在宅勤務と上司のジレンマ
在宅勤務を認める時代にあって、在宅勤務を認めたくない使用者や上司は引き続きいる。世代間のギャップも確かにあり、若いマネージャーはオフィスに来ることをさほど求めないかもしれない。かく言う私も、部下がどこで何をしていようが我関せず。仕事をやっていてくれればそれでよい。
世代間ギャップ以外にも様々な傾向がある。例えば、最近気づいたのは、スタッフをそばに置いておきたいと考えるマネージャーは事務所に出勤させようとする。それは単純な話で、何かあればすぐに頼むとサッとやってくれるスタッフがそばにいれば使い勝手がいいからだ。
一方、生産性の観点から言うと、そういった仕事ができるスタッフに関しては、在宅勤務にして放置していても仕事を自発的に自ら見つけ、考え実行する人材であることも多い。黙っていても成果が出るわけだ。しかし、仕事を進んで自発的に行わないスタッフに関しては、在宅にしたり目の届かないところに置いておくと、何も成果が出ないということが往々にしてある。
マネージャーとしてのジレンマは、そういったスタッフを出勤させようとは考えず、出勤して欲しいのは放っておいても仕事をこなし成果を上げてくる人材だということだ。結果、できる人材は自分の仕事以外も任されているという感覚になり、他人の仕事をするために出社させられていると感じることになるかもしれない。
一番不幸な結末としては、できるスタッフがやめていくということだ。それは「在宅勤務をしていれば、もっと生産的に色々な仕事を自発的にこなすことができたのに、出勤させられるために自分のパフォーマンスをフルに発揮することができない」と自覚するからだ。つまり、「自由にもっと仕事ができる環境があれば成果を出せる」と考えるので、別の職場に移っていく。結果的に残るのは、仕事を自発的に行わないスタッフとなる。これは完全に負のサイクルに陥っている状況だ。