積み木
いつものカフェでいつものコーヒー いつものおばちゃんといつもの会話
何の変哲も無い昨日と同じ時間 少しも変わることなく流れる日々
わたされたコーヒーの味もいつもと同じ わたされたカップだけがいつもと違い
安っぽい紙コップのはずが きれいなカップにいつものコーヒー
顔色一つ変えないおばちゃん 目線の先にはソファがあって
いつもはオフィスに戻るのに 少しくつろいでいこうかって
埋まることの無い真っ白なカレンダーを 埋めることも無く追いかける赤と青
人混みに紛れれば霧はきっと晴れ 雨上がりの澄んだ空気に包まれる
いつもはゆっくりのカレンダーも ペースを忘れて駆け足になる
閉め切った真冬のカフェから 十勝晴れに照らされ駆け回る笑顔を眺める
扉を開けて人混みに紛れれば 少しは楽になれるのに
いつものカフェでいつものコーヒー いつものおばちゃんといつもの会話
何の変哲も無い去年と同じ時間 場所だけ変わって同じ事の繰り返し
自分の幸せとか感情とかは考えず 舞台に上がって自分の役割をこなす日々
誰にも会いたくない 話したくない 考えたくない
自分の感情を押し殺して いつもの舞台でいつも通り演じる日々
ゴミ箱に捨ててしまった 8年前 4年前のカレンダー
イチローだって誰だってそうやって いつもの舞台でいつも通り演じる日々
いつもの舞台でいつもの無表情
ポンと肩を叩いて コントでもやってみよう
コツンと額つついて コップの水を飲んでみよう
舞台裏でそうやって 無表情の背中を押す声
本心で語ってきた言葉だけが 去年と同じように綴られて
でもそろそろもういっかって 綴って閉じた日記
無心で積んできたおもちゃのピラミッドだけが 昨日と同じようにそこにあって
でもそろそろもういっかって 崩れていく積み木