広報の変化

文字のメディアであるブログが2000年代初期に全盛期を迎え、スマートフォンが普及し始めた。2010年代に入ってからはソーシャルメディアが徐々にブログの市場を奪っていった。それに伴い、Google検索で上位に表示されるようなSearch Engine Optimization(SEO)対策のような小手先の技術が2020年代に入ると通用しなくなってくる。

そして、2024年現在、人工知能(AI)が急速に発達してきて、ソーシャルメディアがAIや、古い言葉ではbotと呼ばれる機械が正しい情報や偽物の情報を大量に拡散する時代となった。こういう時代背景を考えた時、広報戦略は新しい時代の転換期を迎えているような気がする。

ここからはリアルへの回帰なのではないかと思う。つまり、ネット上に転がっている情報は、たとえそれが公式ホームページや名前の知れたメディアに掲載されている情報であっても、その裏側にある情報収集の段階で本当の情報か嘘の情報か、あるいは特定の目的のために切り取られた断片的な情報か、読者や視聴者には一見わからない時代になってきている。

他方で、読者や視聴者はこうした膨大な情報に簡単にアクセスできる時代でもある。こういう新しい情報化時代にあって、直接対面で人と会ったり、オンラインで直接話すような座談会のようなコミュニケーションの方法が、これからより一層大切になっていくのではないかと思う。

これはある意味、インターネットが登場する前の時代の口コミの広報がもう一度息を吹き返し、二次的なチャネルとしてAIやインターネットを使った広報が役割を果たしていくのだろうと思う。実際、いくらSEOやソーシャルメディアの小手先の技術を駆使してもフォロワーやPage View(PV)や「いいね」は増えることがなく、たとえ小手先の技術でこれらを増やしても良質な受け手の獲得には至らない。

意味のある情報を荒削りであっても、直接一次情報を届けることが大切になってくる時代である。その中で一人で発信するよりもリアルの対面の付き合いが今後より一層大切になってくる。