インドネシアで仕事を進める際の留意点
インドネシアで仕事を進める際の留意点をインドネシア人の同僚とよく話す。これは多くの気づきを与えてくれる。最近のハイライトは、「小さな嘘をみんなつく」のが自分の国の残念なところ。これは文化というかインドネシア人の間の共通認識なのか。
ドライバーやメイドにおつかいをお願いすると、お釣りを内緒でキープする。交通費を少し多めに請求する。時間通り会える見込みがないのに時間を指定して後で不可抗力だったと言い訳をする。
こういう出来事は私が外国人だから目につくのではなく、インドネシア人の間でも認識されているようだ。では、こうした不正の予防策をなぜ考えないのか。どうやら、頻度が多すぎて、どうせ変わらないという気持ちが先立ち、慣れることを選ぶようだ。
こういう姿勢は政策法律にも現れている。ある法律のコンプライアンスが低い場合、通常の感覚ではコンプライアンスを上げるための指導・モニタリング・罰則を強化する。ここでは、守れない法律ではなく、守れる法律に下方修正しよう、という発想が根強い。
コンプライアンスは劇的に改善するが、社会は前へ進まない。人々の感覚と、国の制度設計は表裏一体だと感じる。
多民族国家のインドネシアでは、民族間で言語も違えば性格も違うというのも興味深い。物事をハッキリ言う民族と、何言いたいかわからない民族があって、インドネシア人の間でも共通認識があるらしい。
たとえば、これは典型的な例。グラブタクシーを待っているときにドライバーから届いたメッセージ。
ド「渋滞にはまっていて、すみません」
私「(急いでないので)待ってるので大丈夫」
ド「遠すぎます」
このあと返信せずにいるとキャンセルされたので、最初の渋滞にはまっているというメッセージは「遠いから行きたくないのでキャンセルして欲しい」という意図だったようだ。
ド「タイヤパンクしました。かなり遅れます」
キャンセルしろということだと理解。
ジャカルタは雨季に入っていて、4時から8時まではタクシーが捕まらない日々。グラブも渋滞にはまったり、遠いと、来てくれない。ますます、物理的に出社する意味はなくなり、自宅勤務のほうが営業時間が伸びることとなります。
仕事しながら雨宿りとタクシー探しを続けること四時間。雨上がりのサリナデパート。日本のインドネシアへの戦後賠償で建った同国初のデパート。