途上国を良くするには事業をやらねば
開発途上国の支援に携わるには色々なレベルでの関わり方がある。途上国で事業展開すること、政策ペーパーを書いてナレッジを発信すること、アカデミックな研究をして論文を書くこと。基本的に、後者へいけばいくほど現場の実務とは離れていく。
幸いなことにこれまで全ての立場で仕事をする機会を得た。その中で感じるのは、途上国の制度や経済を良い方向に改善する手助けをしたいのであれば、途上国で事業展開に携わるしかないということ。
もちろん、政策ペーパーや研究論文は無駄ではないが、途上国の実務へ影響を及ぼすことができるペーパーはほんの一握りにすぎない。単純な話で、ペーパーや論文を執筆したところで、途上国の官僚や政治家がどの程度影響を受けるか考えてみてほしい。第一、ペーパーや論文を彼らの手元に届けることが難しい。そして、それらのペーパーが手元に届いたところで読んでもらうのは更に難しい。さらに、仮に要約文だけ読んでもらうことができたとしても、それに感化されて事業を実施したり制度改革をしたりすることはもっと難しい。
ただ一つフォローするとすれば、政策ペーパーや研究論文を読み、事業に反映する可能性が高いのは開発パートナー。JICAのケニア担当が論文を読み、それをヒントに事業に反映する可能性は残されている。
いずれにせよ、直接途上国を良くする手助けをしたいのであれば、Country Interventionしかない。その国に特化した支援を、必要なタイミングで実施する。そこに携わることだけが、唯一の策だと感じる。