海外駐在で「エンタメない」説は本当か?
海外を転々としていると、「仕事以外は何をしてすごしているのですか?」、「エンターテイメントがないので大変ですね」という話をよくされます。実際、多くの知人が開発途上国に駐在していますが、異口同音に語るのが、「エンタメが少なく、やることがない」という話。
キャリア相談でも「余暇の時間は何をしているのか」という質問を頂くことが多いです。ただ、これに関しては育った環境にもよるところが大きいということに最近気付きました。つまり、「エンタメない」説は、その人のエンタメの定義によるという感じがします。
多くの友人は、カラオケ、ショッピング、アミューズメント、外食、カフェなどが東京にはたくさんあるのに、海外駐在ではそれらのエンタメがないのでつまらないと感じているようです。
自宅で週末を過ごすことはつまらないのか?
私の場合、余暇の時間は自宅でゆっくりするというのが定番で、そういう家庭環境で育ちました。
北海道の田舎育ち(士幌町)で、半径15キロ以内にカフェ1軒、居酒屋1軒、ラーメン屋2軒、スーパーマーケット2軒、コンビに2軒という立地でした。つまり、上記のエンタメというのはほとんど存在せず、どこかへいけば必ず職場や学校の同僚に会うため、なかなか気が休まらない環境です。
こうした状況だったため、余暇の時間はほとんどが自宅。自宅にいないときは、一人で渓流釣りへ行くくらいでした。
誰もいない静かな朝もやの中、朝日を背に竿を振り、川のせせらぎと風の香りを全身で感じる。外出時の楽しみ方というのは、自然との触れ合いがメインだったわけです(もちろん、学生だったので行動範囲が狭かったというのもありますが、行動範囲を30キロに広げてもあまり変わらなかったと思います)。
今はどうでしょうか。
私は、東京で4年、プノンペン(カンボジア)で半年、ナイロビ(ケニア)で半年、ブライトン(イギリス)で1年、ジュネーブ(スイス)で1年、ワシントンDC(アメリカ)で2年、クライストチャーチ(ニュージーランド)で8ヶ月、それぞれ滞在してきた転勤族です。
正直なところ、どこで暮らしても、同じような生活をしています。週末の1日は家事にあてて、もう1日は自宅でゆっくりする。「コーヒーを飲みながら外を見てる」という話をすると、多くの知人からは、「せっかく海外にいるのにもったいない」と言われます。
しかし、私にとって余暇の時間というのは、小さい頃から変わらず、「自宅でゆっくりするもの」であって、他の楽しみ方をあまり知らないのです。
エンタメは求めるでなく、創るもの?
「消しゴムでイクラの疑似餌を作ったら釣れるのではないか」と考え、いろいろ試行錯誤したこともありました。装飾するだけではだめで、イクラの缶詰の味を染み込ませた試作品も作りましたが、結局釣れませんでしたが。
またあるときは、自宅に釣堀りをつくれば、わざわざ川へ行かなくても、自宅で釣りが楽しめると考え、2週間かけて池を掘ったこともありました。これも結局水がうまく溜まらずに失敗しました。
今振り返ると、私の幼少期の楽しみは自宅の周りで完結していました。そして、数少ないエンタメの中から好きなことを見つけ、そこから派生させて色々自分で企画して広げていく。そんなことを延々とやっていたような気がします。
それが今に繋がっているのかもしれません。こんな感じで日本国内、海外、先進国、途上国。私の余暇の楽しみ方は変わりそうにありません。
強いて言えば、政府が情報規制をしていてインターネットアクセスがいまいちな国では勤務したくないですね。ネットが遅くてもある程度お金を払えば高速化できる国ならOKです。
それでも赴任しなければならなくなればおそらく、休日は地元の人に取材して記事を書いたり、インタビュービデオを撮って編集したりしているような気がします。
結論
「エンタメない説」は聞く人によって変わる。