JICAでの仕事でやりがいを感じたこと、感じていることは?

(この記事は、2012年に実施したアイパル香川での高校生向けの講演会の質疑応答を元にしています)

JICA職員は若いうちから大きな仕事が任されます。案件の金額のお話を少ししましたが、数十億円というお金をどう使うかという判断に直接関わる仕事も少なくありません。それ故、より責任感を持ち、更に日々勉強することを心がけています。大きな仕事が出来るのはやりがいです。

また、仕事をする相手(途上国政府、民間企業、国際機関)が全員僕より十歳以上上のことがほとんどです。途上国へ行けば、日本の代表として大臣と直接お話をすることもありますし、東京の自分のデスクに途上国政府の大臣がサインした大事な書類が自然においてあることも多々あります。「この若造が」と思われないようによく勉強しておき、対等に議論することもやりがいです。

そして、なによりも大きなやりがいを感じる瞬間は、途上国の中で最も困った人たちの生活を助け、希望を与えられる瞬間です。2011年のアフリカの角旱ばつでは1日単位で死者数が増加して報告が上がってきました。一方、東京では事務手続きが上手く進まなかったり、日本側の理由で援助が迅速に出来ない事情がいくつもありました。そうしたつまらぬ問題で多くの助かる命が失われていくのが手に取るようにわかる中、僕らの仕事はいかに早く、適切に、必要な人に援助を届けるかということです。それが達成できた瞬間は格別です。