開発途上国の合法化されている汚職

開発途上国の汚職撲滅で一番難しいのは、合法化されているパターン。たとえば、インドネシアでは国家公務員の副業が認められている上に、外部の会議へ出席する際には主催団体から謝礼を個人的に受領することが認められている。法的に問題がなく、商習慣として長年根付いてきたもの。

当然、謝礼を払う会議への出席が優先され、払わない主催者の会議への参加は限定的となる。この習慣に倣って開発援助機関も支払いを続けているが、私の事業では支払いは行わない。

国家公務員の質が低いことについて政府関係者の間でもたびたび課題として取り上げられている。賃金水準を上げなければよい人材確保はできない。現状では、昇進して偉くなれば、外部会議への出席機会が増え、謝礼を受領することも増える。

一部の高級官僚が賃金の何倍もの収入を手にすることができる一方、エントリーレベルの官僚は低賃金を設定されているのが現状。昇進して状況を変える権力を持った段階では、謝礼をもらえる機会が多くなり、気合を入れて改革する人も少ないのかもしれない。

現実問題として、「謝礼を支払わないと、他の会議を優先される」として、支払いを続ける人は多い。省庁間の会議も場合によっては支給があるようで、内外問わず、完全に合法化された政府の商習慣となっている。

ただ、私の管理する事業では公務員への謝礼は支払っていないが、大きな問題はない。政府関係者は出席してくれるし、文句を言われたこともない。結局、政府側の優先事項を正確に理解し、適切なタイミングでクライアントに意味のある会議を行うことに尽きる。

私たちが開催する多くの政策対話の場合、政府と共催で開催することがほとんど。招集状も政府から出してもらう。オーナーシップのある会議は、参加者も多く、意味のある議論ができる。謝礼を払わなければ参加を得られない政策会議は、始める前から失敗している。