弱体化する日本を憂う
外国で出稼ぎ労働していると、祖国がより身近になり、心配になるとよく聞く。政治家が標的にされる事件が度々起こるのは、残念で心配になる。決して許されるべきではない。
こうした事件を見るたびに我慢強い日本人や日本社会が我慢の限界まできているのではないかと憂慮する。給料が30年間上がっていないのは世界で日本だけで、タイ人もインドネシア人も日本旅行が安いと感じ始めている。日本人が安い賃金で清掃、整理整頓、秩序だった社会を賢明に維持している一方、それを楽しみに大量の観光客が外国からやってきて、街や観光地は外国人で溢れている。
低い賃金で生きる日本人は、息抜きに街へ出ても観光客の多さに幻滅し、国内旅行先も同様の理由で敬遠してしまう。
外国で出稼ぎできる人は日本を出る。賃金が上がらなければ、食費も上がらず、儲からない田舎の農家は息子に事業を継がせることをしない。農家はせめて自分の世代は全うしようと、政府を支持し、東南アジアから安い労働力を得る。
日本人の賃金が上がるはずがない。農家の働き手がいなければ、賃金をあげて都会から労働者を引っ張るのが市場経済だとすれば、農家が安い労働力を新興国から買っている限り、日本人の給与は上がらない。
雇用は社会不安と密接に結びついている。いつの時代も失業や低賃金が社会不安の原因となってきた。
日本は戦後、憲法も教育も安全保障も、どこかの国の言いなりの下で整備し、言いなりになり続けて久しい。経済が好調なときは社会不安は忘れられたが、そろそろ日本人の我慢も限界に近いのではないか。
マハティールは今の日本に幻滅しているだろうが、日本はそろそろ自分の足で歩き始めるときなのかもしれない。
今回の事件を見て、マハティールの言葉を思い出していた。