国際開発の研究チームを一緒に作りませんか?

実務から研究材料を手に入れる

開発分野の研究は「世の中の役に立ってナンボ」だと思っている。

事件は会議室で起きているんじゃない。現場で起きているんだ。

まさにその通りである。

開発課題は研究室で生まれるんじゃない。現場で生まれるのだ。

これは実務、研究、政策の仕事に携わる中で、私がたどり着いた現時点で答えである。

開発実務に携わっていると、日常的にたくさんの開発課題と出会う。

ある時は自問の中から疑問が生まれ、またある時は、カウンターパートから質問を投げかけられる。

こうした宿題と回答の連続が、実務家の日常である。

カウンターパートから得られる質問は、今まさに求められている研究題材であり、エビデンスが実務に結び付く宝の山である。

学術業界のスラングで言い換えれば、「リサーチクエッション」である。

学術業界ではリサーチクエッションを入手する方法が少し異なる。

過去の文献を読み、誰もやっていない新しい着眼点を見つけ、それが面白いリサーチクエッションと見做される。

研究材料を探すにはこの二通りの方法があるわけだが、開発実務に携わる者として、私は実務から得られるリサーチクエッションを大切にしたい。

手に入れた研究材料を一人で探求するのは難しい

少し昔話をしたい。

大学院を卒業後、25歳でJICAで働き始めた私は行き詰まりを覚えた。

大学院で研究の面白さ(と辛さ)とエビデンスの大切さを知った私は、「何とかこのモチベーションを保って、実務を続けながら論文を書いてエビデンスを生み出していきたい」と考えた。

しかし、週末に一人、論文を読み、研究を続けるモチベーションを保つことは容易ではなかった。

論文の分析手法や研究の進め方がわからなくなっても相談する人もいない。

「誰か仲間が欲しい。」

ずっとそう思っていた。

28歳の春、JICA研究所で働き始めた私は、研究マインドを持った実務家と出会う貴重な体験をした。

実務家が、実務で得られたリサーチクエッションを研究題材として世の中にエビデンスを提供していく。

そして、実務家の着眼点や論文の結論に書かれる政策提言に、研究者が唸る場面も何度も目撃してきた。

しかし、それを仕事として実践する場に身を置くことができる実務家は一握り。それもまた現実だった。

私たち開発実務に携わる者は、キャリアのどこかで1-2年研究業界に身を置くことが多い。

大学院へ学生として身を置いたり、研究機関で仕事をしたり。

いずれの場合も、実務の現場へ戻ると研究を続けるモチベーションを保つことが極めて難しくなる。

時間がない。忙しい。我ながら言い訳はたくさん思い浮かぶものの、一人で研究を続けることは案外難しい。

それが現実だった。

実務から研究材料を得て、みんなで研究をすすめる

実務に携わりながら研究や発信を続けたい。そんな仲間が欲しい。

そう思っているのは私だけだろうか。

研究マインドを持った実務家、実務マインドを持った研究者のコミュニティが欲しい。

そう思っているのは私だけだろうか。

開発途上国が抱える開発課題について情報交換・勉強会・調査研究・共同研究を行い、記事や論文といった形で成果を出すことを目的とする集団。

アウトプットを重視した研究者・実務家向けのコミュニティ。

実務家の履歴書には必ず研究成果を書く欄がある。

政策実務の現場では、エビデンスが日常的に求められる。

政策提言はエビデンスなしにはできない。

エビデンスは研究なしには生まれない。

研究材料はカウンターパートとの議論の中から生まれる。

実務と研究の二つの歯車を一緒に回しませんか?

国際開発の研究チームを一緒に作りませんか?

それもオンラインで。

新しい時代の開発研究をやりませんか?

