ジェンダー平等に疎くなる
ジェンダー平等!
世間の男性陣は、耳にタコができるほど聞かされてうんざりかもしれない。裏返せば、時代が変わり、女性の社会進出がより求められている証なのだろう。
ところが、開発途上国の国際協力に携わっていると、「ジェンダー平等」に疎くなる気がする。それは、この業界があまりにもジェンダー平等過ぎて、逆に男性にとって肩身が狭い思いすらするからだろう。
こちらは、10月19日の日経新聞の記事。新聞の本旨とは関係ないところで目が留まった。それはこちら。
(AIIBの)金総裁は鳩山氏に日本の参加を改めて要請したうえで、日本人の女性職員を雇用することも明らかにした。
何の変哲もない文章だが、下線部が男性だったら、色々なところで炎上していたに違いない。国際協力業界において、実はこれは珍しい一文ではない。国際機関の募集要項を見てほしい。かなりの確率で、「女性を優遇する」旨の記述がある。
書面上こう書いてあるだけで、女性であることが、実際のところどの程度選考に影響を与えているかはわからない。ただ、これまでの実感として、女性の同僚や上司が多い気がする。事実、現在の上司は全員が女性だ。
JICAで勤務していたときも同じ感覚を覚えた。女性にとっては、産前産後休暇が充実していたり、人事上もプライベートの事情に合わせた人事配置にしてくれる配慮が一定程度ある。
その一方、男性職員と同様に容赦なく生活環境の厳しい地域への赴任も待っている。全ては平等なわけだ。この状況を嘆いて冗談交じりに言っていた女性職員の言葉が忘れられない。
「もう少し女として扱ってくれても・・・」