年金保険料3%のインドネシアで労働組合と経済界から猛反対を受けること

日本で社会保障が真剣に議論されることも少ないので、連日、私も東南アジアの経験を投稿しています。よい機会なので、インドネシアの年金制度改革でどういう仕事をしているのか、少し紹介します。

図はインドネシアの年金財政の議論で、私たちが算出し、インドネシア政府に提出したものです。今後の社会保険料の伸びを表したグラフです。

twitter.com/IppeiTsurugaJP/status/1768450687438827805/photo/1

保険料を多く徴収せず、給付額分だけ毎年支出した際の推計が右肩上がりになっているグラフです。2100年には月給の28%を保険料から天引きすることで、1年間の年金財源を確保できるということです。毎年加速度的に保険料が上がっていくと次世代が大変なので、これを採用する国は少ないです。

(年金財政と医療財政の違いはあるので正確ではないですが)ツイート元で多数寄せられている「保険料ではなく国庫負担せよ」という話を実行すれば、国庫負担ひいては税金を加速度的に上げていくこととなります。これを回避するために多くの国では年金保険料を多めに集めて投資したり世代間分散しています。

中央の点線は、「保険料を11%設定すると、2100年まで保険料を調整する必要はないですよ」という保険料設定方式です。一番下の点線は、現在の保険料3%です。

インドネシアはまだ若い国です。11%の保険料設定で年金財政が2100年まで安泰というのは、日本人から見れば夢のような話です。

しかし現実は、現在の保険料3%から1%たりとも、使用者・労働者は負担率を上げることに同意していません。「次世代へ負担を先送りしてよいのか」という問いにも、「今の生活がすでに苦しい」ということでした。

こういう議論を、こちらでも喧々諤々やっています。