DM待ってます。

9 返信
  1. 植村奏水
    植村奏水 says:

    ピースウィンズ・ジャパンというNGOのバングラデシュ、コックスバザール事務所で働いています。
    ロヒンギャ難民とホストコミュニティの保健医療支援を行っており、ここで得られる情報を使って論文を書けないかと考えていたところだったので、ご連絡させていただきました。

    • Ippei Tsuruga
      Ippei Tsuruga says:

      コメントありがとうございました。仲間がいて、とても心強いです。こちらの記事に書いた研究チーム構想についてアイデアを煮詰めてから、ご連絡させていただきます。

  2. Hisami Futakuchi
    Hisami Futakuchi says:

    上水道の設備が不十分だったり、飲料水へのアクセスが難しい地域で、手洗いだけではなく、個人の衛生行動についてとその効果を調べてみたいと思います。よろしくお願いいたします。

    • Ippei Tsuruga
      Ippei Tsuruga says:

      コメントありがとうございました。色々な専門分野を持った方が集まり、専門家同士で勉強会や共同執筆に発展できるようなプラットフォームを考えています。もう少し煮詰まった段階でご連絡させていただきます。

  3. Arisa Ishihara
    Arisa Ishihara says:

    民間の経営コンサルタントとして勤務しており、9月からJICAに転職予定の石原と申します。記事の内容にとても共感致しました。当方、民間連携の事例研究をしたいと考え個人で活動を開始したのですが、一人で進めるには情報量や精神面で厳しいものがあると実感しております。もしよろしかったら、ぜひ共に研究させていただきたいです。

    • Ippei Tsuruga
      Ippei Tsuruga says:

      コメントありがとうございました。構想固まり次第、連絡させていただきます。オンライン上のプラットフォームに仮想の研究所のような場所を作って、専門分野ごとに情報交換・勉強会・執筆などを展開できる分科会ができるとよいなと思っています。

      • Arisa Ishihara
        Arisa Ishihara says:

        コメントありがとうございます。とても楽しそうですね!ご連絡を心待ちにしております。

  4. 柴田英知
    柴田英知 says:

    初めまして

    JICA登録コンサルタント(社会開発)の柴田英知と申します。建設コンサルタント(総合)でODA業務を16年、国際協力NGOで1年実務経験をしたのちに、大学院で地域開発と参加の修士論文をまとめた経験からいえることは、実務家と日本の学界の問題意識の違いの大きさです。国際開発学会も20年くらいやっているので、昨今の一部のJICA職員や開発コンサルタントの学究心が高いことは認めますが、中堅の年齢層の人たちは、おそらく仕事自体が忙しく大学などの研究者との共同研究にまで手が回らないというのが現実でしょう。
    そしてなによりも問題は、開発コンサルタントはクライアントの契約で守秘義務があるため、また民間企業が大多数なので会社との労務契約があり、「仕事上知り得た情報」を勝手に持ち出し研究に供することは原則できません。
    わたしの会社は無償資金協力も円借款もやっていたので、その過程での調査報告書は、ほぼ禁帯出です。
    つまり、開発コンサルタントが一番現場に近くで情報をもっているのに学界など表に出せないというジレンマにずっと悩んできました。
    わたしも20年間、ホームページやブログをやっていますが、そのような内容のことは書くことがいまだにできていません。
    長くなりました。わたしのポイントは、1.開発コンサルタントなどの実務家が研究するには「守秘義務」の問題をどうクリアするのか。2.実務家の立場からすれば、本業だけで忙しいのに、大学や研究所の研究者と共同研究するだけの時間的な余裕とインセンティブがない、具体的には仕事として研究にさく時間が与えられ、また給与として反映されるのかが不明である。という問題があります。
    おそらく情報交換と勉強会はできると思いますが、守秘義務を考えるとオープンでやることは難しい。アウトプットを論文とするのであれば、先のふたつの問題を事前にクリアしておかなければ、情報交換と勉強会にでること自体に躊躇する人がいるかもしれない、と思います。
    ちなみに、わたしは自前で普通の社会人と仲間と「共創ワークショップ」という形で国際協力だけにかぎらない社会や人間の結びつきのあり方について研究会をやっています。ただ、半クローズドでアウトプットの出し方については、まだ模索中です。

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