実は私、出張が嫌いです
田舎の友人からよく、「海外出張が多くていいね」と言われます。
私の答えはいつも同じ。
「そうでもないですよ」
当然、場が盛り下がります。
私が出張嫌いな理由は2つあります。
出張は追加業務
私の経験ですが、海外出張は日常業務に加えて発生する追加業務であることがほとんどです。海外出張へ行くと、会議日程が詰め込まれ、会議のたびに議事録を作成する必要があります。もちろん昼間は会議で隙間がありませんから、日中に作成することはできません。当然、ホテルへ帰ってから夜な夜な議事録を作成するわけです。滞在中ずっと会議ということも多いですから、その日の議事録をその日のうちにまとめておかなければ、明日の自分に降りかかってきます。議事録というのはすぐに作らなければ忘れてしまいますしね。
また、これまでの私の場合、調査よりも国際会議へ出席するような出張も多いです。その場合、直前になって「明日の会議で15分話してください」なんてことも良くあります。日本の会議のように、半年前から調整に調整を重ねて準備されていませんから、主催者のその日の気分や状況(登壇者のドタキャンで代打を探す場合など)で突然翌日話すことになったりもします。
先日の出張でも、そうでした。日曜の午前中に到着し、夜の9時に業務用メールを確認したところ、「翌日の午後にプレゼンしてほしい」、と。時差ボケで眠たい中、そこから夜中の2時まで準備して4時間寝て会議へ出席しました。しかし、結局、会議時間が押してしまい、私含め他の登壇者のプレゼンの時間は無くなってしまったというオチ。「ふざけんなよ」と昔なら思っていたところでしょうが、こういうことはよくあります。
出張復命書もそうです。出張へ行くと、会社への報告書を提出しなければなりません。これも追加業務ですよね。
休暇が無くなる
私のこれまでの出張の例をとると、「土曜日出発、日曜日現地着、月~金曜日会議、土曜日出発、日曜日帰着、業務復帰」というスケジュールがほぼ定型でした。この日程で出張すると週末が2週間分つぶれます。
ちなみに、私の経験ではこの日程での出張で代休を取得できたことはありません。そもそも、有給休暇を消化できない環境で働いている場合は代休は意味を成しません。
上記の通り出張は追加業務なので、日常業務が1週間分滞るわけです。普通の平日に1週間休暇に行った後の自分の机に大量の書類が溜まっている感じですね。
また、出張中も上記の通り、週末は関係なく仕事をしています。議事録を作成したり、日常業務のメール処理をしたり、プレゼン準備したり。私は週末に本業の仕事をしたことがほとんどないのですが(ほかの個人プロジェクトに時間を使ってます)、出張中はやらないわけにはいきませんね。あとで火の粉は自分に降りかかってきますので・・・。
ちなみに、こういう仕事をしているとよく誤解されるのですが、飛行機のクラスはどこまで行ってもエコノミーです。西アフリカ諸国を行脚した際には4泊8日(東京、パリ、アビジャン、パリ、セネガル、パリ、東京)で機内泊3日で6時間ずつという感じでしたがエコノミーでした。これはかなり極端な例ですが・・・。旅行客や赤ん坊の泣き声に囲まれながら書類を読んだりもします。
飛行機のクラスは偉くなったりすると変わる場合もありますが、私は極力エコノミーで飛び回れるだけの体力をつけていきたいなと思っています。仮にビジネスクラスをオファーされても到着後に休める時間があったり、仕事準備が立て込んでいなかったりすれば、エコノミーにしてもらうと思います。自分のパフォーマンス同じなのに、3倍も払ってもらうわけにはいきません。
出張より駐在が良い
ここまで書くと、現場嫌いなのかと思われそうですが、そんなことはありません。むしろ、出張よりも、駐在してその土地に溶け込みながら仕事をしたいタイプです。出張となると、会議室巡りがほとんどですから、本当の意味で、その国や地域の空気に触れることはできません。開発援助に携わる者として、出張で忙しくしながら会議室巡りをするよりも、腰を据えてその地で働くことに幸せを感じます。
開発援助機関の本部勤務やマネジメントレベル(組織戦略等)で勤務してきました。時々、我慢の限界が訪れ、「そろそろ途上国行きたいです」と数年に一度発作のように直談判してしまいます。その際にオファーされるのが、「出張行く?」ということ。
半ば笑い話ですが、私にとって「出張行く?」は、「追加業務欲しいの?」と聞こえるわけで、本当は駐在したいのですよね。まだしばらく出張ベースが続きそうです。
どこで働くかも大事ですが、どんな仕事をしているかも等しく大切です。
結論
こういう環境の出張が多かったため、出張先に駐在している知人に連絡を取って会うことが少ないです。予定が直前までわからないのと、追加業務が多いことから、約束しにくいのですよね・・・。空き時間は仕事をしなければならないことも多いため、仮に食事へ行けたとしてもお酒を飲むことはほとんどありません。酒好きには辛いですが。
私がヒッソリとあなたの駐在地へ現れたとしても、「連絡が無い!」と落胆しないでくださいね。偶然、町でバッタリ会った時の感動の方は大きいですよ。