最近炎上した記事を振り返る

最近、「発信しませんか?」と国際協力関係者にお声がけをするのですが、良く聞かれる質問があります。

 

「発信していると叩かれないのですか?」

 

答えは、ずばり。

 

「叩かれます」

 

実名でネット上で議論する文化

このブログのようなマイナーなページの記事であっても、一旦SNSで拡散し始めると、もう止まらないです。

ましてや、The Povertistの方に掲載すると、だいたい1記事当たり500~1000件くらいアクセスがあるので、割と頻繁に些細なことで叩かれることがあります。

実際、SNSやメールで批判の嵐になることもよくあります。賞賛のメッセージというのは普通書かないですから、匿名で批判だけがやってくることが多いです。

これは日本のコミュニティの特徴です。

英語の発信をする場合は、ツイッターやブログで実名で意見のぶつけ合いに発展して面白いのですが、まだネット上で議論する文化が日本にはありません。

最近では、意見が割れそうな意見でも、あえて掲載して反論を待つこともあります。記事を読んで、「このやろう!」と思うところから、議論が始まるのだと思います。

 

最近炎上した記事を振り返る

せっかくなので、最近炎上した記事をご紹介します。

JICAのシリア研修員受け入れに批判が出ていることについて

この記事はかなり炎上しました。JICAの募集要項で「女性差別だ」という意見が随分出て、SNSをはじめとして人権団体の方などもJICAを総叩きにする中、私は擁護する意見を投稿しました。

色々意見がある案件ですので、炎上するだろうとは思っていましたが、案の定でした。

本当は色々意見があって良いと思うのですが、総叩きにしたことによって、JICA側は単純に削除して幕引きとなった案件です。

私の考える理想的なネット上の雰囲気としては、SNSやブログで専門家が公開でブログ記事などで意見の応酬をするのが好ましかったのですがそうなりませんでした。

叩けば公的機関が折れなければならない雰囲気は良くないので、風穴を開けたかった事案です。

 

ミャンマーとラオスの貧困は比較できる?

これは最近の記事です。JICAのプレスリリースの誤りを題材に、日本の援助関係者間に「貧困指標などに関する理解が不足している」ことの危機感を伝えるために書いた記事です。

お気づきの方もいるかもしれませんが、3月3日にこのブログで「ミャンマーの貧困率と貧困線 」と題して公開した記事がベースです。

その記事の中で、以下のように書きました。

 

この誤りを指摘したところで、揚げ足を取るだけの小さなものです。影響力の大きいThe Povertistで公開すると、ODA叩きを趣味にしている人の格好の材料となってしまうので、こちらのブログでひっそりアップしました。一方、貧困に関する基礎知識の大切さを説明するにはとても良い材料だったので、記事にしました。

 

小さな誤りを指摘することで「揚げ足取り」と誤解されたくなかったので、The Povertistの方では公開しないつもりでした。

ただ、いろいろ考えた末、「誤解を恐れて、私が発信しなければ何も変わらない」と思うに至り、表現を変えて、より影響力の強い媒体The Povertistで公開しました。

案の定、「揚げ足取り」というコメントを各方面からいただきましたが、ひとりでも多くの関係者に問題意識を持っていただくきっかけになったのなら、良かったと思っています。

 

炎上を恐れ、発信しなければ何も変わらない

最後にこの点だけ明確にしておきたいと思います。

波風を立てなければ出世するのが日本文化です。しかし、世界の中の日本を考えたとき、炎上を恐れて黙り込んでいてよいのでしょうか。

炎上することを恐れて、自分の意見や情報を個人の責任で発信しない日本文化は、変えなければならないと思っています。

 

 

炎上するということは、発信に対して意見が戻ってくること

今、私は裸の王様かもしれません。

発信することで、私が笑われたり、批判されることは構いません。

黙っていても何も変わらないわけですから。

発信しないより、発信して炎上する方が良いと思っています。

炎上するということは、それまで黙り込んでいた人々が、自分の意見を表明し始める瞬間に立ち会うということです。

炎上させるために書いているわけではありませんが、変化を起こすときには、100回に1回くらい意見がぶつかることもあります。

それがネット界における、炎上です。

 

国際協力関係者が自分の言葉で発信する。

 

誰か一人でも賛同し、発信する文化を日本の国際協力に作りたい。

そう思っています。