イラク・シリア難民へWFPがデジタルカードで現金給付

WFPがイラク・シリア難民に対してデジタルカードの配布を実施する。これは通称SCOPEと呼ばれるカード。これによって、受給者は食糧配給の受給方法を選択できるようになる。

つまり、カードに組み込まれた受給者情報によって、食糧配給「相当額」を現金かバウチャーで受け取ることができる仕組みと思われる。

従来の物理的な食糧配給に加え、家庭や地域の状況に応じて、受給者に選択肢が与えられることとなるメリットがある。また、WFPにとっても、オペレーションコストの削減(食糧輸送・貯蔵費)に貢献することが期待される。

地域経済の観点からすれば、メリットもデメリットもある。外部からやってきて食糧配給を行うと、食糧生産・輸送に携わる地場産業が衰退するデメリットがあり、食糧の市場価格が下がることも予想される。一方、現金給付の場合、食糧価格の上昇リスクがある。もちろん、現金給付を行う場合は市場で食糧調達が可能であることが前提だ。

「食糧 vs 現金」は、緊急支援および社会保障(ソーシャル・セーフティネット)分野の古典的な問いであるが、デジタルカードという技術革新によって選択肢が広がったことは歓迎するに値する。

なお、WFPは欧州委員会人道援助・市民保護総局(ECHO)から約35億円(3,200万ドル)の拠出金を得て、同地域での人道支援に当たっている。

 

参照:Digital cards improve food assistance to displaced families and Syrian refugees in Iraq – UN agency

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