世界銀行がカンボジアへ5年ぶりに融資再開、4案件130百万ドルを承認

世界銀行がカンボジアの貧困削減へ、本格支援再開

5月19日、世界銀行がカンボジアへの融資を5年ぶりに再開することを発表した。カンボジア政府が3,000世帯の強制的な住民移転を2011年に行って以来、世界銀行は新規貸付を行っておらず、実施案件の継続支援のみ行っていた。

今回承認された案件は、国際開発協会(IDA)の低所得国向けの融資枠組みで、合計130百万ドル(約140億円)。譲許性の高い貸し付け条件となる見込み。償還期間は25~40年(据置期間:5~10年含む)。

融資案件は、インフラ、水、農業、社会保障・保健分野の4案件。

 

貧困層向け社会保障でユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成へ

健康格差・保健サービスの質の改善プロジェクト(30百万ドル)

貧困層の保健アクセス向上を目的とする案件で、社会保障の拡充を図る。同案件は2つのアプローチをとる。まず、カンボジアの国民健康保険(医療保険)にあたる基金(Health Equity Funds: HEF)へファイナンスし、貧困層300万人への保健サービス提供コストを補填する。これによって、受益者の自己負担額を軽減するほか、医療施設への資金提供を行う。次に、保健サービス提供側の能力強化を図るための基金(Service Delivery Grants)へファイナンスを行うことで、需要・供給の両サイドから支援を行う。

このプロジェクトは、世界銀行の融資だけでなく、カンボジア政府とマルチ・ドナー・トラスト・ファンド(MDTF)によってファイナンスされる。MDTFは、オーストラリア政府、ドイツ開発銀行、韓国国際協力団(KOICA)から50百万ドルが拠出される見込み。また、モニタリング・評価のために、世界銀行に設置されている日本開発政策・人材育成基金(PHRD)から1百万ドルが拠出される。

この案件を通じて、カンボジアのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)達成へ貢献することが期待される。案件名は、「Health Equity and Quality Improvement」。

メコン川流域総合水資源管理プロジェクト(15百万ドル)

メコン川流域の漁業・水資源管理の強化を図るプロジェクト。特に、北東部のメコン川流域に点在する貧しい農村部への裨益をねらう。案件名は、「Mekong Integrated Water Resources Management」。

道路維持管理プロジェクト(60百万ドル)

カンポット州、シアヌークビル州、トボンクムン州、クラチェ州で合計218キロメートルに渡る国道の改修を行う。雨季に発生する洪水に強いインフラ整備を通じ、運行時間の短縮とよりよい都市間接続をめざす。案件名は、「Road Asset Management II」。

土地配分・社会経済開発プロジェクト(25百万ドル)

土地なし農民と小規模農家5,000世帯、14コミュニティにおける生計向上プロジェクト。生計向上にかかる支援のほか、アクセス道路、学校、保健施設へのアクセス向上も図る。案件名は、「Land Allocation for Social and Economic Development Project II」。

 

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