は、人工衛星を使った天候保険の恩恵を受けることになるかもしれない。これはドイツ(GIZ)を中心としたイニシアティブで、支援対象国は東南アジアのカンボジア、タイ、ベトナム、フィリピンにインドを加えた5か国[1]

洪水や干ばつなど、天候に起因する不作がトリガーとなって保険金が支払われる仕組みだ。従来の保険の仕組みでは、保険会社が被害状況を調査し、保険金の支払い可否を審査することが一般的だった。しかし、このスキームでは、人工衛星から被害状況を確認することで、実地調査のプロセスを省いている。

被保険者にとっては、保険金の支払いまでの期間が大幅に短縮されるメリットがあり、保険会社にとっては審査に係る調査コストが削減できるメリットがある。

アジアは世界のコメ生産の90%を占めるだけでなく、多くの低所得者層の生活の糧となっている。しかし、近年では気候変動の影響が顕在化しており、干ばつや天候不順による不作に見舞われることもたびたび報告されており、農業保険の重要性が認識されつつある。

天候保険の課題としては、支払い基準が不明確な点にありそうだ。保険金の支払いが人工衛星からのモニタリング結果に基づくため、被保険者からは審査基準が目に見えない。加入者を増やすためには、天候保険に加入することによるメリットがクチコミで広がることが不可欠となりそうだ。

なお、人工衛星を使った天候保険に関しては、国際協力機構(JICA)がエチオピアで実施した例がある[2]


[1] GIZ. 2017. Satellite data secure rice farmers’ income in Southeast Asia.
[2] JICA. 2013. 天候インデックス保険を通じた干ばつ対策への取り組み.

ケニアがドローンの商用利用を認可

ケニア政府が無人航空機(Aerial Unmanned Vehicles: AUVs)の商用利用を認可した[1]。これによって、法規制のグレーゾーンに怯えることなく、堂々とドローンを輸入し、商用利用を行うことができるようになる。アフリカではルワンダに続く二例目。

広大な大地を抱えるアフリカでは、交通・物流インフラの需要に供給が追い付いていない問題がある。ドローンが全てを解決するわけではないが、僻地への医薬品の運搬など、ドローンが従来の物流網を補完する役割を担うことが期待されている。

また、美しい草原や自然豊かな大地を抱えるケニアにおいては、ドローンからの空撮の需要も高いとされる。物流だけでなく、低コストで高品質の映像を作成することが可能になれば、観光産業にもプラスに働くと思われる。新技術に対する規制のハードルが緩いアフリカ。今後も様々な形で新しい技術の導入が進んでいくだろう。


[1] Daily Nation. 2017. Soon drones will be buzzing in Kenyan airspace.

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