外人の役割は忖度せずに正しいことを言うこと

政府の末端職員の仕事は、目の前の社会課題を解決すること。政府幹部の仕事は、国の将来を考えて政治家に具申すること。政治家の仕事は今を優先して国の未来を売らないこと。私のような外人の仕事は、忖度せずに何が正しくて何が間違っているか彼らに言うこと。

なお、JICA職員は現地の人々の自主性を重んじる訓練を受けるので、この限りではない。かくいう私も、JICAからILOへ移籍した折には抵抗があった。ILO職員は加盟国が決めた労働・社会保障のルールを基準に、何が正しく、何が間違っているか、白黒つけた発言を日々求められる。

ちなみに、「冒頭の外人という表現が差別用語で、外人さんや外国人と言うべき」という人がいるが、私の育った環境では外人だったので、自分を含めてその国以外の人はみんな外人。外人さんや外国人という言葉を使うべきという議論があるのを知ったのは、ここ最近の出来事でしっくりこない。

冒頭の話に戻ると、JICA職員時代には 「担当国を愛せよ」と上司に怒鳴られて苦笑したことがあるが、ILO移籍後は(ここでは誰も教育してくれないが)担当国、社会、人々の考え方のどこを変えるべきかを批判的に常に見なければならない。表向き、批判ばかりすることになるが、その奥には愛がある。