国際協力業界では、ネイティブ英語が一番伝わりにくい
イギリス英語が良いですか?アメリカ英語が良いですか?
キャリア相談をしていると、こういう質問を頂くことが多々あります。私の個人的な見解を聞いているのであれば、迷うことなく、「イギリス英語!アメリカ英語はありえない!」と叫びます。
しかしそれは、私がイギリス英語で教育を受けてきたためであって、アメリカで教育を受けた人はアメリカ英語が良いというでしょう。どちらでもよいと思いますよ。好き嫌いの問題で、私はイギリス英語が心地よく、アメリカ英語は正直言って聞き取れません。汚い言葉が飛び交うハリウッド映画は特に理解できません・・・。
個人的な話は置いておいて・・・。
国際協力で必要なのはネイティブアクセントではない
私は国際会議へ出席する機会が多くあります。
様々な国の人たちが様々な英語のアクセントで議論する舞台です。
誰の英語が一番伝わると思いますか?イギリス人?アメリカ人?
必ずしもそうではないと思います。
こんなことがありました。
アメリカ人、イギリス人が壇上へ上がって演説をし、会場からアメリカ人、イギリス人、ドイツ人が流暢な英語で畳みかけるように議論を展開しています。
議論についていくことができなかった私は途中で飽きてしまいました。
そこで、隣にいたカンボジアの代表へ会議の感想を聞いてみたのです。
「今の議論どう思いますか?」
どんな答えが返ってきたと思います?答えはこうです。
「何を議論しているのか全然わかりません」
私の経験では、これは例外的な事例ではありません。
ネイティブ英語を話す人や、英語に近い言葉(スペイン語・フランス語含む)を話す人たちが英語を話すとき、捲し立てる傾向にあります。
その時、特にアジアからやってきたノンネイティブの人たちは置いてけぼりにされる傾向にあります。
大事なのは相手が理解しているかどうかを感じること
コミュニケーションで一番大切なことは、相手が理解しているかを感じる能力だと思います。
「相手が理解していない」ことを感じ取る能力が著しく欠けている人が、ネイティブ英語を話す人や語源が近い言葉を話す人にはとても多い気がします。
ネイティブ英語を聞いていると、耳障りは良いのですが、何を言っているかわからないことも多いですよね。
そういうときは、周りの人もたいてい理解していないと思います。
国際労働機関(ILO)ではネイティブの方が少数派
国際機関と聞くと、アメリカ人やイギリス人ばかりだというイメージをもっていませんか?
ILOではネイティブ英語を聞く機会はあまりありません。
むしろ、「ネイティブ英語は本当に聞き取りにくい」という声の方が良く聞きます。
ニューヨークに本部がある国際機関はアメリカ人が多いのかもしれませんが、国際機関と言えども色々あるということですね。
いずれにせよ、国際協力で大切なのはネイティブアクセントに近づけることではない、ということを日々感じます。
イギリス議会の議長とのやり取り
最後に恒例のYou Tubeビデオです。
私はイギリス政治は追っていないのですが、議会でのやりとりをエンタメとして時々見ることがあります。
イギリス議会では、議長が絶対的な権限を持っていて、議員を退場させることもしばしば。
口汚く罵ったり、態度が悪い議員がいると、「謝罪しない限りあなたを退場させます」と迫ったりします。
また、議員を呼ぶときは個人名を呼ばず、Honourable Gentleman(高潔な紳士?)なんて呼び方をします。
何だか面白いですよね。
ビデオは、労働党の最古参デニース・スキナー議員がデービッド・キャメロン首相を罵る所から始まります。
口汚く罵ったスキナー議員に対してジョン・バーカウ議長が撤回を求めます。
それでもスキナー議員は撤回しません。
最終的には退場となります。
日本ではあまり見ない光景ですよね。
ちなみに、私はバーカウ議長のアクセントは好きです。政治思想は別ですけどね。
おまけ
昨日、ワシントンDCの戦略国際問題研究所(CSIS)で実施されたパネルディスカッションの映像です。橋下さんがCSISで話しているということが、ものすごく新鮮で、かつ、どういう経緯で呼ばれたのか物凄く気になります。橋下さんがCSISで、しかも、日本語でバリバリ話していることに違和感(他意無く純粋に不思議な感じ)を感じつつ、これくらい大物になればアクセントどころか英語すら離さなくても国際舞台で議論できるということも事実です。
単に、昨年自分がそこにいたことも不思議な感じがしたので、ご紹介しました。