プラットフォームワーカーへの社会保障法適用と中所得国の難しさ

タクシー業界の利権と白タク問題に縛られて、ウーバーやグラブの普及が進まない国がある中、インドネシアは完全に自由化の方向に行っている。

つまり、誰でも流しのタクシーになれるという話。市中はもちろん、ジャカルタ国際空港の駐車場にはGrabジャケットのスタッフが車誘導と客のマッチングを手助けする場所まで設けられている。今は変わったかもしれないが、コロナ前のバンコク国際空港ではグラブは白タク扱いで空港への乗り入れは禁止されていた。警察の目を盗んで客をピックアップするドライバーも多く、個人的には助かっていたが、白タク扱いにあやかるのは後ろめたかった。

プラットフォームワーカーへの労働基準法や社会保障法の適用は進んでいる国と意識の低い国とで差が開きつつある。労働者保護の観点からは、法の適用範囲を拡充し、プラットフォームワーカーがプラットフォーム運営業者によって雇用されているとみなすよう明確化する必要がある。ただ、法改正がなされていない国では、司法に事案ごとに持ち込まれていて、判例ができるのを待たざるを得なくなっている。

インドネシアでもプラットフォームワーカーへの社会保障法適用の話はしている。関係者からは、プラットフォームワーカーをどのように保護すべきかとよく聞かれる。その都度、上記の説明を他国の事例を交えて話し、どの法律と政府規則を修正する必要があるか話す。しかし、プラットフォームワーカーが社会保障法や労働基準法の適用対象となると、市場が縮小する可能性があることから、一省庁が勝手に判断できないという反応となる。

保護より儲け。アジアの中進国の社会の雰囲気はまさにこういう感じが強く、問題意識はあっても各論が纏まらない議論となることが多い。