やりきる力

国際協力を仕事にしたいと考えている人から、コツや近道についてよく聞かれます。

努力が間違った方向へ向かうと意味がないので、色々な方法論を伝えはします。

ただ、結局のところ、愚直に淡々とやり切る力がない人は成功しないと思います。

目標を定め、覚悟を決め、批判されようが失敗しようが努力を継続し、最後までやり切ること。

小さな身近な例を一つ。ILOで働きはじめて驚いたのが、大量のドラフトレポートが公開されずに個人のフォルダに置かれていること。プレゼンする際には詳細な分析を行うため、スライドの裏側には何十ページものレポートがあります。

しかし、プレゼンして終わりの人が多く、そこから骨の折れる推敲、編集、デザイン、内部調整に労力を割く人は稀です。レポートを世の中に送り出すことまでやり切ることで、それを活用したいと考える人に届くわけです。

プレゼンの対象となるその場にいるその瞬間に生きている人だけでなく、「インドネシア政府へ私たちがどのような社会保障政策を提言しているのか」知りたい世界中の研究者や、未来のインドネシア政府の官僚や政治家が同じ情報にアクセスできるように、レポートを公開するまでが仕事だと私は考えます。

これを毎年何回もやり切り、継続するのはとてつもないストレスになります。ただ、これを続けることでのみ、次の仕事に繋がるわけです。

これで何を得たか。オンラインでレポートを愚直に公開しまくるということをやっている人は弊社では少ないので、必然的に私のところには色々な話がきます。知らない人から連絡を受けたり、国際会議へ招待してもらったり、レポートが名刺代わりになっています。

多くの人は質を重視して、批判を受けることを恐れ、ドラフトを個人フォルダに置いておきます。私の場合は、質がある程度のところま行けば、どんどん公開する作業に移行します。(今のところ経験ないですが)公開後に批判や誤りがあれば、別のレポートを新たに書き、公開します。完全に物量作戦を採用していて、振り返らず、上書き上書きで前へ進める方針です。未完の製品をローンチして、アップデートを繰り返す昨今のIT企業に似ているかもしれません。

私より若い世代に響くかわからないですが、キャリア相談受けたときに私が伝えることに近い考え方が、堀江さんの本に色々書かれていました。