ILOとUNICEFの組織と働き方の違い

元ILOの知人がUNICEFで働いていて5年ぶりに話した。興味深かった話のまとめ。

予算割がILOは完全にプロジェクトごとの独立採算制なのに対し、UNICEFはプログラムごとに管理。つまり予算がより大きなポットの中に入っているのでスケールメリットがあり、自由度が高い。人件費の捻出も容易。一方、予算残にはUNICEFきびしく、ILOはザル。私は日本の官僚機構出身なので一円単位の予算管理が染み付いているが、多くのILOの職員は数万ドル単位の予算残が状態化している。その都度、追加予算なしの延長をするので、予算を使わない人の契約が延びていく。私のように予算執行する人の契約は短くなり、執行残の人は延長される逆インセンティブが起きている。

UNICEFではレポート提出期限やレビュープロセスなど、事細かく組織化されていて、個人のKPIに反映される仕組み。一方、ILOは提出期限が遅れる人が多く、KPIにも響かない。

モビリティポリシーは、UNICEFは期間内に異動しなければ契約がなくなる厳しさがある一方、人材の流動性が確保されていて、空席も多く、人事もサポートしてくれる。ILOは異動は努力義務で万年同じポストにいる人も多く、RB予算で雇用されている人の特権化が顕著。UNICEFの人事制度の方が公平。

UNICEFの資金調達や広報チームは数十人規模で桁違い。資金調達・広報を片手間で私がやっているようなレベルではない。

大方、私の理解と同じ内容だったが、他機関との比較は興味深い。

ちなみに、ポストや事業の安定性のためにはUNICEFのようにより大きな単位で予算管理するのがよい。プロジェクト<プログラムといえば業界人ならピンとくるだろう。一方、プロジェクト単位の弊社で組織改革をしようと思っても難しいので、私の場合はプロジェクトを複数作り全て自分の参加に置き、社会保障プログラムと名付けてやっています。自分のタイトルもプロジェクトマネージャーからプログラムマネージャーにして、運用しています。東南アジアのILOの社会保障はこういう自営業者のような感じが多いです。なので組織ではなく各マネージャーの力量で各国やっている感じです。万年人手不足です。 また、UNICEFの方が圧倒的に組織がしっかりしているようなので、日本の大企業で新卒から鍛えられた人はおそらくILOよりUNICEFの方が活躍しやすい、評価されやすい印象を受けました。 私も新卒から総合職でマネージャーとして鍛えられたので、マルチタスクや事務・経理・調達・営業・広報など苦になりません。ただ、得意なこととやりたいことのギャップは皆さん悩むでしょう。私も専門性の高い仕事に時間を振らねばならない立場なので、得意なこととやるべきこと、自分ができることを外注する苦しみなど、日々試行錯誤です。 また、インドネシア人・社会に対する印象が、私と知人で180度異なる場面も多く、興味深かった。インドネシア語を話す知人と話さない私、仕事上オフィス・政府以外の人と議論する私など、多くの要因がある。立場の違う人(専門家ではない人が多い)と半ば喧嘩腰で議論する(同時通訳のヘビーユーザー)ことも多いため、私はどんなに小さな会議でも同時通訳を雇っていて、タイムラグなしで喧々諤々やる。インドネシア将来とか政治とか出口のない議論で時には意見の食い違いで労組から怒鳴りあいになりつつやっているので、「インドネシア人優しく人が良い」といった一般的な感覚を忘れていた。 ある意味発見だった。