32歳、決断。
昨年の今日、今年スイスにいることを知らなかったように、来年の今日、どこで何をやっているのか全く想像がつかない。
18歳まで生まれ育った北海道士幌町は人口7,000人の小さな町。士幌で生まれ育った人は「しほろっ子」と呼ばれ、ほとんどの人がその町で家庭を築く。
町を出ることはおろか、海外で働く人もほとんどいない町。
100年くらいの歴史しかなく、ひいじいちゃんやじいちゃんの世代が開墾して作った町。
そんな町で育った18歳の自分は、32歳の自分がフランス人やドイツ人と働いているなんて夢にも思わなかっただろう。
浪人が決まって札幌の予備校男子寮で迎えた19歳の誕生日。四畳半トイレ風呂無しで過ごした1年間。
故郷から遠く、香川大学で過ごした20代前半の四年間。
国際協力に出会った21歳。そして、人生2回目の海外。カンボジア。
国際協力を仕事にすると決めた22歳。TOEIC440点。武者修行先のニュージーランドで迎えたその年の誕生日。
この道で行くなら大学院。開発援助の最前線。イギリス南部ブライトンへ向かうバスの中で迎えた6月18日。23歳の誕生日。
卒業後の進路が定まらない中迎えた24歳誕生日。修士論文に悩まされる日々。
25歳。JICAで迎えた誕生日。まさか自分がJICA職員に。信じられない現実。念願の日本代表。しかし、理想と現実の狭間でもがく日々。
26歳。東北大震災。仕事が軌道に乗りつつも、これでよいのか悩む日々。
27歳。初めての人事異動。アフリカにいると思っていたが、市ヶ谷にいた誕生日。人生設計を少し軌道修正。
28歳。社会人として慣れる時期。理想が現実に飲み込まれていく感覚。
29歳。「これではいかん」と自学自習。夜間大学院に通い始めた時期。
30歳。初の在外駐在が決まる。ワシントンDCで迎える誕生日を誰が予想できただろうか。北海道の実家で12年ぶりに迎えた誕生日。
31歳。世界の中心で繰り広げられる別世界。周りの評価は上々も、納得できない自分。
32歳。決断。
21歳で志した国際協力の世界が、たくさんの人に助けられて、自分の世界となっている。
32歳3月。6年勤めたJICAを去る。国際協力を自分の世界にしてくれたJICA。
32歳6月。