先進国駐在の罠-届かないのに高額な郵便

久しぶりに「先進国駐在の罠」にハマりました。ここをご覧の方はご存知の方も多いと思いますが、私はワシントンDCに2年駐在し、ジュネーブも今年で2年目になります。これらの町に住んでいると日本の知人からは羨ましがられます。たしかに観光名所が多く、羨ましいのでしょうね。ただ、先進国に駐在していると先進国駐在特有の罠に出くわすことがあります。今日はその一端をご紹介したいと思います。

届かないのに高額な郵便

ジュネーブには家電製品を扱う店がとても少ないです。それなりに品数を揃えている店舗は2軒ほどあるのですが、規模的には日本のコンビニの2軒分くらいの売り場面積です。つまり、少ない品数でほとんど選択肢がありません。そうなれば、何か欲しければ通信販売で買うしかないわけです。しかし、スイスにはAMAZONがありません。どうしましょう。

8月中旬にスマホが壊れました。上記の理由からジュネーブでは買う気が起きず、アメリカのAMAZON.COMから個人輸入することとしました[1]。8月25日にオンラインで注文。速達オプションを付けて9月7日に受け取る計画でした。ところが、AMAZONから9月7日には配達ができない旨の連絡があり、9月14日の配達に変更となりました。この時点で速達オプションのために支払った3,000円は無駄になりました。

そしていよいよ、9月14日。オンラインで小包を追跡してみると、正午と15時の2回、配達へ来たようです。当然、週日の昼間は仕事中ですから受け取ることはできません。AMAZON.COMの場合、再配達はウェブサイトから依頼を行います。ウェブサイトのチャット機能を通じて、オペレーターに9月16日土曜日の配達を依頼しました。しかし、時間指定はできないとのこと。

9月16日。何時にやってくるかわからないので、どこへ出かけることもできずひたすら自宅で待ちます。待てど待てど来ません。結局その日は夜遅くまで待ちましたが、業者は現れませんでした。AMAZONのチャットオペレーターへ再度連絡。別のオペレーターなので、もう一度最初から説明のし直しです。結局、「もう一日待ってみてほしい」と言われる始末。

9月17日日曜日。もう一日待ちましたが、やはり来ませんでした。AMAZONのオペレーターに三度目の説明と再配達依頼。翌日の18時以降の配達を依頼。

9月18日。仕事を定時退社し、自宅でスタンバイ。配達業者はやはり現れず。AMAZONのオペレーターに四度目の再配達依頼。

「あと一日待って届かなかったら、全額返金します」

いや、そういう問題じゃない・・・。

途上国駐在より先進国駐在が便利と誰が言った?

まだ一日待ちますが、おそらく私の小包は届かないことでしょう。1ヶ月待っても結局届かず、返金されることとなります。実は、郵便やサービス産業にまつわる同様の経験はかなり頻繁にあります。ワシントンDCに駐在していたころは、最低でも一日一回はサービス産業関連で不快な思いをしたものです。

真冬にお湯が出なくなり、業者を呼んでも呼んでも来ず、冷水シャワーで12月~2月までの3か月間過ごしたこともあります。この話をすると、「バカだなぁ、黙っているお前が悪い」とよく言われたものです。ただ、このような話は日常茶飯事で、何をやるにもサービスを受ける側がマイクロマネージしなければならない環境があります。

先ほどのAMAZONとの4回のやりとりはその典型です。最初から届かないものだろうと諦めていましたが、やはりその通りになりました。冷水シャワーの件も、業者へ毎日クレームを入れ続ければよかったのかもしれませんが、2週目くらいでリマインドするのを止めました。

「冷水シャワーでも生きられるように自分をならした方が手っ取り早い」と、自分を納得させていたような気がします。マイナス20度のワシントンDCの真冬3か月間を冷水シャワーで。今考えれば信じられませんが、「不快な時間を減らすためには、サービス産業と関わらないこと」というのが私の見つけた解決法だったわけです。

ときどき、「海外ではクレーム行ったもの勝ちの社会」と美化して語る人がいます。たしかに、AMAZONとのやり取りで5ドル分の無料クーポンをお詫びの印にもらいました。しかし、そんなものはいらないのです。私の週末と労力と時間を考えれば全く割にありませんから。

先進国駐在と途上国駐在を経てわかったこと

私の経験上、ワシントンDCとジュネーブよりも、カンボジアのプノンペンに住んでいたときの方が快適に暮らせていた事実があります。当時は日本人も少なく、日本食もほとんど手に入らない時代でした。それでも困ったときは地元の人々に助けられ、困ったときはお互い様の社会がそこにはありました。先進国駐在と途上国駐在を経てわかったことです。

ちなみに、先ほどのトンデモナイ郵便業者はアメリカのUPSです。ワシントンDC駐在員時代は、UPSはとても良いパフォーマンスで重宝していたのですが、ジュネーブ支社はダメなようですね。

GOOGLE MAPのレビューが物語っています。40人以上が評価して5点満点中1.6点という数字は、私がこれまで出会った中で最低の数値です。レビューを見ると、郵便をことごとく届けることができていないようです。

私の場合は不在票すら手元にないため電話もできませんが、レビューの中には「電話をしてもドライバーがどこにいるか把握していない」というコメントもあり、もはやお手上げですね。AMAZONのカスタマーサービスから再配達の依頼を4回もしたにもかかわらず、一度も再配達に来ないような業者ですから、どうしたものか。

届けられない郵便業者の価値はどこにあるのでしょうか。

先進国駐在の罠

少々長くなりました。タイムリーな事例があったので、身近な例をご紹介しました。不満だらけに聞こえるかもしれませんが、こうしたことは割と頻繁にあります。カスタマーサービスに連絡をするとたらい回しにされたり、機械音声と延々と話さなければならなかったりすることもよくあります。

先進国駐在が全て便利でハッピーなものとは限らない。そんな話も面白いかなと思い、紹介するに至りました。ではごきげんよう。


[1] ちなみに、個人輸入扱いになるのでアメリカからの輸送費(2,000円)に加え、関税(5,000円)が上乗せされます。