優秀な年寄りは肉を食べる
瀬戸内寂聴さんが90歳にもなってステーキを食べて野菜を食べないのに健康だというエピソード。
これで思い出すのは、当時JICA顧問だった緒方貞子さん。おそらく人生最後の米国出張で、米寿を過ぎた頃だったと思います。功績を称える褒章の授賞式へ出席するための渡米で、オルブライト元国務長官や大物が集う会合でした。
このレベルの要人となると、事務所トップが空港まで迎えに行き、市内へお連れします。ワシントンDC市内で昼食後、滞在先へ向かい、夕方のパーティーへ出席する日程でした。
昼食で合流した私たちは、ある程度の品の良い洋食屋で落ち合いました。メニューをまじまじと眺め、緒方さんは肉料理を注文。あれこれ雑談をしていると、相当なボリュームの肉料理がテーブルに届きました。
「うちのじいさんばあさんと同年代であれは食えない」と思いながら眺めていると、一口食べて思いもしない一言。
「あら、おいしいわね。赤ワインが合うかしら。」
長い一日の日程の一番はじめにワインを飲むとは思わなかったわけですが、一同一緒にワインをたのみ、昼食を楽しみました。
15時間のフライト直後で時差ボケの中、いくら若くてもステーキとワインを昼食に平らげる自信は私にはありませんでした。
何歳になっても美味しいものを食べ、肉を食い、適度に酒を飲む。
私はJICAでは6年の短いキャリアでしたが、幸運にも緒方さんと直接仕事をする案件が常時ありました。これは緒方さんから学んだことの一つです。
読んでいた本の本論とは無関係ですが、冒頭のエピソードで思い出したので書き留めておきます。